豊富な画像で,肝疾患の全体像を見て学ぶ!
超音波・CT・MRI・血管造影・病理で学ぶ
一冊でわかる肝疾患
診断・治療のポイントが見てわかる
内容
序文
主要目次
文光堂の編集部の方に,「研修医や若手医師を対象にした『一冊でわかる』シリーズを作成しており,消化器領域の肝臓の分野において『一冊でわかる肝疾患』を先生のグループで書いていただきたい」と依頼された.“肝臓”と一口にいっても内容は多岐に分かれており奥が深い.種々の分野において各専門家に依頼し本を作成するのではなく,コンセンサスの得られた当教室の超音波検査グループで若手医師を対象とした1冊の本を作成するのが目的ということであった.
筆者らのグループは以前より超音波検査のハンズオンセミナーをはじめ各地で教育セミナーを数多く実施していることから,その経験を活かし,臨床に則してわかりやすく肝臓病学を解説することを目指し,本書を作成することとした.しかし,実際に引き受けることが決定した後,すぐに200ページ程度の1冊で肝疾患を全部述べられるほど甘くないという壁にぶちあたった.そこで,肝臓に関心をもつ若手医師を対象としてできる限りコンパクトにわかりやすく解説し,一人でも多くの医師に肝臓病学を好きになっていただき,もっとしっかりと肝臓病学を学びたいという意欲をかきたて,そして専門書への橋渡しができればと思い,編集した.
本書は,解剖学および医療面接,そして各検査の特徴を解説した総論と,比較的臨床の場で遭遇することの多い疾患を取り上げた各論に分かれて構成されている.現在は医療のmultimodalityの時代である.そこで各論ではそれぞれの疾患について,疾患概念,診断のポイント─症状,臨床検査,画像診断,病理組織のポイント─,そして治療のポイントを挙げ,様々な方面から疾患へのアクセスが可能となるようにまとめた.さらに,日常の外来診療を想定して救急外来の対処方法と肝不全のマネジメントの解説も行っている.
本書作成に当たっては,特に,疾患の根源,画像診断のsauceともなる病理組織について,以前から筆者がご指導を仰いでいる本学の病理学教室の杉谷雅彦教授にご無理をいってご監修いただいた.この場をお借りして心より感謝申し上げます.また,画像を提供いただいた日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野 山本敏樹先生,横手市立病院消化器内科 長沼裕子先生,そして日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野および日本大学病院超音波検査室のスタッフの皆々様にも心より御礼を申し上げます.
本書が肝臓に関心をもつすべての先生方にとって,さらに関心を深め,肝臓専門医を志すきっかけの一つになれば幸いである.
2019年10月吉日
日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野
小川眞広
1.肝臓の解剖学
2.肝疾患に伴う医療情報のポイント
3.肝疾患で必要な血液生化学データと検査項目の意義
4.肝疾患で必要な画像診断
Ⅱ章 救急外来での肝疾患
Ⅲ章 各 論
1.急性肝炎
2.慢性肝炎
3.肝硬変
4.門脈圧亢進症
5.自己免疫性肝炎
6.原発性胆汁性胆管炎
7.原発性硬化性胆管炎
8.肝内結石
9.薬物性肝障害
10.アルコール性肝障害
11.脂肪性肝疾患:単純性脂肪肝,NAFLD,NASH
12.体質性黄疸
13.先天代謝異常
a)ヘモクロマトーシス,ヘモジデローシス
b)Wilson病
c)ポルフィリン症
14.血流障害による肝障害
a)うっ血肝
b)Budd-Chiari症候群
c)門脈血栓症
d)肝外門脈閉塞症
15.サルコイドーシス
16.感染性疾患
a)肝膿瘍
b)アメーバ肝膿瘍
c)日本住血吸虫症
d)エキノコックス症
e)肝結核
f)Fitz-Hugh-Curtis症候群
17.肝腫瘤性病変
a)良性病変
(1)肝血管腫
(2)血管筋脂肪腫,PEComa
(3)肝細胞腺腫
(4)その他の良性病変:腫瘍類似性病変
①肝囊胞
②限局性結節性過形成
③胆管過誤腫
④炎症性偽腫瘍
b)悪性腫瘍
(1)肝細胞癌
(2)肝内胆管癌
(3)混合型肝癌
(4)転移性肝癌
(5)悪性リンパ腫
Ⅳ章 肝不全マネジメントのポイント
索引