TOPページへ

日本骨髄腫学会による骨髄腫診療の決定版ガイドライン!

多発性骨髄腫の診療指針2024第6版

  • 編集:日本骨髄腫学会
  • B5判・164頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2071-3
  • 2024年9月4日発行
定価 3,960 円 (本体 3,600円 + 税10%)
あり
在庫
電子版販売サイト

上記の電子版販売サイトのボタンをクリックすると,外部のサイトに移動します.電子版の購入方法は各販売サイトにてご確認ください.

内容

序文

主要目次

CAR-T細胞療法や二重特異性抗体(BsAb)など,新たな薬剤や併用療法の進歩が著しい多発性骨髄腫.本書では,骨髄腫の定義から臨床所見,診断基準,治療,類縁疾患の診断と治療に至るまで,最新の知見を踏まえて解説する.“臨床現場で気軽に手に取り,参照できるガイドライン”を目指し,診療に関する膨大な情報を図表で整理しつつ,治療アルゴリズムや開発中の薬剤など,最新の動向も取り入れた.
第6版への序言

 『多発性骨髄腫の診療指針2024 第6版』が上梓された.日本骨髄腫学会の編集による本診療指針は,2004年に当時の理事長であられた清水一之先生(現名誉会員),事務局担当理事の名倉英一先生(現名誉会員)のご尽力により発刊されたもので,4年ごと(オリンピックイヤー)の更新を基本理念として,これまで20年間にわたり5回の改訂が進められてきた.
 その間における病態解析や治療研究の進歩には目覚ましいものがあり,研究においてはゲノムや染色体解析による予後不良の細胞遺伝学的異常の同定,微小(測定可能)残存病変の評価法の確立,また,治療においては自家末梢血幹細胞移植の導入,免疫調節薬やプロテアソーム阻害薬,モノクローナル抗体薬をはじめとする新規薬剤の開発など,極めて広範囲にわたり,隔世の感を禁じ得ない.
 このような時代の中,日常臨床における症例の特徴や治療成績の変遷を明らかにする目的で,日本骨髄腫学会では「多発性骨髄腫に関する多施設共同後方視的調査研究」を実施してきた.本書の資料編に掲載したが,生存期間の中央値でみると,1991〜1995年が36.9ヵ月であったのに対し,2016〜2018年では69.3ヵ月(日本血液学会JSH-MM-15による)と,この30年間にほぼ2倍に延長しており,近年,最も予後の改善を認めた腫瘍性疾患であるといえよう.
 本診療指針第6版はこれまでの基本方針通り,定義および疫学,臨床所見と検査所見,診断基準と病期分類,治療,類縁疾患,患者に対する情報提供および支援活動に項目立てし,従来の記述スタイルを踏襲した.編集委員には各項目のアップデートとともに,重要度の高い項目を中心に執筆いただいた.また,評価委員による意見を取り入れ,より完成度の高い内容とした.校正の間にも,キメラ抗原受容体T 細胞chimeric antigen receptor T cel(l CAR-T)療法の適応拡大や二重特異性抗体bispecific antibody(BsAb)の新規承認があり,日進月歩の発展の中で最新の内容を盛り込むように努めた.このように多様化する多発性骨髄腫診療の現場において,本診療指針第6版は研修医や医療スタッフから血液専門医まで広く活用されるものと確信している.
 最後に,本診療指針第6版の改訂にあたり,執筆や評価にご尽力をいただいた診療指針作成委員および理事の先生方,編集や校正にご協力をいただいた文光堂の担当者の皆様に深く感謝申し上げる.

 2024年7月
 「多発性骨髄腫の診療指針2024 第6版」編集委員会
Ⅰ 定義および疫学
 1 定 義
 2 疫 学
  1)罹患率と疫学
  2)診断時の年齢と性
  3)多発性骨髄腫による死亡数と死亡率

Ⅱ 臨床所見と初診時検査
 1 臨床所見
  1)骨 痛
  2)貧 血
  3)腎障害
  4)高カルシウム血症
  5)易感染性
  6)神経症状
  7)その他
 2 初診時検査
  1)末梢血・血液生化学
  2)M蛋白
  3)骨髄検査
  [コラム]多段階発がん過程
  4)画像診断

Ⅲ 診断基準と病期分類
 1 診断基準
  1)多発性骨髄腫
  2)くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)
  3)意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)
  4)孤立性形質細胞腫
  5)形質細胞性白血病
  6)POEMS症候群
  7)全身性ALアミロイドーシス
 2 病期分類

Ⅳ 治 療
 1 治療開始時期
 2 治療効果判定
 3 多発性骨髄腫患者に対する治療アルゴリズム
  1)移植適応のある初発多発性骨髄腫
  2)移植適応のない初発多発性骨髄腫
  3)再発・難治性多発性骨髄腫
  [用語解説]risk-adapted strategy
 4 PI,IMiDs,抗体薬の併用療法のコンセプト
 5 初期治療
  1)移植適応例に対する初期治療
  2)移植非適応例に対する初期治療
  3)高齢者に対する治療
 6 維持療法
  1)THAL維持療法
  2)LEN維持療法
  3)BOR維持療法
  4)IXA維持療法
  [コラム]LEN維持療法後の二次発がん
 7 再発・治療抵抗性骨髄腫の治療
  1)再発・進行後の治療方針
  2)再発・治療抵抗例における治療レジメン
  3)再発・治療抵抗例における移植療法
  4)再発・治療抵抗例における治療選択
  5)CAR-T細胞療法
 8 開発中の薬剤
  1)抗体薬
  2)分子標的薬
 9 研究的治療─同種移植(ミニ移植を含む)
  1)骨髄破壊的前処置による同種移植
  2)用量減量前処置による同種移植(RIST)
  3)タンデムHDC-ASCT/ミニ移植
  4)同種移植後の新規薬剤
 10 放射線療法
  1)疼痛緩和を目的とする場合
  2)腫瘍の消失(縮小)を目的とする場合
 11 合併症に対する治療
  1)骨病変
  [用語解説]薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)
  2)高カルシウム血症
  3)貧 血
  4)腎不全
  5)感染症
  6)ワクチン,感染予防対策
  7)心血管病変,血栓症
  8)神経障害
  9)リハビリテーション
  10)過粘稠度症候群

Ⅴ 類縁疾患
 1 POEMS症候群(Crow–Fukase症候群,高月病)
  1)所見と診断基準
  2)治 療
 2 原発性アミロイドーシス
  1)アミロイドーシスの原因・分類
  2)ALアミロイドーシス
 3 MGRS
  1)MGRSの概念
  2)MGRSの検査と診断
  3)MGRSの治療戦略
 4 原発性マクログロブリン血症
  1)定義と診断
  2)疫 学
  3)遺伝子変異
  4)先行病態と治療開始基準
  5)治 療
 5 Castleman病
  1)診 断
  2)治 療
 6 TAFRO症候群
  1)診 断
  2)治 療

Ⅵ 患者に対する情報提供および支援活動

●文 献
●資料編
●索 引