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医療・介護・在宅で起こる転倒エピソードを体系的に整理!予防のための思考過程がよく分かる!

エピソードで学ぶ転倒予防78

医療・介護・在宅でのコモンプロブレムへの介入

  • 編集:山田 実(筑波大学人間系)
  • B5変型判・178頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-4566-2
  • 2018年5月25日発行
定価 3,080 円 (本体 2,800円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

転倒予防は様々なセッティングで検討が重ねられエビデンスが構築されつつある.一方で,転倒は疾病、時期,環境などの組合せを考慮する必要があり,個々への対応策は決して容易ではない.本書は医療現場や介護施設で遭遇することの多い疾病を対象に,各セッティングにおける転倒予防の78テーマが十分な経験を有する執筆者が確かに根拠に基づき解説されている.各エピソードは転倒要因と対応の考え方を直感的に理解できるようチャートで示されており,介入のための思考過程が良く理解できる.


 転倒予防:まさに古くて新しい用語であり,医療や介護,それに地域の現場の従事者にとって避けることの出来ない課題です.
 転倒予防については,以前より医療現場,介護施設,在宅など,様々なセッティングで検討が重ねられ,種々のエビデンスが構築されています.近年では,病院や施設において転倒対策が一般化されるようになり,スタッフ一丸となり転倒防止に努めるようになりました.しかし,「転倒」と一言で言ってもその実態は,様々な疾病(脳卒中,大腿骨近位部骨折,心不全,糖尿病…),様々な時期(急性期,回復期,生活期…),様々な環境(病院,施設,在宅…)などの組合せを考慮する必要があり,それら個々への対応策は決して容易ではありません.
 本書では,医療現場や介護施設で遭遇することの多い疾病を対象に,それぞれのセッティングにおける転倒予防78テーマを体系的にまとめました.78のテーマは,医療・介護現場の第一線で活躍する従事者によるノミナルグループディスカッション(アイディアの抽出と整理)によって決定しました.そして,それぞれのテーマについて十分な経験を有する従事者が確かな根拠に基づいて本文を作成しています.つまり,現場の声を形にし,実際の課題感や困難感を見える化したものが本書です.また,それぞれのテーマには科学的な裏打ちが十分になされた情報をまとめたことで,転倒予防に関わる様々な職種の従事者から学生まで幅広い層に寄り添う内容となっています.
 本書のもう一つの特徴は,78それぞれのテーマが見開きで簡潔しているところにあります.そして,それぞれ右側ページ上段には,考えられる転倒の要因とそれらへの対応の考え方をイメージ図にまとめました.このイメージ図により,経験と知識を有する専門家の転倒予防に対する思考過程の共有を可能にしました.
 各著者の転倒予防に対する思いが詰まったそれぞれのテーマから,78通りの思考を共有し,ご自身の持つ経験・知識と照らし合わせながら転倒予防に役立ててください.転倒予防の学習はまさに七転八起です.転んだ分だけ学ぶことがあります.是非,本書とともに転倒予防の歩みを進めていきましょう.

