広い麻酔科学の領域を,これ1冊で俯瞰できる格好のガイダンス!
目でみるERと麻酔(電子版のみ)
内容
序文
主要目次
医学の進歩に伴い,麻酔や集中治療に関する医学部や医療現場での習得内容も,年々向上している.医学部5,6年生の臨床実習では,私の学生時代よりも知識の量が増え,その質もいっそう深くなっていることを,日々実感する.彼ら彼女らは,医師国家試験に必要な知識を得ることだけではなく,実際の医療現場でそれらの知識がどのように使われているのかを見て,感じて,最先端の医学に興味を示している.
医学教育の教科書に求められる内容も,系統だった知識の提示に加え,それを実習に活かし,実習後にその時の様子を思い出せるきっかけを必要としている.その一つが,文字を中心とした左脳による理論の習得と,イラストや図表による右脳での感覚的な理解が連動する本書である.
執筆は,これまで様々な教科書を上梓してきた高崎先生と私の共同とさせていただいた.私の役割は,医学生のニーズやレベルを鑑みて難易度を設定し,現場で生かせる知識と後から思い出せる感覚を入れ込むことであった. コンセプトは,「医学生向けで視覚的にも学べる」,「初期研修医,看護師,臨床工学技士,薬剤師などの医療スタッフにも便利」,「麻酔科学・集中治療・救急医学・ペインクリニックという,麻酔科診療の全般を網羅する」として,2003年に高崎先生が出版した「イラスト麻酔科第2版」を手本にさせていただいた.
医学教育にも国際化の波が押し寄せ, 臨床実習の時間が大幅に増えている. また,チーム医療という言葉にあるように,様々な医療スタッフとの共通の理解なくして医療現場は進んでいかない.本書がその一助になることを信じている.
本書の作成には長い年月を要した.辛抱強く支えていただいた高崎先生には,感謝の念に堪えない.イラストを作り上げた多賀谷さんには,私の感覚的な依頼を現実に仕上げていただき苦労をおかけした.編集作業をしていただいた文光堂の嵩さんには,ご心配を多々おかけしたことをお詫びすると同時に,お礼申し上げます.
2017年6月
山内正憲
1. 総論
2. 大規模災害とトリアージ
3. 一次救命処置(BLS)
4. 二次救命処置(ALS)
5. 小児の救命処置(PLS,PALS)
6. 臓器障害の把握
7. 運動機能障害の把握
8. 急性中毒
9. 溺水と低体温症
10. 熱中症と悪性症候群
11. 熱傷
12. 急性呼吸不全
13. 酸素療法
14. 人工換気
15. 急性冠症候群
16. 急性心不全
17. 急性肝不全
18. 急性腎障害
19. 急性腹症と消化管出血
20. 播種性血管内凝固(DIC)
21. 静脈血栓塞栓症
22. 重症感染症
23. ショック
24. 各種ショックの病態
25. 多臓器機能障害
26. 血液浄化
27. 脳死と臓器移植
II 麻 酔
1. 総論
2. 血管確保
3. 気道確保
1) マスク
2) ラリンジアルマスク
3) 気管挿管
4) 抜管
5) 気道確保に伴う合併症
4. 麻酔の導入
5. 麻酔の維持
6. 麻酔器と回路
7. モニタリング
8. 脊柱管の解剖と皮膚分節
9. 脊髄くも膜下麻酔
10. 硬膜外麻酔
11. 脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔
12. 伝達麻酔と区域麻酔
13. 浸潤麻酔と表面麻酔
14. 産科麻酔
15. 小児麻酔
16. 高齢者の麻酔
17. 心大血管手術の麻酔と人工心肺
18. 肺・胸腔手術の麻酔
19. 消化器手術の麻酔
20. 頭蓋内手術の麻酔
21. 内分泌腺手術の麻酔
22. 泌尿器手術の麻酔
23. 日帰り手術の麻酔
24. 術前診察
25. 術後診察
26. 麻酔の一般的な合併症
27. 麻酔の特殊な合併症
III 生理と薬理
1. 生理学と周術期管理
1) 脳・神経
2) 呼吸
3) 循環
4) 体温
5) 酸塩基平衡
6) 栄養・代謝
7) 術後痛
2. 輸液と経口補水
3. 輸血
4. 吸入麻酔薬
5. 静脈麻酔薬
1) 総論
2) フェンタニル
3) レミフェンタニル
4) モルヒネ
5) ケタミン
6) プロポフォール
7) チアミラール
8) デクスメデトミジン
9) ミダゾラム
6. 筋弛緩薬と拮抗薬
1) 総論
2) 拮抗薬
3) 非脱分極性筋弛緩薬
4) 脱分極性筋弛緩薬
7. 局所麻酔薬
8. 循環作動薬
IV ペインクリニックと緩和医療
1. 痛みとは
2. 痛みの生理
3. 痛みの診察
4. 主な痛みの疾患
5. 痛みの治療
6. がん性痛と緩和医療
索 引