ピロリ菌陰性時代の消化器医に必携の1冊!
ピロリ菌陰性時代の上部消化管内視鏡(電子版のみ)
これだけはおさえたい腫瘍性疾患の診かた
内容
序文
主要目次
皆さんは,Tokyo Gastrology Clinical Diagnosis Conference(TGCDC)という研究会をご存じであろうか.2006年1月に,エーザイ(株)の共催を得て,後藤田卓志先生(現日本大学)を監事とし,私と小田一郎先生(国立がん研究センター)が代表世話人として始まった,胃疾患の内視鏡診断を中心とした研究会である.初期・後期研修医や内視鏡初学者を主な対象とし,若手の消化器内視鏡医と病理医が世話人を務めてきた.原則,年3回開催されており,直近では,小田島慎也先生(東京大学),吉永繁高先生(国立がん研究センター)の代表世話人の下,第29回TGCDCが2016年9月30日に開催された.
私と小田先生は2012年1月にTGCDCの代表世話人を辞し,その後,2015年4月までは山本頼正先生(がん研有明病院),角嶋直美先生(静岡がんセンター)が2代目として,現在は前述の通り,小田島先生,吉永先生が3代目として,代表世話人をお務めである.共催メーカーは,第29回よりエーザイ(株)からEAファーマ(株)へ移行した.胃癌を中心とした上部消化管疾患を取り巻く医療環境に目を向けると,若年者におけるヘリコバクター・ピロリHelicobacterpylori(HP)感染率の著しい低下と,2013年2月のHP感染胃炎に対する除菌療法の保険適用により,私たちが20代,30代で先輩から学んできた,上部消化管内視鏡診断の常識が非常識に,非常識が常識になりつつある.
そんな中,2015年11月,文光堂の浅井麻紀氏(現社長)より,上部消化管内視鏡の本を企画いただけないかというお話が私のほうに舞い込んだ.すぐに,第二期TGCDCの集大成として,TGCDCの2代目代表世話人にご編集いただいたらどうかとの思いに至った.早速,山本先生,角嶋先生にお話ししたところ,ご快諾され,2016年2月に小田先生を交えた編集会議を経て,8ヵ月の作業工程で,本書が上梓に至ったわけである.山本先生,角嶋先生のリーダーシップと第二期TGCDC世話人の先生方の団結力には改めて感服する次第である.また,原稿集めに奔走し,出版にあたり多大なご協力を賜った,文光堂の小柳健氏には心より御礼申し上げます.
本書が,明日の医療・医学を切り開くであろうこれからの若手医師に,ピロリ菌陰性時代の上部消化管内視鏡を学ぶ上での実践書として広く読まれ,ひいては,一人でも多くの患者さんの役に立ってくれることを心から願ってやまない.
2016年10月
東京大学医学部附属病院光学医療診療部准教授
藤城光弘
1 ピロリ菌感染の時代的変遷と疫学
2 疾患の種類:ピロリ菌感染と上部消化管疾患の関連性
Column NSAIDs潰瘍
3 内視鏡所見総論
A 背景粘膜
B 腫瘍
Column 消化器内視鏡診療における抗血栓薬に関するクリニカルクエスチョンを
検証することの難しさ
4 病理所見総論
A 背景粘膜
B 腫瘍
5 除菌治療
A ピロリ菌全除菌時代の除菌適応に関する現状
B ピロリ菌陽性早期胃癌における除菌の影響
6 ピロリ菌除菌後の適切なフォローアップ
7 ピロリ菌陰性時代の胃がん検診
Column 内視鏡検査時の鎮静薬の使用方法
第2章 各 論
1 咽頭・食道
A 咽頭の病変
B 食道の良性腫瘍
C 食道扁平上皮癌
Column GERD(gastroesophageal reflux disease)
D 食道の病理
E バレット食道腺癌(食道胃接合部癌を含む)
F 食道粘膜下腫瘍
2 胃
A 腺腫・ピロリ菌陽性胃癌
B ピロリ菌除菌後胃癌
a 内視鏡所見
b 病理
Column 変わったヘリコバクター
C ピロリ菌未感染胃癌(未分化型癌)
a 内視鏡所見
b 病理
D ピロリ菌未感染胃癌(胃底腺型胃癌)
a 内視鏡所見
b 病理
E その他のピロリ菌未感染胃癌
F EBウイルス関連胃癌
G 遺伝性疾患に伴う胃癌
H 胃NET(A型胃炎を含む)
I 胃リンパ腫(DLBCLを中心に)
J 胃MALT リンパ腫(ピロリ菌未感染胃を中心に)
K 胃粘膜下腫瘍
L 転移性胃腫瘍
3 十二指腸
A 非乳頭部十二指腸腫瘍(腺腫・腺癌)
B 十二指腸の病理
C 十二指腸乳頭部腫瘍(腺腫・腺癌)
D 十二指腸NET
E 十二指腸粘膜下腫瘍(GISTを含む)
F 十二指腸リンパ腫
索引