超音波所見から診断に迫る力を養う腹部エコーテキスト!
初学者のためのわかる腹部エコー第2版
所見からみた超音波鑑別診断
内容
序文
主要目次
2000年に『初学者のためのわかる腹部エコー 所見からみた超音波鑑別診断』が出版されてからすでに16年の歳月が経過した.この間,多くの読者に愛読して頂き,貴重なご意見も多数頂戴した.出版当時の腹部超音波検査はBモードによる検査が主体であったが,その後の超音波診断装置の進歩はめざましく,ハーモニックイメージング,ドプラ検査や造影超音波検査による血流診断,さらに3次元超音波検査,エラストグラフィなどの新しい機能が開発され,日常臨床の場で活用されるようになってきた.また広帯域の超音波プローブや高周波超音波プローブの開発も鮮明な画像を得る手助けとなっている.これらの超音波技術の進歩や疾患の概念の変化などにより本書においても時代に即した内容が求められるようになってきた.その様な折,文光堂編集部から本書の改訂の御提案を頂き,このたび改訂版を刊行する運びになった.
初版の執筆当時は当院では腹部超音波検査で得られた画像をレントゲン検査と同じようにフィルムで保管していた.本書を作成するにあたっては,フィルムの超音波画像を一眼レフのカメラで撮影し,現像して印画紙に焼き付けて提出していた.現在では超音波診断装置で記録した画像を装置本体にデジタル画像として保存できる時代になっており,その当時を思い起こすと隔世の感がある.
今回の改訂にあたっては総論,各論ともに超音波画像を一新した.また,初版では超音波画像の横にそのシェーマを配置したが,この第2版においては同一の画像に引き出し線や矢印,所見名を書き入れたものを配置したのが大きな変更点である.なお,各論では本書の特徴である検査で得られた超音波所見から考えられる疾患を鑑別していくデシジョンツリー形式を初版から継承しているが,その内容はそれぞれアップデートしている.一人でも多くの医師や技師の方々が本書を手元に置いて活用して頂ければ,著者にとって望外な喜びである.
今回本書を制作するにあたって,貴重な症例の画像を御提供頂いた先生方や技師の皆様にこの場をお借りして厚く御礼を申しあげる次第である.
また本書を執筆するにあたり恩師である杏林大学青柳利雄名誉教授および斎藤昌三名誉教授ならびに平素から御懇切なる御指導を賜った杏林大学学長跡見 裕教授,第3内科髙橋信一特任教授,第3内科石田 均教授,第3内科久松理一教授に深甚なる感謝の意を申し上げる次第である.さらにわれわれが超音波検査を施行しやすいように生理機能検査室を整備して頂いた医学部長兼臨床検査医学渡邊 卓教授にも御礼を申し上げる次第である.さらに本書の作成にあたり御協力頂いた第3内科の肝臓班の先生方と生理機能検査室の臨床検査技師の皆様にも深謝を申し上げたい.最後に長年にわたり本書の改訂に向けて編集,校正の御尽力を頂いた文光堂の佐藤真二氏に改めて御礼を申し上げる次第である.
平成28年10月
杏林大学医学部第3内科
森 秀明
1 腹部超音波検査をマスターするために
2 超音波検査の特徴
3 超音波画像の表示法
4 超音波ビームの走査方式
5 分解能
6 画像の調節法
7 ドプラ法
8 造影超音波検査
9 ハーモニックイメージング
10 超音波エラストグラフィ
11 3次元超音波検査
12 携帯超音波検査
13 超音波検査で問題となるアーチファクト
14 超音波検査の実際
15 超音波診断装置の名称と操作
16 臓器別解剖と走査法
◆ 肝臓
◆ 胆道
◆ 膵臓
◆ 腎・尿路
◆ 副腎
◆ 脾臓
◆ 消化管
◆ 女性生殖器
◆ 脈管
◆ リンパ節
◆ 腹腔・後腹膜腔
17 症状・所見からみた腹部超音波鑑別診断
各論 〜超音波所見からみた鑑別診断〜
1.肝臓
2.胆道(胆囊・胆管)
I.胆囊
II.胆管
3.膵臓
4.腎・尿路
I.腎
II.膀胱
III.前立腺
5.副腎
6.脾臓
7.消化管
8.女性生殖器
I.子宮
II.卵巣
III.その他
9.脈管
10.その他
11.正常計測値
参考図書
索引