臨床ですぐに役立つ脳卒中・片麻痺理学療法の入門書!
脳卒中・片麻痺理学療法マニュアル第2版
内容
序文
主要目次
脳卒中・片麻痺は理学療法士が最も多く出会う疾患・障害の一つであり,その具体的な臨床像は多岐にわたります.理学療法の臨床現場あるいは地域社会のなかでも同様ですが,理学療法士が多岐にわたる神経徴候・症候・障害をどのようにとらえ,解釈し,対象者一人ひとりのために最も有効な理学療法を提供できるかが,重要な課題です.
本書は,脳卒中・片麻痺の対象者に,実践的理学療法を展開できるためのマニュアルとして活用できることを目指して編集いたしました.理学療法の各臨床現場ですぐに役立つ道標であり,具体的な理学療法技術を容易に考慮・実践できる内容を網羅しました.また,神経科学の発展とともに,理学療法に関する知識・技術も発展してきました.これらの新たな知見を盛り込んで改訂第2版としました.
全体の構成は,脳卒中・片麻痺のとらえかた,疫学・診断学・内科および外科的治療の概要,理学療法評価と介入,さらに課題志向的治療介入,長期療養へ向けて,付録,としています.各項目の小見出しや囲み文は,臨床経験のたいへん豊富なそれぞれの著者に,その項目に関する多くの内容を“エッセンス”として凝縮したものになるように執筆していただきました.また,近年求められている理学療法に関するエビデンスも含めていただきました.いわゆるニューロリハビリテーションの概念が広く理解されてきた時期でもあり,日本脳卒中学会による「脳卒中治療ガイドライン2015」を基盤として執筆をお願いしました.本文は箇条書きとして構成したため,直感的にも理解しやすいものであると思います.また,経験の浅い理学療法士がそれぞれ知識・技術を学習していくなかでも,脳卒中・片麻痺の対象者を具体的に把握し,運動・動作の再学習過程においてキーになる課題志向的治療介入として分類しているので,読者は臨床現場ですぐに利用できるものと確信しています.さらに,理学療法学を学ぶ学生が利用できる教科書としても役立つものと考えています.
本書が,多忙な臨床活動・地域活動を行っている理学療法士に対し,脳卒中・片麻痺の対象者に有益な理学療法を提供できることを願っております.本書の特徴を十分にご理解のうえ,ご活用いただければ幸甚です.
平成29年3月
長澤 弘
A. 脳卒中・片麻痺の理解と障害構造
B. 脳卒中・片麻痺に対する理学療法の進めかた
II 脳卒中・片麻痺の疫学,診断学,内科・外科的治療
A. 疫学
B. 診断学
C. 脳卒中の治療
III 脳卒中・片麻痺の理学療法評価と治療介入
A. 理学療法評価
1 意識障害
2 全身状態
3 知的障害と精神障害
4 コミュニケーション
5 脳神経
6 姿勢・筋緊張
7 腱反射・病的反射
8 運動麻痺
9 感覚・疼痛
10 協調運動・不随意運動
11 バランス
12 起居動作
13 歩行
14 高次脳機能
15 ADL
16 運動耐容能
17 非麻痺側能力
18 治療的rTMS
19 障害受容と家族
20 家屋構造と環境
21 QOL
B.課題志向型治療介入
1 超急性期Stroke Care Unitにおける理学療法
2 肺理学療法
3 頭位挙上から背もたれ座位へ
4 寝返りから起き上がり(背臥位から側臥位までの寝返りと,それに続く起き上がり)
5 座位耐性練習
6 摂食・嚥下練習
7 ベッドと車椅子との移乗練習
8 座位から立位へ
9 立位から歩行へ
10 装具療法
11 応用動作練習(床からの立ち上がり,階段昇降)
12 ADLのなかでの病棟内練習
13 リスクマネジメント(転倒・骨折を中心に)
14 合併症対策
C. 長期療養へむけて
1 退院指導と家族指導
2 環境調整
3 介護保険,通所・訪問リハビリテーション,老人保健施設,身体障害者手帳などの社会資源
付録
1 頭部CT・MRI(脳梗塞・脳内出血)のみかた
2 検査の基準値
3 主な薬物と副作用
索引