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東西医学の接点に立つ鍼灸療法の専門書,12年ぶりの大改訂!

新刊

図解鍼灸療法技術ガイドⅡ第2版

臨床の場で役立つ実践のすべて

カバー写真
  • 編集主幹:矢野 忠(明治国際医療大学名誉学長)
  • 編集委員:坂井友実(東京有明医療大学教授)
  • 編集委員 北小路博司(宝塚医療大学特別教授)
  • 編集委員 安野富美子(東京有明医療大学教授)
  • A5判・1064頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-4712-3
  • 2024年3月8日発行
定価 9,900 円 (本体 9,000円 + 税10%)
あり
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正誤表

内容

序文

主要目次

代表的な総合鍼灸技術書の大改訂版.前版からの伝統医学と現代医学双方による診察法,治療法,評価法を系統的に網羅した内容に,最新の知見を盛り込んだ.Ⅱ巻では,症状別・疾患別の臨床の実際に「中枢神経麻痺」「嚥下障害」「疲労」「うつ病」などの項目と,応用領域として「ヘルスケアと緩和医療」を新規に追加.各項目,手技の解説には新たにポイントの欄を設け,よりわかりやすい紙面となっている.学生の教科書,参考書としても最適の1冊.
図解鍼灸療法技術ガイドⅡ
第2版 序文

 日本の鍼灸療法の特質は,その診療の多様性にみられます.明治時代以降,東西両医学の知見を積極的に取り込んできたのが日本の鍼灸療法です.このことは,伝統医療の枠を大幅に超えるものではなく,むしろ伝統の精神を守り抜いてきた証ともいえます.
 伝統といえば,とかく古くから受け継がれてきたものを守り,継承することと理解されがちですが,そうではなく,その本質を忘れることなく時代とともに変化し,進化するものです.その精神を簡明に表した言葉が「不易流行」です.
 『図解鍼灸療法技術ガイドⅠ・Ⅱ』第1版を出版するにあたり,「不易流行」の精神に基づいて,東洋医学と現代西洋医学の様々な知識,理論,診療技術などを取り込み,鍼灸臨床の場で受療者の状態に応じた適切な診療を行ううえで必ず役立つ実践的な専門書を目指しました.その主旨に多くの執筆者の賛同を得て,第1版を2012年6月に出版することができました.幸いにも多くの鍼灸学生,鍼灸師,医療関係者に活用していただき,また教科書にも採用されました.
 それから10年余り経過し,東西両医学の進歩・発展により新しくなった内容が多々あります.このことを踏まえて,第1版を改訂することになりました.改訂は4年前から開始し,予期せぬコロナ禍に阻まれ,出版は予定より遅れましたが,ここに大幅に刷新した『図解鍼灸療法技術ガイドⅠ-臨床の場で役立つ実践のすべて』第2版と『図解鍼灸療法技術ガイドⅡ-臨床の場で役立つ実践のすべて』第2版の2冊を装丁も新たにして出版することができました.なお,『図解鍼灸療法技術ガイドⅠ』は鍼灸診療の基盤を成す基礎編であり,『図解鍼灸療法技術ガイドⅡ』は鍼灸診療の実践を成す臨床編です.ⅠとⅡは,鍼灸臨床実践において相補的な関係にありますが,それぞれ独立した専門書でもあります.
 この度,第2版の出版にあたり,次の改訂(第3版)を見据え,本書が鍼灸臨床の現場で末永く活用してもらえる専門書として成長することを意図して,新しい装丁とともに副題の「臨床の場で役立つ実践のすべて」に応えられるように各領域を専門とし,教育,研究,臨床で活躍している新進気鋭の先生方と第一人者の先生方に執筆をお願いしました.

