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IBD(炎症性腸疾患)治療薬選択のヒントとなる実践的テキスト!

決定版!

IBD治療薬の基本と実践

患者背景と病態から治療の次の一手を考える!

  • 編集:加藤 順(千葉大学医学部附属病院診療教授/内視鏡センター長)
  • 編集 平岡佐規子(岡山大学病院炎症性腸疾患センター准教授/センター長)
  • B5判・216頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2111-6
  • 2021年10月19日発行
定価 5,720 円 (本体 5,200円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

受験を控えた患者,副作用がひどくて基本薬が投与できない患者,妊娠を考えている女性….IBD(炎症性腸疾患)患者は様々な背景をもち,同じ病態や重症度でも患者によって薬が効いたり効かなかったりする.本書ではIBD治療薬の基本的な解説に加え,60シーンの潰瘍性大腸炎とクローン病のケーススタディでは,若手医師が対処法を提示しベテランが解説.何に注意し何を根拠に薬を選択するのか,IBD診療のヒントが満載な実践的テキスト.
序 文

 近年の分子標的薬開発の進歩により, 炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)領域でもいくつかの新薬が登場した.さらに,今後,上市が予定されている薬剤もある.しかしながら,IBD治療薬の使い方はなんだか難しいと思われている方も多いと思う.その理由として,①患者の病態や重症度などによって治療薬を使い分けなければならない,②同じ病態や重症度でも,患者によってある薬が効いたり効かなかったりする,③比較的若年者に多い疾患であり,患者の社会生活にも配慮して薬剤を選択しなければならない,といったことが挙げられる.考えてみてほしい.以上の3つの要因は,実は,意外とIBD以外の領域(癌や生活習慣病の領域など)ではみられない特徴である.これらのことから,新薬が増えてきたからこそ,専門医でない方々や若手の医師にとっては,IBD治療薬の使い方がますますややこしく,わかりづらいものとなっている感がある.
 本書は大きく2部構成となっており,前半はIBDで使用する薬剤の解説,後半は日常診療で出遭いそうなIBD患者のシナリオを提示し,どのような治療選択を行うかについてのケーススタディのようになっている.前半の薬剤の解説と後半の患者像に対する対処法については,まず,比較的若手の医師に執筆してもらい,IBD診療の専門医かつベテランである編者2人が,前半については内容を厳密にチェックして添削,後半に関しては,若手医師の提示した治療方針についての解説を行った.
 特に後半のケーススタディについては他書にはない特徴と自負しており,ちょうど,消化器内視鏡分野の書籍でみられる,内視鏡写真を提示して診断名を当てる,というようなものに相当する.内視鏡診断と異なるところは,IBDの治療選択では絶対の正解がない,という点である.若手医師の挙げた対処法とベテランの解説を読み進めていただくと,IBD治療薬を実際に使用するに当たって,何に注意し,何を根拠に薬を選択するのかがわかっていただけると思う.さらに,もう一つ,IBD専門医であっても治療を選択するに当たり,患者一人ひとりの病態や社会背景などに適した薬剤は何なのか? それが効かないときはどうすればいいのか? を悩みながら,それでも最適と信じる決断をしていることがわかっていただけるであろう.
 本書が読者の皆様のIBD診療における治療選択のヒントとなり,より多くのIBD患者が笑顔で日々を過ごせるようになることを願ってやまない.

2021年8月
編者を代表して
加藤 順
第1章 IBD治療薬の使い方─総論
  IBDの病態と治療目標
  IBD治療の基本方針と考え方
  UCに対する治療の流れ
  CDに対する治療の流れ

第2章 治療薬の基礎知識,基本的な使い方
 A.いわゆる既存薬
  1.5-ASA製剤(経口薬,サラゾピリンを含む)
  2.プレドニゾロン(経口・静注)
  3.血球成分除去療法(GMA)
  4.チオプリン製剤(イムラン,ロイケリン
  5.カルシニューリン阻害薬(タクロリムス,シクロスポリン)
  6.経口ブデソニド(ゼンタコート
  7.5-ASA製剤(局所製剤)
  8.副腎皮質ステロイド(局所製剤)
  9.栄養療法
 B.生物学的製剤/JAK阻害薬
  1.抗TNFα抗体製剤(インフリキシマブ)
  2.抗TNFα抗体製剤(アダリムマブ)
  3.抗TNFα抗体製剤(ゴリムマブ)
  4.抗IL-12/23抗体製剤(ウステキヌマブ)
  5.抗インテグリン抗体製剤(ベドリズマブ)
  6.JAK阻害薬(トファシチニブ)
 C.その他(今後承認が見込まれる薬剤や適応外薬)
  1.トファシチニブ以外のJAK阻害薬
  2.抗IL-23p19抗体製剤
  3.S1P受容体作動薬
  4.α4インテグリン阻害薬(AJM300)
  5.青 黛(セイタイ,漢方薬)
 D.ジェネリック医薬品とバイオシミラーについて

第3章 病態から考える薬物治療の実際
 A.薬物治療前の病態評価,チェック事項
  1.薬物治療開始前
  2.生物学的製剤/JAK阻害薬開始前
  3.疾患活動性モニタリングおよび薬剤の有効性評価
 B.潰瘍性大腸炎
  1.初発時
   Scene 1:軽めの中等症
   Scene 2:重めの中等症
   Scene 3:すごく軽い場合
  2.再燃,悪化時
   Scene 4:ステロイドが効いたが漸減で再燃する場合
   Scene 5:ステロイドが効かない場合
   Scene 6:5-ASA不耐が疑われる場合
  3.慢性持続時
   Scene 7:少量ステロイドだらだら系
   Scene 8:5-ASA full doseでちょっと足りないとき
  4.生物学的製剤の使用開始,スイッチを考えるとき
   Scene 9:チオプリン製剤の不応/不耐例
   Scene 10:治療を急がない,若い人
   Scene 11:治療を急ぐ,若い人
   Scene 12:治療を急がない,高齢者
   Scene 13:治療を急ぐ,高齢者
  5.重症,入院時
   Scene 14:治療開始前で重症なので入院
   Scene 15:外来ステロイドで良くならず入院
   Scene 16:生物学的製剤一次・二次無効/不耐で入院
  6.スペシャルシチュエーション
   Scene 17:妊娠中の発症/再燃
   Scene 18:自宅への退院ができない高齢者
 C.クローン病
  1.初発時
   Scene 19:大腸型,合併症なし
   Scene 20:小腸病変あり,合併症なし
   Scene 21:痔瘻がメインの症状
   Scene 22:狭窄または瘻孔あり
  2.生物学的製剤スイッチ時
   Scene 23:インフリキシマブの一次・二次無効/不耐例
   Scene 24:アダリムマブの一次・二次無効/不耐例
   Scene 25:ウステキヌマブ,ベドリズマブの一次・二次無効/不耐例
   Scene 26:生物学的製剤使用中に狭窄症状(または感染症)出現
  3.手術後の治療
   Scene 27:生物学的製剤使用前に手術になり,活動性病変が取りきれた場合
   Scene 28:生物学的製剤使用前に手術になり,活動性病変が残存する場合
   Scene 29:生物学的製剤使用中に手術になり,活動性病変が取りきれた場合
   Scene 30:生物学的製剤使用中に手術になり,活動性病変が残存する場合

略語一覧
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