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心臓外科医の長年にわたる試行錯誤,経験の積み重ねから得られた貴重な知恵を,サイエンスに裏打ちされたアートとして次の世代に伝える好評のシリーズ!

心臓外科Knack & Pitfalls  

冠動脈外科の要点と盲点(電子版のみ)第2版

カバー写真
  • 監修:髙本眞一(三井記念病院院長)
  • 編集:坂田隆造(京都大学教授)
  • B5判・354頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2336-3
  • 2012年10月1日発行
定価 19,800 円 (本体 18,000円 + 税10%)
なし
在庫
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内容

序文

主要目次

初版の記述にとらわれることなく現状を踏まえ,6年間の冠動脈外科の進歩・変化を余すことなくup to dateな情報に刷新した.特に手術適応については,日本循環器学会から発表されたばかりの「安定冠動脈疾患に対する待機的PCIのガイドライン」と「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン」を元に解説した.
序文

 「冠動脈外科の要点と盲点」は2005年に,髙本眞一先生監修,竹内靖夫先生編集で初版が発行されましたが,すでに7年が経過して改訂の時期を迎えました.改訂にあたっても初版が目指した「本邦における冠動脈外科の第一線で活躍している諸先生にその先端の知識および技術を網羅していただき,coronary surgeryを志す若い医師に,従来にないup to dateな情報を提供すること」を同じく目標とし,「レジデントからベテランに至るまで,さまざまな読者が自分のレベルと興味に合わせて欲しい情報が得られるように,解説記事は各々独立して完結した情報として“拾い読み”ができるような項目立てとする」編集方針は堅持したいと思います.
 今回の改訂で最大の目標とするところは,7年間の冠動脈外科の進歩・変化を余すことなく表現することであります.そこで執筆担当の先生方にまずお願いしたのは,初版の記述にとらわれることなく現状を踏まえ,初稿のつもりで改訂していただくことでした.
 次に,実践的な本書の特徴を強調するために,あえて初版とは異なる先生に項目担当をお願いしたところもあります.初版を改めて読み直してみると,非常に質の高い内容がきわめて要領よく記述されて,加筆の必要を感じさせないものもみられます.しかし記述の内容の問題ではなく,異なる考え方,異なるアプローチも同等の正当性をもって存在し得ると考えたからであります.先生方には初版にとらわれることなく,豊富なご経験と考察でもって自らの要点と盲点を余すところなく主張していただけたと確信しております.
 今回の改訂で特に重要視していることは,手術適応の項目であります.日本循環器学会の冠動脈血行再建術協議会で,2009年12月から2年半の歳月をかけて内科・外科の委員が討議し,CABGとPCIの適応についてのガイドラインが2012年3月に完成しました.この適応のガイドラインは「ステートメント」として2012年改訂の「安定冠動脈疾患に対する待機的PCIのガイドライン」と「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン」の両ガイドラインの冒頭に掲げられます.その内容はかなり革新的で本邦の知見も取り入れつつ,アメリカやヨーロッパのガイドラインに比肩し得るガイドラインになったと考えています.本書においても,外科・内科の代表の先生に解説をお願いしました.また高リスク症例のCABG 適応では,CABGの効果からみた限界についても記述していただき,アートとしてのCABGのみならず医療としてのCABGの在りようを示唆する視点も取り入れました.執筆者の選定では,経験が豊富でかつ現役の指導的術者の先生の基準で考えました.
 執筆にご協力頂いた諸先生方に深甚なる感謝の意を表するとともに,本書を紐解く若い外科医の奮闘を祈っております.

2012年9月
坂田隆造
Ⅰ 冠血行再建術の現況
 1.CABGの現況
 2.PCIの現況
II 冠動脈解剖のKnack & Pitfalls
 1.冠動脈の解剖
 2.冠動脈の神経支配
III 冠疾患診断のKnack & Pitfalls
 1.冠動脈造影および左室造影
 2.冠動脈病変および心機能の非侵襲的検査
  1)off-pump CABG手術の経食道心エコー
  2)手術をするために核医学,PETをどう使い,活かすか
  3)手術をするためにCT,MRIをどう使い,活かすか
  4)心エコー検査による冠動脈疾患の診断
 3.冠動脈病変の重症度分類
IV 手術適応決定のKnack & Pitfalls
 1.ガイドラインに沿った手術適応
  1)外科 大野貴之・髙本眞一
  2)内科 塩見紘樹・木村 剛
 2.高リスク症例の手術適応
  1)超高齢者に対する冠血行再建術
  2)末梢動脈病変・腹部大動脈瘤合併の冠血行再建術
  3)PTCA後の緊急手術
  4)糖尿病を合併する症例の冠血行再建術
  5)腎機能障害を合併する症例の冠血行再建術
  6)その他の合併症を有する症例の冠血行再建術
Ⅴ 術前管理のKnack & Pitfalls
 1.術前検査
 2.手術準備
 3.重症心不全の術前管理
 4.他臓器合併症の術前管理
VI 冠動脈外科のKnack & Pitfalls
 1.グラフトの選択
 2.グラフトの準備
  1)大伏在静脈
  2)内胸動脈
  3)胃大網動脈
  4)橈骨動脈
  5)composite graftの適応と作成
 3.胸骨正中切開による開胸と止血閉胸のコツ
 4.冠動脈吻合のコツ
  1)冠動脈吻合部の同定と切開
  2)連続縫合法と結節縫合法
  3)端側吻合と側々吻合
  4)sequential grafting
  5)中枢側吻合
 5.人工心肺使用下(on-pump)の冠動脈外科の戦略と手技
  1)カニュレーションを含めた人工心肺のコツ
  2)心筋保護
  3)視野展開のコツ
 6.人工心肺非使用(off-pump)の冠動脈外科の戦略と手技
  1)off-pumpの適応
  2)off-pumpのグラフト選択と吻合手順
  3)視野展開のコツ
  4)stabilizer,shunt,blower
  5)能動的冠灌流
  6)MIDCABその他のアプローチ
 7.術中のグラフト評価
  1)transit-time flow meter
  2)SPY intraoperative imaging system
  3)超音波
VII 術後管理のKnack & Pitfalls
 1.検査項目
 2.輸液,薬物およびドレーン管理
 3.感染予防と合併症の対策
 4.術後グラフトの評価
 5.術後の投薬,外来管理
VIII 冠疾患合併症治療のKnack & Pitfalls
 1.心室瘤
 2.心室中隔穿孔
 3.心破裂
 4.虚血性僧帽弁閉鎖不全症
 5.低左心機能症例に対する左室形成術
IX 再手術のKnack & Pitfalls
 1.手術適応
 2.グラフトの選択と再開胸のコツ
 3.手術手技のコツ
Ⅹ 再生医療による心筋虚血の改善
XI 冠動脈外科のtechnique and technology
 1.robotic surgery
 2.distal auto-suture technique
XII 川崎病
XIII 冠動脈外科の麻酔
 1.冠動脈外科手術に対する全身麻酔
索引