 本書の『図解鍼灸療法技術ガイドⅡ』は鍼灸診療の臨床編とし,1)症状別鍼灸臨床の実際,2)疾患別鍼灸臨床の実際,3)鍼灸臨床の応用領域-ヘルスケアと緩和医療で構成しました.
 鍼灸臨床では初診時,患者は膝が痛い,足か冷える,肩こりが辛い,など多くは症状を訴えます.そのような患者の診療にあたっては,患者のリスクを最小化し,適切な治療を受けられるタイミングを計るために適不適,禁忌の判断を行い,治療対象と判断した患者には現代西洋医学と東洋医学の両医学の観点から治療計画に基づいて臨床を行い,不適あるいは禁忌と判断した場合は医療先行とし,速やかに医療機関に紹介することが大切です.この基本的かつ重要な診療プロセスに基づいて本書は構成されています.また各疾患に対する鍼灸療法の効果については,可能な限り最新のエビデンス(臨床例も含む)をつけました.
 本書の特色として,各領域の主要症状については,現代西洋医学と東洋医学の両医学から解説し,各領域の主要な疾患についても両医学からの治療方針と治療方法を示しました.その理由は,最大の治療効果を得るためには,病態に応じた最適な治療法を選択することが必要であり,1つの診方だけでは限界があるからです.現代西洋医学的なアプローチ,東洋医学的なアプローチ,両者を併用した折衷的なアプローチを病態に応じて判断し,より効果的な治療を選択できるようにしました.なお,このプロセスの基礎となるのが『図解鍼灸療法技術ガイドⅠ』の鍼灸診療の基礎編です.
 実際の鍼灸臨床において『図解鍼灸療法技術ガイドⅠ』と『図解鍼灸療法技術ガイドⅡ』を相補補完的に活用していただき,鍼灸療法の効果を正確に評価していただければ,確実に臨床力は向上します.そのことが,一人ひとりの臨床家としての成長につながり,延いては鍼灸療法への医学的,社会的な評価を高めます.
 さらに鍼灸療法は,治療だけでなく,健康維持・増進,予防,未病治も重視しています.このことから「鍼灸臨床の応用領域-ヘルスケアと緩和医療」の項を立て,①ヘルスケア(養生)への応用,②美容領域への応用,③企業の健康経営への応用を加え,鍼灸療法の職域拡大を狙いました.また,緩和医療への応用を加え,病鍼連携の推進を図りました.
 以上の特色をもつ本書が鍼灸医学を学ぶ学生にとって,鍼灸臨床を系統的に学習できる専門書として活用していただければと願っています.また臨床に従事されている鍼灸師,医療関係者の先生方には,患者中心の医療を実践し,より質の高い鍼灸療法を提供することに活用していただければと願っています.
 なお,本書の出版にあたり,本書の編集,校正に多大な協力を賜りました編集企画部の中村晴彦様,山口由美子様,赤坂亮太様,西菜々子様に衷心より深謝申し上げます.最後にあたり,本書が鍼灸診療の臨床編として,さらに成長するためにも本書を活用される皆様方からの忌憚のないご意見を賜れば幸いです.

 令和6年睦月 吉日
 編集主幹 矢野 忠
第10章 症状別鍼灸臨床の実際
 第1節 消化器系の主要症状
  1.食欲不振
  2.腹痛
  3.悪心・嘔吐
  4.下痢
  5.便秘
 第2節 呼吸・循環器系の主要症状
  1.咳嗽と喀痰
  2.呼吸困難(息切れ)
  3.動悸
  4.高血圧
  5.低血圧
  6.胸痛
 第3節 運動器系の主要症状
  1.頸肩腕痛
  2.腰痛・腰下肢痛
  3.肩こり
  4.運動麻痺
  5.関節痛
 第4節 耳鼻科・眼科系の主要症状
  1.鼻閉・鼻漏(鼻汁)
  2.めまい
  3.耳鳴
  4.難聴
  5.嚥下障害
  6.眼精疲労
 第5節 泌尿生殖器系および産科系の主要症状
  1.排尿障害
  2.勃起障害
  3.妊婦のマイナートラブル
  4.つわり(妊娠嘔吐)
  5.骨盤位
  6.切迫早産
  7.微弱陣痛
  8.分娩時和痛
  9.乳汁分泌不全
 第6節 精神・神経系の主要症状
  1.頭痛
  2.顔面痛
  3.不眠症
  4.不定愁訴
 第7節 その他の主要症状
  1.冷え症
  2.肥満
  3.脱毛症
  4.かゆみ
  5.疲労

第11章 疾患別鍼灸臨床の実際
 第1節 整形外科的疾患
  1.頸椎部および上肢の疾患
  2.腰椎部および下肢の疾患
  3.スポーツ傷害
 第2節 呼吸・循環器疾患
  1.気管支喘息
  2.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  3.本態性高血圧
  4.本態性低血圧・起立性調節障害
  5.虚血性心疾患(狭心症)
  6.閉塞性動脈硬化症
  7.レイノー病・レイノー症候群
 第3節 消化器・代謝疾患
  1.機能性ディスペプシア
  2.胃・十二指腸潰瘍
  3.過敏性腸症候群
  4.糖尿病
 第4節 神経疾患・精神疾患
  1.パーキンソン病
  2.認知症・軽度認知機能障害
  3.三叉神経痛
  4.緊張型頭痛
  5.片頭痛
  6.帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛
  7.うつ病
 第5節 膠原病
  1.関節リウマチ
  2.線維筋痛症
  3.シェーグレン症候群
 第6節 耳鼻科・眼科疾患
  1.アレルギー性鼻炎
  2.顔面神経麻痺
  3.メニエール病
 第7節 婦人科疾患
  1.月経困難症
  2.不妊症
 第8節 泌尿器疾患
  1.過活動膀胱
  2.神経因性膀胱
  3.前立腺肥大症
  4.前立腺炎
  5.夜尿症
  6.男性更年期障害・加齢男性性腺機能低下症候群
 第9節 鍼灸臨床の応用領域―ヘルスケアと緩和医療
  1.ヘルスケアと養生
  2.美容鍼灸への応用
  3.企業の健康経営への応用
  4.緩和医療への応用

索 引