「痛み診療」に関わる全医療者必携.痛みと向き合う知識と技術のすべて!
麻酔科プラクティス 7
痛み診療 All in One
内容
序文
主要目次
【シリーズの特徴】
現在の麻酔科臨床で特に注目の集まるトピックスや新たな課題を厳選し,フルカラーの誌面でビジュアルに整理・解説.若手からベテラン麻酔科医までを対象とし,臨床で役立つ最新かつ最良の意義深いテーマを提供する.
現在文光堂より,麻酔科関連の話題を扱う新たなシリーズ本として「麻酔科プラクティス」を刊行しております.このシリーズの中では手術室での麻酔に関連したモニタリングや輸液・輸血療法などに関する話題だけでなく,手術室を飛び出して,例えば「産科麻酔」では無痛分娩を取り上げてきました.
この度は,麻酔科の大切なサブスペシャルティである「痛み診療」を取り上げ,新たに『痛み診療 All in One』を企画いたしました.痛みの概念が,最近大きく変化してきています.2020年には痛みの定義が改訂され,さらにnociplastic pain(痛覚変調性疼痛)の概念が提唱されました.さらに慢性疼痛が国際疾病分類(ICD-11)に組み込まれるようになってきています.このように,痛み診療は注目されてきています.
痛み診療は,麻酔科だけでなく,整形外科・脳神経内科・心療内科など多くの診療科が,各診療科の視点に立ち,各診療科の特性を生かした診療を行っていますが,今回の企画では,あえて「麻酔科」的視点に着目して痛み診療を考えていくことといたしました.
本企画では,痛みを理解するために必要な基本的な痛みのメカニズムをエキスパートの先生方に概説していただき,現在の痛みの基礎的研究の成果を紹介させていただくことに致しました.
また,麻酔科では,神経ブロックを中心としたインターベンション治療が多く行われてきました.そこで,治療については,総論として薬物療法とインターベンション治療を中心に取り上げ,各論では,臨床で遭遇する多くの疾患のエキスパートに最新の知見を紹介していただけるように企画致しました.
多くの先生方に本書を読んでいただき,これからの痛みの診療の発展に寄与できることを願っております.
2022年11月
熊本大学名誉教授
船橋整形外科麻酔科
埼玉医科大学病院麻酔科 山本達郎
1 痛みとは─“新しい定義”と古くからの歴史
Ⅱ 痛みのメカニズム
1 侵害受容器
2 体性痛
3 内臓痛
4 心と痛み
5 急性痛と慢性痛─臨床に則して,考えるプロセス─
6 炎症性疼痛
7 神経障害性疼痛
8 上位中枢と痛み
[T]小児の痛みと脳機能
Ⅲ 痛みの制御機構
1 ゲートコントロール説
2 下行性疼痛制御系
3 痛みと情動
[B]脊髄後角アストロサイトサブセットを介するノルアドレナリン痛覚伝達制御
Ⅳ 痛みの診断
1 痛みの評価方法
2 神経障害性疼痛スクリーニング
3 痛みの症状
4 fMRIでみる痛みと脳機能
Ⅴ 痛みの治療
1 薬物治療 作用機序と適応
1)NSAIDs・アセトアミノフェン
2)急性痛に対するオピオイド
3)慢性疼痛に対するオピオイド
[K&P]オピオイド治療の問題点
4)α2δリガンド
5)三環系抗うつ薬・SNRI
6)漢方薬
2 インターベンション治療の適応と実際
1)神経破壊薬および高周波熱凝固法を用いた神経ブロック療法
2)硬膜外癒着剥離術
3)脊髄刺激療法
4)神経ブロック─硬膜外ブロック─
5)神経ブロック─星状神経節ブロック─
6)神経ブロック─腕神経叢ブロック─
7)神経ブロック─坐骨神経ブロック─
8)神経ブロック─大腿神経ブロック─
9)神経ブロック─ TAPブロック・腹直筋鞘ブロック─
10)神経ブロック─胸部傍脊椎神経ブロック─
11)透視下ブロック─腹腔神経叢ブロック─
12)透視下ブロック─神経根ブロック─
[T]高周波熱凝固・パルス高周波
[T]ブラッドパッチ
Ⅵ リハビリテーション
1 ペインリハビリテーションの理論
2 ペインリハビリテーションの実際
3 認知行動療法の理論
4 認知行動療法の実際
Ⅶ 患者で診る痛みのメカニズムと治療
1 神経障害性疼痛
2 手術後疼痛(急性期・慢性期)
3 がん性疼痛
4 腰痛 腰痛診療ガイドライン2019に基づいて
5 線維筋痛症
6 複合性局所疼痛症候群(CRPS)
7 帯状疱疹関連痛
8 運動器の痛み(関節・筋肉)
9 頭痛の治療─脳神経外科に送るべき頭痛─
10 三叉神経痛
11 小児の痛みの特徴と治療
12 高齢者の痛みの特徴と治療
[T]天気と痛み
索 引
[T]=Topics
[B]=Basic
[K&P]=Knack & Pitfalls