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日本の脳神経外科診療のスタンダードを示す!

脳神経外科診療プラクティス  1

脳血管障害の急性期マネジメント(電子版のみ)

カバー写真
  • 編集:清水宏明(東北大学准教授)
  • B5判・304頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2401-8
  • 2014年3月10日発行
定価 16,500 円 (本体 15,000円 + 税10%)
なし
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内容

序文

主要目次

脳血管障害発症直後の病院前救護,病院の救急外来,ストロークユニットをはじめとした急性期病棟といった場面を切り取り,実際の担当医・担当者の思考や動きに沿って,押さえておくべき事項をまとめ,また,それらの理論的背景が理解できるように解説.前半は,横断的は組み立てにより総合的視点を養い,後半は,各疾患や症候をベースに縦断的な構成とした.「サイエンスに基づく臨床」また「臨床に必要なサイエンス」という本シリーズの本幹は,分子生物や解剖などの基礎分野を取り上げることにより実現した.
序文

 脳血管障害はいったん発症すると障害を残すことが多く,我が国の罹病率第一位の疾患です.予防が重要であることは論を待ちませんが,いったん発症した際には迅速で適切な急性期治療が要求されます.
 本巻のタイトルは「脳血管障害の急性期マネジメント」としました.発症直後の病院前救護,病院の救急外来,ストロークユニットをはじめとした急性期病棟といった場面を切り取り,実際の担当医・担当者の思考や動きに沿って,押さえておくべき事項を取り上げ,同時に,それらの理論的背景も理解できる内容にしたいと考えました.
 通論的・網羅的な基本的知識はある程度勉強した専門医取得2~3年前から,専門医取得後に,より実践的理解を深めたいと考える脳神経外科医を主な対象にしています.これらの脳神経外科医には,以下のようなニーズがあると考えられます.
・教科書にあったあの診断・治療を,実際に行う時の手順や注意点を知りたい
・ いままで自分はこうしてきたが,よいのだろうか.エキスパートの考え方を知りたい
・教科書的な知識や診断・治療の根底にある理論や病態理解を深めたい
・自分が不得意なポイントの知識・理解をコンパクトに勉強したい 等々
 この「脳血管障害の急性期マネジメント」においては,著者の先生方には,教科書的網羅的記載は必ずしも必要なく,診療を行うにあたって実践的で重要な事項を,なぜそうするのかの理由もわかるよう記載してくださるようお願いいたしました.背景にある病態生理やニューロサイエンスの理解の助けになる記載もお願いいたしました.ご多忙の中,快くご執筆くださいました著者の先生方には,この場を借りて,心より感謝申し上げます.
 編集にあたっては,できるだけ図・写真・グラフなどを多用して,見やすくわかりやすい書面になるよう心掛けました.病棟などでいつでもひも解いてみていただけるような一冊になればと願っております.

