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この一冊で循環の生理も病気もなっとくできる!

なっとく解剖生理学  2

ぐるぐる回す循環器(電子版のみ)

カバー写真
  • 著:五十嵐 雅(総泉病院)
  • B5判・232頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-0038-8
  • 2013年10月7日発行
定価 3,300 円 (本体 3,000円 + 税10%)
なし
在庫
電子版販売サイト

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内容

序文

主要目次

親しみやすく解りやすい著者オリジナルのイラストを豊富に用いて,講義形式で解剖生理学を伝えるシリーズ.従来の医学用語の暗記による理解を超えて,人体の本質をビジュアルに理解ができる内容となっている.医師,看護師,薬剤師などの医療職を目指す学生から第一線で活躍する現役の医療者まで,人体を「なっとく」できる内容が満載.

【第2巻の概要】
第2巻では,循環器の機能と構造を豊富なイラストで解説.読者が自身の体に触れたり,身近なものに例えたりするなど,医学用語の暗記に頼るのではなく,ビジュアルかつリアルに循環器を理解できるための工夫が盛り込まれている.また,心電図についても,波形の暗記だけに頼らない心電図の読み方と理解のしかたを紹介している.
☆イラスト・線画 108点
さあ,ぐるぐる回す循環器を眺めにいこう

 循環器(じゅんかんき)・・・,そう聞くと難しく感じるかな.
 でも,僕らは生活の中で,「循環するもの=ぐるぐる回るもの」をたくさん眺めている.空から降る雨や雪も,山から川を下り,海へとたどり着く.でも,ここが終わりじゃなくて,また空に上昇して,再び雨や雪になる.
 とどまることなく回る,これが地球を巡る水の循環だ.

 その地球の上に,僕らはいろんな循環を作っている.
 首都圏の鉄道や地下鉄も,ぐるぐる回っている.高速道路の環状線も,ひしめきあいな
がら,回り続けている.
 ひとたび事故が起これば,すぐに渋滞が始まっていく.
「事故が5km先か…,事故を過ぎれば,すいているんだけどな.」
「全然進まなくなったか.みんな出口から,脇道に降りているなあ.」
みんなは渋滞が事故の手前にできるのも知ってるし,下道に車があふれる光景も目にしてる.
「え? 渋滞学じゃなくて,循環器の話が聞きたいって?」
いやいや,この渋滞こそが,今回のメインテーマなんだ.

 みんなが学ぶ循環器の疾患は,いろんな事故の連続だ.
 血液が渋滞して,進みにくくなったり,血液が裏道にあふれて本線に戻れなくなったりする.これが循環の病気のメインテーマだ.
「患者さんに起こった血液の渋滞をどうやって解消するのか.」
「どうやって事故処理をするのか,二次災害をどうやって防ぐのか.」
素早く発想できるようになっていこう.

そのためには,「どこに事故が起こりやすいのか」,「どういうルートが手前にあるのか」を知らなくちゃならない.きちんと環状線を学んでいくことこそが,循環の解剖生理学だ.

 教科書には,さまざまな名前が登場する.
 大動脈,肺動脈,冠状動脈… ふ〜,上大静脈,下大静脈,肺静脈,ふ〜,右心房,左心室,左心房,右心室…,もうやめて〜〜!
 そう叫びたくなる.やっぱり,僕もそうだった.

 じゃあ,どうすりゃいいのか.答えは実に明快だ.
「解剖生理学では,名前を丸暗記しちゃ,いけない.」

 首都高速道路の環状線だって,いきなり名前から暗記する人はいないはず.まずは1回走ってから,土地勘をつかんでいくものだ.
 地名にこだわるより,そこの風景を目にやきつけるのが大切だよ.
 君自身がミクロのサイズになって,ぐるぐる回ってみよう.妄想のパワーが,循環器なっとくの力だ.

 まずは「ぐるぐる回す循環の主役」から,妄想していこう.
 心臓は筋肉の袋で,ギュッと縮めば,赤い血がドビュッと飛んでいく.そんな単純な臓器だ.
 例えると,「ケチャップを絞って飛ばす」ような動きだ.
 「♪ ギュッと絞ると,ケチャップ,ビュッ… ♬
 ♪ ギュッと縮むと,血液,ドビュッ… ♬」
 リズムと一緒に歌っていこう.何なら,その場で,踊ってみよう♪.ケチャップを冷蔵庫から取り出しても,全く構わない(笑).

 「え〜こんなの心臓の知識に役立つの?」
 もちろんもちろん…,さあ,そこで質問!
 「ケチャップを絞ったら,中身を一瞬でカラにできるだろうか?」
 「う〜ん…,カラにできない!」
 正解だ.ケチャップを強く絞っても,すぐにはカラにならない.同じように,心臓の血液も,決してカラにはならないよ.

 心臓の部屋にたまった血液130mLのうち,ギュッと縮むと,80mLが飛び出し,50mLが残る.
(80mL/130mL)×100≒60%だから,たまった60%くらいが飛び出していく.循環器の専門用語では,駆く 出しゅつ率りつ(ejection fraction:EF)と呼び,心臓のポンプ機能を語るのに大切な値だ.

 詳しくは本編でやるから,言葉を暗記するより,まずは動きを楽しもう.
 「♪ ギュッと絞ると,ケチャップ,ビュッ… ♬
 ♪ギュッと縮むと,血液,ドビュッ… だけど全部は出ていかなぁ〜い ♪」

 どう? なっとく解剖生理学が目指すものがわかってきたかな.
 ふざけているように見えるけど,実は本質を追求している.これがなっとくイズムだ.でも,あくまで楽しむのが最優先だよ.楽しめば,記憶力は100倍にも加速していく.
 遊びながら,動きをどんどんイメージしていこう.動きの面白さがわかれば,理由もわかるし,名前も自然についてくるものだ.
 動きを実感して ➡ 論理をなっとくすると ➡ 言葉がどんどんついてくる
 このなっとくマジックが,みんなの味方だ.

 さあ,準備はいいかな.
 料理を楽しむように,ゆったりと,味わっていこう.
C 循環器をなっとくしよう
 C-1 心臓には筋肉の部屋がある
 C-2 循環の流れを意識しよう
 C-3 心臓の弁が循環の逆戻りを防いでいる
 C-4 心臓には電気を伝えるプロ集団がいる
 C-5 心電図がよめちゃう魔法のツボをちらりとのぞこう
 C-6 冠状動脈は心筋にごちそうを運んでいる
 C-7 心臓から飛び出す血液の量が心拍出量だ
 C-8 血管は血液を見事に仕分けする
 C-9 脈を触れるための動脈の解剖,点滴を刺すための静脈の解剖
 C-10 心電図の異常をなっとくする準備
 C-11 ぐるぐる回る異常が,頻脈性不整脈
 C-12 徐脈性不整脈と,「心電図がよめちゃうツボ」
 C-13 うっ血や炎症による,水の移動を感じよう
 C-14 患者さんの「主な訴え」を聞き,「カラダの変化」をフィジカルアセスメントしよう
 C-15 「循環どんぶらこ 第1〜2話」で,病気の経過を味わおう
おわりに
索引
参考文献