皮膚科医・病理医必携の大ヒット病理テキスト,15年ぶりに待望の大改訂!
新刊皮膚科サブスペシャリティーシリーズ
1冊でわかる皮膚病理第2版
内容
序文
主要目次
本書は約15年前に畏友・故清水 宏教授と刊行した皮膚科サブスペシャリティーシリーズの中で最も好評を博した巻の一つである『1冊でわかる皮膚病理』(ゲスト編集:木村鉄宣先生)の全面改訂版です.初版の序文でも木村先生が思いを込めて熱く述べておられるように,本書の編集コンセプトは,「皮膚病理と表裏一体である臨床像と病態を考えながら読み解く姿勢」を重視し,「単なる絵合わせを脱却して,システマティックな皮膚病理診断学の手ほどきをする」ということでした.このコンセプトは今回の改訂版でも変わることなく堅持されています.
今回変わったのは,新たな編集者として,福本隆也先生(福本皮フ病理診断科院長)と高井利浩先生(兵庫県立がんセンター皮膚科部長)をお迎えしたことです.私と木村先生は監修者として熟慮の結果,今や皮膚病理領域の泰斗であり,最も輝いているお二人に編集のすべてを委ねることにしました.
その目論見は見事に的中しました.単行本を隅から隅まで熟読吟味することはあまりないのですが,今回はかなりの時間を割いてゲラのすべてに目を通して完璧に読破しました.その際,とても驚いたことが二つあります.一つは皮膚病理学の驚愕に値する目覚ましい進歩です.免疫染色や遺伝子研究の成果を反映して,時には皮膚疾患の病態概念や分類までも変えてしまうほどの激動がいま進行しつつあることを目の当たりにしました.その皮膚病理学の新たな変容は,本書に惜しげもなく反映されています.もう一つはお二人の編集者の並々ならぬ熱意を肌で感じたことです.なんとか皮膚病理の真髄をわかりやすく,読みやすく,興味深く解きほぐそうという姿勢が随所に散りばめられています.さらに,臨床像と病理像を突き合わせて,治療に直結するような皮膚病理診断の醍醐味を享有したいという皮膚科臨床医の思いと願いに寄り添う斬新な記載と工夫が本書の企画構成に込められています.監修者として想定以上の時間と労力を献上しましたが,その努力は十分報われました.本書を通じて一番勉強したのは実は監修者だったのかもしれません.
ぜひ本書を手に取られた読者諸氏にはこの編集者の意気込みと監修者の思い入れを実感していただき,皮膚病理を愉しみながら日常診療に活かしていただきたいと思います.読了されたときの清涼感とともに,「一冊でわかる」というのはそういう意味だったのか,と実感していただければ,監修者としてこれに勝る喜びはありません.
2025年春
監修者を代表して
宮地良樹
Ⅰ.皮膚病理の勉強を始めるにあたって
1.光学顕微鏡を準備しよう
2. 光学顕微鏡を正しく使用するには
3.Whole slide imaging (WSI)を利用しよう
4.顕微鏡写真の撮り方と画像情報の利用法
5.病理診断に適した上手な皮膚生検方法
6.病理標本の作り方・検体の固定
7.各種染色法の特徴
Ⅱ.皮膚病理の基礎を理解する
1.皮膚の正常組織
2.発疹の病理組織
3.皮膚病理の基本用語
4.皮膚病理診断学
各論 1 炎症性皮膚疾患
Ⅰ.湿疹,皮膚炎群,痒疹,蕁麻疹
Ⅱ.紅斑症,薬疹,移植片対宿主病
Ⅲ.血管炎,紫斑,その他の脈管疾患
Ⅳ.膠原病および類縁疾患
Ⅴ.水疱症と膿疱症
Ⅵ.角化症
Ⅶ.色素異常症
Ⅷ.代謝異常症,沈着症,異物
Ⅸ.真皮の疾患
Ⅹ.肉芽腫性疾患
Ⅺ.皮下脂肪組織の疾患
Ⅻ.付属器疾患
XIII.ウイルス性疾患
XIV.細菌,スピロヘータ,真菌感染症と節足動物による皮膚症
各論 2 腫瘍性皮膚疾患
Ⅰ.嚢腫と偽嚢腫
Ⅱ.表皮腫瘍
Ⅲ.皮膚付属器腫瘍
a.毛器官腫瘍
b.脂腺器官脂腺腫瘍
c.汗器官腫瘍
Ⅳ.色素細胞性腫瘍
a.経路 I(単純黒子,他)
b.経路 II(悪性黒子,他)
c.経路 III( 線維形成性メラノーマ )
d.経路 IV(Spitz 母斑,他)
e.経路 V(掌蹠の色素細胞母斑,他)
f. 経路 VI(粘膜メラニン性斑,他)
g.経路 VII(先天性色素細胞母斑,他)
h.経路 VIII(真皮メラノサイトーシス,他)
i.その他
Ⅴ.軟部腫瘍と腫瘍類似病変
a.脂肪性腫瘍
b.線維芽細胞性/線維組織球性腫瘍
c.血管周囲細胞性/平滑筋性/横紋筋性腫瘍
d.末梢神経鞘腫瘍/神経系腫瘍
e.軟骨・骨形成性腫瘍
f.脈管性腫瘍と脈管奇形
g.分化方向の不明な腫瘍
Ⅵ.リンパ球/組織球性腫瘍
a.T細胞腫瘍
b.B細胞腫瘍
c.組織球性/樹状細胞性腫瘍
d.その他
Ⅶ.転移性皮膚腫瘍
Ⅷ.その他の重要な疾患
索引