2014年3月
東北大学 清水宏明
I. 急性期脳血管障害の病態・診断・治療と脳神経外科医の役割
II. 臨床医に必要な脳血管障害の基礎知識
 1.脳虚血のニューロサイエンス
  【O】脳血管障害の診断に役立つ分子生物学─単一遺伝子異常による脳卒中─
 2.脳循環代謝の基礎知識
 3.脳出血をめぐる基礎知識
 4.くも膜下出血の病態と治療のターゲット
 5.脳血管障害の疫学と高齢化社会における課題
  【O】中大脳動脈穿通枝の解剖と急性閉塞の臨床
  【O】前交通動脈穿通枝の解剖と急性閉塞の臨床
  【O】後交通動脈,前脈絡叢動脈の解剖と急性閉塞の臨床
  【O】後脈絡叢動脈の解剖と急性閉塞の臨床
  【O】視床穿通動脈の解剖と急性閉塞の臨床
  【O】椎骨動脈穿通枝の解剖と急性閉塞の臨床
III. 急性期脳血管障害の診療体制
 1.急性期脳血管障害の医療情報ネットワーク
 2.脳卒中ユニット・脳卒中センターでのチーム医療
 3.脳血管障害急性期のリハビリテーション
  【O】脳卒中急性期における口腔ケアと栄養管理
  【O】脳血管障害急性期の精神症状への対処
  【O】妊娠・産褥期発症の脳卒中
  【Column】Cushing 時代の背景
IV. 虚血性脳血管障害の急性期診療
 1.虚血性脳血管障害に関わる病院前救護の役割と工夫
 2.虚血性脳血管障害の初期診療と急性期診断
  a.神経所見の診方
  b.留意すべき全身所見
  c.画像診断─見逃しやすい所見─
   【O】急性期虚血性脳血管障害の生化学的マーカー
 3.虚血性脳血管障害の急性期治療
  a.tPA 静注療法─受け入れ体制と診断・治療─
   【Column】ハーヴェイ・クッシング
  b.tPA 静注療法以後のさまざまな病態の診断と治療
  c.tPA 以外の急性期薬物療法
  d.虚血性脳血管障害急性期の血管内治療の適応と実際
  e.虚血性脳血管障害急性期の外科手術の役割
   【O】脳梗塞急性期の外減圧術
  f.虚血性脳血管障害急性期の全身管理
 4.注意すべき虚血病態
  a.一過性脳虚血発作と急性脳血管症候群
  b.虚血性眼症の自然歴と病初期の対処
  c.もやもや病の虚血発症急性期の対処
   【O】可逆性脳血管攣縮症候群
V. 脳出血と血管奇形
 1.急性期診断
  a.脳出血初期診療手順と診断─出血原因検索のポイント─
  b.硬膜動静脈瘻と脳動静脈奇形の急性期病態と診断
 2.各種脳出血の急性期治療
  a.高血圧性脳出血の急性期マネジメント
  b.出血発症もやもや病の急性期マネジメントと手術適応
  c.海綿状血管腫による脳出血の急性期マネジメントと手術適応
  d.脳動静脈奇形による出血の急性期のマネジメントと治療戦略
   【O】血管奇形に関する基礎研究
   【O】頭蓋頸椎移行部と脊髄の血管奇形の急性期病態と治療
  e.硬膜動静脈瘻による出血の急性期からの治療戦略
  f.静脈洞血栓症による出血の急性期の治療戦略
  g.その他の脳出血の診断と急性期治療
VI. くも膜下出血
 1.くも膜下出血発症直後の病態と対処
  a.脳動脈瘤破裂直後の病態
  b.病院前救護の役割と工夫
 2.急性期診断
  a.くも膜下出血初期診療手順と留意すべき全身所見
  b.画像診断のpitfall
  c.初回血管撮影で出血源が確定できない場合の対応
 3.急性期治療
  a.動脈瘤手術までの管理
   【Column】ウイリアム・オスラー
  b.破裂動脈瘤急性期の開頭手術の総合的戦略
  c.破裂動脈瘤急性期の血管内手術の総合的戦略
  d.破裂動脈瘤急性期のコイリング術とクリッピング術の使い分け
   【O】血管内手術と開頭手術の両方を行う術者の使い分け(1)
   【O】血管内手術と開頭手術の両方を行う術者の使い分け(2)
   【O】脳動脈瘤形成・破裂機序
   【O】破裂動脈瘤の病理
  e.破裂動脈瘤急性期の親動脈閉塞術とバイパス術
  f.動脈解離による出血発症急性期の診断と治療
 4.急性期の各種病態への対処
  a.急性水頭症─ドレナージ管理とpitfall─
   【Column】アーネスト・コドマン
  b.重症くも膜下出血─病態と対処─
  c.遅発性脳血管攣縮の予防と治療
  d.遅発性脳血管攣縮期の全身管理
  e.くも膜下出血急性期のリハビリテーション
   【O】アメリカの脳血管障害急性期医療
   【Column】エガス・モニス
   【O】イギリスの脳血管障害急性期医療
   【Column】イギリスの脳神経外科黎明期の3医師
   【O】フランスの脳血管障害急性期医療 キッティポン スィーワッタナクン
   【Column】Cushing の2人の弟子
索引

*【O】:One point advice