“検査項目別”と“症候・疾患別”の2つのアプローチを1冊に収載!検査診断学を俯瞰できる1冊!!
Medical Practice 2021年臨時増刊号(38巻)
臨床検査の考え方と進め方
内容
序文
主要目次
─臨床検査の適正な使用と解釈のために─
臨床検査は健康増進と疾病予防,疾病の早期発見や治療に大きく貢献しており,その役割は近年益々増大し,臨床検査なくして現代医療は成り立たなくなっている.特に自動分析が普及した近年は短時間で多くの検査結果が得られ,診療の意思決定に関わる貢献度が益々向上している.そこでは標準化された臨床検査が正しく使われ,適切に結果が解釈されることが何よりも大切である.医師は極めて頻回に臨床検査を用いるが,その項目数は多く,日進月歩であり,すべての意義を記憶することは困難と思われる.
これまで数多くの臨床検査に関する書籍が出版されており,それぞれ特徴を有するが,幅広い領域をカバーすべき臨床検査の書籍は各領域の多くの専門家による執筆が必要である.臨床検査の解説書を診断学的観点から企画する場合,(a)検査項目別に検査の意義を解説するパターンと,(b)疾患ごとに臨床検査を中心とした診断学を解説するパターンが多く見受けられるが,本書ではその両者を取り入れるべく,初めに総論として臨床検査学の一般的知識を解説し,続いて各論として症候からのアプローチと疾患名からのアプローチを掲載することとした.特に総論の比重を大きくして検体採取や取り扱い,結果の解釈における留意点などに力を入れた.また検体検査の精度確保や臨床検査における医療安全など,臨床検査特有の問題についても章を設けた.各論症候編では日常遭遇する代表的症候について,診断・治療方針決定に必要な検査と診断へのアプローチに分けて解説して頂いた.各論疾患編では,各疾患に対する検査の種類と意義,診断と治療効果判定について記載頂いた.紙面の都合上,特に各論疾患編では必ずしも実臨床で要求される詳細な記載までには至らない部分もあるが,検査診断学を俯瞰するには十分なできあがりになったと考えている.臨床検査の基礎知識に最新の医学・医療の進歩に基づく病態の解釈,診断と検査法の進歩が取り入れられ,検査による診断がわかりやすく記載されている.
本書が標準的な臨床検査の解説書として実診療に役立ち,また新しい検査知識の源として現場の医師,看護師,臨床検査技師をはじめとするコメディカルスタッフや学生の皆様のお役に立てば幸いである.
2021年5月
編者を代表して
村田 満
慶應義塾大学医学部臨床検査医学
1.臨床検査とは
2.検査前留意事項
3.検体採取と取り扱い
(1)血 液
(2)尿・便
(3)穿刺液
4.検体検査の解釈
(1)検査結果に影響する因子
(2)基準範囲,臨床判断値(カットオフ値)
(3)臨床検査の診断特性評価と結果の解釈
(4)緊急連絡値(パニック値)
5.輸血検査(検査の方法と結果解釈)
6.微生物検査
7.POCT(point-of-care testing)
8.TDM(therapeutic drug monitoring)
9.検体検査の精度確保
10.臨床検査における医療安全
第2章 各論①症候編―各症候に対する診断アプローチ
1.発 熱
2.意識障害
3.浮 腫
4.呼吸異常
5.咳嗽,喀痰,血痰
6.頭 痛
7.動 悸
8.胸 痛
9.腹 痛
10.吐血,下血
11.下痢,便秘
12.関節痛
13.頻尿,多尿
14.紫斑,出血傾向
15.リンパ節腫脹
第3章 各論②疾患編―検査法と診断
1.循環器疾患
2.呼吸器疾患
3.精神,神経疾患
4.消化管疾患
5.肝胆膵疾患
6.腎・泌尿器疾患
7.内分泌疾患
8.代謝疾患
9.糖尿病
10.血液疾患
11.膠原病,アレルギー疾患
12.婦人科疾患
13.感染症
14.ビタミン・栄養欠乏症
15.急性中毒と臨床検査
16.遺伝性疾患における臨床検査
付録 共用基準範囲一覧
索引