心不全への理解を深めるための骨格筋障害の知識・考え方をレクチャー!
心不全と骨格筋機能障害
循環生理の要点と運動療法の盲点
内容
主要目次
1 心不全における骨格筋障害に関する研究の発展
2 慢性心不全と運動耐容能に関する盲点と要点
第I章 心不全における骨格筋障害
1 運動耐容能規定因子:limiting factors for exercise capacity
1 運動限界
2 貧血があるとどうして運動耐容能が低下するのか?
2 骨格筋はどのように酸素摂取量に影響するのか?
1 ミトコンドリア筋症の例
2 もう1つの例(骨格筋サイズの問題─筋量が少ない場合)
3 心不全では,実際どうなっているのか?
[知識のまとめと補足]運動耐容能と酸素利用能
1 運動耐容能を規定する骨格筋と呼吸・循環系の連関
2 骨格筋への酸素輸送と利用に影響する因子
3 有酸素運動トレーニングによる骨格筋における酸素利用の改善
3 心不全における運動耐容能規定因子
1 骨格筋仮説が生まれた背景
2 最大酸素摂取量
3 Landmark papers
4 運動限界における酸素輸送限界説と骨格筋利用限界説:微小循環の問題
─debates continue─
1 骨格筋内微小循環障害説
2 微小循環に関する主要論文
5 心不全における骨格筋障害
1 筋萎縮:muscle atrophy, wastage
2 筋線維型の変化:histologic alteration
3 筋代謝酵素の変化:biochemical alteration
4 骨格筋エネルギー代謝:muscle energy metabolism
6 骨格筋障害の成因
1 身体不活動
2 栄養障害
3 末梢循環不全・低酸素状態
4 神経体液性因子
5 異化と同化の不均衡
6 骨格筋タンパク質分解亢進
7 炎症・酸化ストレス
8 cell-cycle dysregulation(細胞周期の調節不全)
7 骨格筋障害への対策
1 運動療法
2 心臓再同期療法,左室補助循環装置
3 薬物治療の可能性
8 HFpEFにおける運動耐容能低下と骨格筋障害
1 HFpEFにおける骨格筋障害
[知識の確認─理解を深めるために]骨格筋の生理学:エネルギー代謝
1 3つのエネルギー供給系とクレアチンリン酸シャトル
2 クレアチンリン酸とCKファミリー
3 クレアチンとクレアチンリン酸はどこからくるのか?
4 クレアチンとCK(creatine phosphokinase)は,なぜ骨格筋と脳に多いのか?
─クレアチン欠乏をきたす疾患─
5 脳クレアチン欠乏症候群(CCDS)
第II章 骨格筋という高次機能臓器(master regulator for health)
─運動器でありながら内分泌機能を有する巨大な臓器─
1 運動疫学から骨格筋疫学へ
1 運動疫学
2 骨格筋疫学
2 健康を支える内分泌臓器としての骨格筋
1 運動効果における骨格筋と脳・神経系の関連
2 骨格筋と脳に共通する液性因子:BDNF
3 Exercise is a multi-organ harmony against diseases
3 サルコペニア,フレイル,ロコモティブ・シンドローム
1 サルコペニア
2 ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)
3 フレイル
第III章 運動を支える循環系のしくみ─心臓から毛細血管まで─
循環生理の要点
1 心臓・循環系
2 心臓への静脈還流
3 動脈・静脈の構造
4 血管平滑筋
5 末梢循環系
6 循環調節
7 運動中の循環調節
8 慢性心不全の要点
第IV章 運動療法の実際
1 心疾患における運動トレーニング様式—運動強度・運動時間・運動様式—
1 有酸素運動トレーニング
2 レジスタンス・トレーニング
3 その他の運動様式
2 心疾患に対する運動療法・リハビリテーションの実際
1 急性心筋梗塞(AMI)
2 心不全
3 心臓手術後
4 各段階における運動プログラム例
3 心臓リハ・運動療法の実際(民間病院での実地例)
1 離床期
2 運動療法導入準備期
3 院内リハ期
4 神経筋電気刺激療法(NMES)の応用
4 高齢者向け運動プログラム
1 筋力強化およびバランストレーニング
2 マシーンの利用
5 多様な運動療法・運動療法実地の工夫
1 屋外の利用─北海道循環器病院の例─
2 Exercise card(エクササイズカード)の利用
─北海道社会事業協会帯広病院の例─
第V章 心肺運動負荷試験・運動機能評価法・運動効果モニタリング
1 心肺運動負荷試験の要点
1 メディカルチェック
2 運動負荷試験
3 心肺運動負荷試験
2 リハビリテーション現場におけるさまざまな指標
1 Short Physical Performance Battery(SPPB)
2 Functional reach test(FRT)
3 Timed-up and go test(TUG)
4 10m歩行テスト
5 Barthel index
6 機能的自立度評価法(FIM)
7 Katz index
8 International Physical Activity Questionnaire(IPAQ)
9 基本チェックリスト
10 Lubben Social Network Scale短縮版(LSNS-6)
11 ヨーロッパ心不全セルフケア行動尺度(EHFScBS)
3 運動療法・心臓リハビリテーションの効果と科学的モニタリング
1 心血管危険因子への運動療法・心臓リハビリテーションの効果
2 運動療法・心臓リハビリテーション効果の科学的モニタリング(展望)
第VI章 栄養管理・食事療法─カヘキシーへの対策と課題─
1 心不全における栄養障害と悪液質
2 栄養評価
3 心不全における栄養不良例への介入方法
1 適切な心不全コントロール
2 ACEi,ARBおよびβ遮断薬の適切な使用
3 食事療法
4 肥満パラドクス
5 肥満を改善する食事療法について
1 総カロリー制限(低脂肪食)
2 地中海食
3 糖質制限(超低糖質食としてのケトン食を含む)
4 ベジタブルファースト(vegetable first)
5 立ち食いの有効性は?
6 脂肪酸
7 シス・トランス脂肪酸
8 コレステロール摂取は制限すべきか
トピックス
トピックス 1 骨格筋機能改善薬
1 運動模倣薬(exercise mimetics)
2 骨格筋萎縮予防・肥大促進薬
3 運動模倣薬と筋肥大促進薬の問題点
トピックス 2 生物とホルミシス(hormesis)
1 ホルミシスとは
2 抗酸化サプリメントの功罪
3 ヒトにおける介入データ
4 治療薬は大丈夫なのか?
トピックス 3 内分泌器官としての骨
1 骨:内分泌機能も有する多機能組織
2 オステオカルシン
3 FGF23
終 章
ヒトにおける運動療法・心臓リハビリテーションの意義
1 ヒトという生命体
2 運動は全身の器官および細胞・組織を1 つの目的に向かって活動させる
3 おわりに─“Beyond exercise and cardiac rehabilitation”
索 引