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保存療法でここまでできる!生活指導・薬物療法・装具療法・物理療法・運動療法をフル活用し,足の疾患に挑む!!

実践 足の保存療法

手術の前にすべきこと

  • 編集:熊井 司(早稲田大学スポーツ科学学術院教授)
  • B5判・336頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2775-0
  • 2023年2月8日発行
定価 7,920 円 (本体 7,200円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

足に愁訴を持つ全ての患者に対し,保存療法は第一選択となる.本書では,写真や図を多用し,疾患ごとに,疫学的データから考えたリスクを軽減するための生活指導,日々解明される病態から考えた新しい手法による運動療法,新たに開発された機器による物理療法,進歩する素材や成型技術を用いた装具療法,さらにエコーなど病変部を可視化する技術を活用した正確な薬物注入療法など,様々な保存療法についてエビデンスに裏付けられた知識と豊富な経験に基づく手法を紹介.
序 文 ‒保存療法を極める‒

 「人間」は当然のごとく動物であり,その動物にとって,ある場所から異なる場所に移動することは生存するために最も重要かつ基本的な動作の1 つといえます.食べ物を探し出し,生きていくために必須のさまざまな生産活動を効果的・効率的に行うための移動能力(運動)は,動物の営みにとって最も高い優先順位にあるはずです.移動(運動)を可能にしている身体組織,つまり「運動器」の重要性は言うまでもなく,その恒常性の維持に関わっているわれわれ整形外科のミッションの大きさは重大といえます.
 その中で「足」の痛みや機能不全は,人間にとってすべての運動の基本ともいえる「立つこと」「歩くこと」に大きく影響を与え,就労やスポーツといった負荷の大きい動きのみならず,日常生活動作への支障も計り知れないものがあります.近年の生活様式の欧米化とともに,「足」の機能を低下させる疾患は急増しており,日常診療においてもより的確な対応が求められます.first responderとなる整形外科医が,その場でまず行う治療として何を選択すべきなのでしょうか.多くの整形外科の教科書には,さまざまな手術についての適応や成績,詳細にわたる術式が記載されています.しかし,手術の前にすべきこと,つまり第1選択になるべく保存療法については,ごく簡単な記述に留まっていることがほとんどです.外来診療において,可能かつ有効な治療が求められる開業医やクリニックで勤務する整形外科医にとって,そしてすでに手術に傾倒している足の外科医にとっても,今一度「足の保存療法」を見直し,極めることが肝要ではないでしょうか.足の保存療法にはどういったものがあるのか.その中で,病期や進行度によって最適な治療法はどういった方法なのか.またその保存療法によってどのような経過をたどるのか,もう一度,しっかり保存療法を極めてみましょう.
 本書は,総論と各論からなります.総論では,保存療法を行ううえでの準備段階といえる危険因子や機能解剖,運動器の修復過程などの予備知識に加え,機能評価,画像診断,そして各保存療法の概説について執筆いただきました.保存療法の根幹となる運動療法については,各論の方で疾患別に詳述してもらうこととし,総論では装具療法や物理療法の作用機序や使い方について解説していただきました.各論では,代表的な足の疾患についてそれぞれ経験豊富な先生方に執筆いただきました.疾患についてはスポーツ外傷・障害,退行性変性・慢性疾患,小児疾患に分け29疾患を網羅しています.いくつかの項目については,「理学療法士の目」として運動療法の立役者となる理学療法士の先生方にコラムとして執筆いただきました.
 最後になりますが,私自身,アスリートの治療に多くの時間を費やしている中で,彼らにとっては時間的制約などの面からも,必ずしも手術療法が最良の策とはいえないことが多々あります.選手の中には,自身の疾患を自身なりに理解し,自ら足の機能を高めるためのトレーニングを課し,再発を予防するための日々のセルフケアを行っている選手も多く見受けられます.これは,まさしく究極の保存療法といえないでしょうか.そう考えると,確かに保存療法の中には,医師による低侵襲治療の手技や,理学療法士による運動療法の匠の技,医療施設にある物理療法機器などが必要となることもありますが,生活面での指導や,動作の修正(身のこなし方)など,患者さん自身にそれらの有効性を気付かせてあげることも重要な治療法だと考えています.
 この書が,読者の皆様の足の保存療法に対する理解の一助となり,患者さんの運動能力とADL の向上に貢献できることを願っております.手術の前にすべきこととしてご活用いただければ幸いです.

2022年12月
早稲田大学スポーツ科学学術院
熊井 司
総 論 保存療法のために必要な知識
 Ⅰ 予備知識
  1 エビデンスからみた危険因子
  2 機能解剖
  3 運動器の修復過程
 Ⅱ 足の機能評価
  1 異常を捉える
   column 足の機能評価から考える
 Ⅲ 足の画像診断
  1 異常の可視化
 Ⅳ 保存療法の基本手技
  1 生活指導
  2 運動療法
  3 装具療法
   1)足底挿板・靴
   2)機能装具・サポーター
   3)テーピング
  4 物理療法
   1)超音波骨折治療
   2)体外衝撃波治療―集束型
   3)体外衝撃波治療―拡散型
   4)足底振動刺激療法・電気刺激療法
  5 薬物療法
   1)超音波ガイド下局所注入療法
   2)Biologics

各 論 各疾患に対する保存療法の実際
 Ⅰ スポーツ外傷・障害
  1 足関節捻挫に対する初期対応
  2 足関節外側靱帯損傷
   column 小児の足関節外果裂離骨折
  3 距骨骨軟骨損傷
  4 腓骨筋腱脱臼
  5 有痛性外脛骨
  6 足関節前方インピンジメント症候群
   column 理学療法士が考える足関節背屈運動
  7 足関節後方インピンジメント症候群
  8 疲労骨折
  9 Jones骨折(第5中足骨近位骨幹部骨折)
   column 理学療法士が考えるJones骨折
  10 シンスプリント
  11 足底腱膜症
   column 体外衝撃波治療
  12 アキレス腱断裂
   column アキレス腱断裂の疫学
  13 アキレス腱障害
   column 付着部症バイオメカニクス
   column 理学療法士が考えるアキレス腱障害
  14 腓腹筋肉ばなれ
  15 母趾MTP関節障害
   column 種子骨の解剖
  16 足関節果部骨折
 Ⅱ 退行性変性・慢性疾患
  1 変形性足関節症
  2 外反母趾
  3 強剛母趾
  4 リウマチ性足部障害
  5 絞扼性神経障害
  6 成人期扁平足
   column 解剖と超音波所見から考える成人期扁平足
  7 シャルコー足
  8 腫瘍性病変
 Ⅲ 小児疾患
  1 先天性内反足
  2 小児期扁平足
  3 麻痺性足部障害
  4 骨端症
  5 足根骨癒合症

索 引