最短コースで急性心不全患者を治療するためのテクニック!
Management of Heart Failure
明日から役立つ急性心不全薬物治療のテクニック(電子版のみ)
内容
序文
主要目次
最近,急性心不全治療において,その臓器障害をひき起こさないためにも,急性心筋梗塞同様,発症から治療開始までの時間を考慮することが大切と言われている.これを実践するためには,迅速な病態把握を行い,一方で使用する薬剤の薬物動態を含めた薬剤特性の知識を基に病態に合った治療戦略を組み立てることが重要である.それをいかに適切に行い,その後の刻々と変化する病態にいかに対応していくかが重要なポイントなのである.
しかし,このようなコンセプトを理解していても,実践的な理解が不足している場合も少なからずあると考えられる.実臨床において実践するためには,病態把握法のポイントを改めて再確認することが必要である.一方で,急性期に使用する薬剤の特性にできるだけあった病態を把握し,しかも薬物動態を基準にどの用量からどのようなタイミングで投与し,どのタイミングで効果判定を行うべきか,そして,その結果に対してどのようにアセスメントして対応するかを判断する必要がある.しかも,入院中に心不全を悪化させることは予後不良につながることから,円滑な心不全治療が求められる.このように,病態と薬剤特性を的確に組み合わせて初めて,より最短コースで目の前の急性心不全患者を治療することができるようになる.
1人でも多くの急性心不全患者の転帰を改善するために, 治療方法の効果を最大限に引き出す共通認識を持って,誰が治療してもその基本を外さないようにすることが求められている.この時代のニーズにこたえるべく,今までにない病態把握と薬剤特性の理解を深める特集を企画した.使い慣れない薬剤でもその都度,使用法や薬物動態を自分で調べることなく,本書を片手に実践に活かすことができる.また,使い慣れていると思っている薬剤の特性も今一度,その薬物動態を見直していただくことで,より適切な治療を実践することが可能になると思う.1人でも多くの救急に携わるスタッフが本書を参考により良い急性心不全診療を実現していただきたい.最後に,大変お忙しい中,本企画に賛同いただき,執筆いただいた先生方に心より感謝申し上げます.
2017年2月
日本医科大学武蔵小杉病院 佐藤直樹
1 総論
2 心原性肺水腫
3 体液貯留
4 低心拍出
5 右心不全
II 薬剤特性を識らずして実践無し!
1 血管拡張薬
a. 総論
b. 各論
2 利尿薬
a. 総論
b. 各論
3 強心薬・昇圧薬
a. 総論
b. 各論
4 抗不整脈薬
a. 総論
b. 各論
III 薬物治療の実践
1 総論
2 急性心原性肺水腫
3 体液貯留
4 低心拍出
5 右心不全
6 致死的不整脈
索引