2018年5月

 筑波大学人間系
 山田 実
脳血管疾患
 1 急性期 心原性脳塞栓症例における転倒予防 ─Pusher現象を呈した症例─
 2 急性期 BAD型脳梗塞症例における転倒予防 ─神経症候増悪に伴う転倒発生の予防─
 3 急性期 脳主幹動脈狭窄を有する脳梗塞症例における転倒予防
       ─離床時の血圧変動に注意が必要な症例─
 4 急性期 脳出血急性期における転倒予防
 5 急性期 水頭症を合併したくも膜下出血患者における転倒予防
 6 急性期 慢性硬膜下血腫術後症例における転倒予防
 7 急性期 脳腫瘍術後症例における転倒予防
 8 回復期 てんかんを有する脳出血症例における転倒予防
 9 回復期 左片麻痺,半側空間無視を有する脳梗塞症例における転倒予防
 10 回復期 右片麻痺,失語を有する脳梗塞症例における転倒予防
 11 回復期 感覚障害を有する脳梗塞症例における転倒予防
 12 回復期 失行を有する脳梗塞症例における転倒予防
 13 回復期 注意障害を有する脳梗塞症例における転倒予防
 14 回復期 運動失調を有する小脳梗塞症例における転倒予防
 15 回復期 同名半盲を有する脳梗塞症例における転倒予防
 16 回復期 内反尖足を呈する脳梗塞症例における転倒予防─夜間頻尿への対応を中心に─
 17 病院→在宅 段差でつまずきやすい脳卒中患者における転倒予防─在宅復帰に向けて─
 18 病院→在宅 トイレでの立ち上がりが困難な脳卒中患者における転倒予防
 19 病院→在宅 基本動作能力が低下した脳卒中患者における転倒予防
 20 病院→在宅 自宅退院に際して浴槽の出入りを検討した脳梗塞片麻痺症例
 21 在宅 装具が不適合になった脳卒中患者における転倒予防
 22 在宅 活動量が低下した脳卒中患者における転倒予防
 23 在宅 自宅内が整理整頓されていない脳卒中患者における転倒予防
 24 在宅 要介護度の区分変更によりサービス利用が制限された脳卒中患者における転倒予防
 25 在宅 筋緊張の亢進により関節可動域制限が進行した脳卒中患者における転倒予防
 26 在宅 誤嚥性肺炎後に身体機能が低下した脳卒中患者における転倒予防
神経筋疾患
 27 病院→在宅 パーキンソン病患者(YahrI~II)における転倒予防
 28 病院→在宅 パーキンソン病患者(Yahr III)における転倒予防
 29 病院→在宅 パーキンソン病患者(Yahr IV)における転倒予防
 30 病院→在宅 すくみ足が顕著なパーキンソン病患者における転倒予防
         ─退院時指導を中心に─
 31 病院→在宅 転倒により受傷した圧迫骨折を合併するパーキンソン病患者における転倒予防─退院時指導を中心に─
 32 病院→在宅 認知機能低下のあるパーキンソン病患者における転倒予防
         ─退院時指導を中心に─
 33 急性期 ギランバレー症候群を有する高齢者における転倒予防
 34 急性期 多発性硬化症を有する高齢者における転倒予防
 35 急性期 脊髄小脳変性症を有する高齢者における転倒予防
運動器疾患
 36 急性期 大腿骨頸部骨折(人工骨頭置換術後)患者における転倒予防
       ─術後早期からの介入─
 37 急性期 長期の免荷期間を要した大腿骨近位部骨折患者における転倒予防
 38 急性期 認知症を有する大腿骨近位部骨折患者における転倒予防
 39 急性期 重度の円背を有する大腿骨近位部骨折患者における転倒予防
 40 急性期 人工股関節全置換術後症例における転倒予防─早期退院に向けての対応─
 41 急性期 人工膝関節全置換術後症例における転倒予防
       ─術後早期離床から院内歩行移動獲得まで─
 42 回復期 大腿切断患者における転倒予防─回復期の対応を中心に─
 43 回復期 不全四肢麻痺患者における転倒予防
 44 病院→在宅 高度関節リウマチ患者における転倒予防
 45 病院→在宅 自宅退院に際して移乗方法を検討した不全四肢麻痺症例
 46 病院→在宅 自宅退院に際して移動方法を検討した大腿切断症例
 47 在宅 痙性麻痺による下肢のつっぱりが強い不全四肢麻痺患者における転倒予防
 48 在宅 異常感覚を有する不全四肢麻痺患者における転倒予防
 49 在宅 中心性頸髄損傷患者における転倒予防
内部障害
 50 急性期 徐脈性不整脈を有する心疾患患者における転倒予防
 51 急性期 頻脈性不整脈を有する心疾患患者における転倒予防
 52 急性期 急性心不全患者における転倒予防
 53 急性期 虚血性心疾患患者における転倒予防
 54 急性期 心臓外科手術患者における転倒予防
 55 急性期 閉塞性動脈硬化症における転倒予防
 56 急性期 失神歴がある患者における転倒予防
 57 急性期 慢性閉塞性肺疾患急性増悪患者における転倒予防─入院後,初回離床を中心に─
 58 急性期 糖尿病性神経障害患者における転倒予防
 59 急性期 糖尿病性足病変を有する患者における転倒予防
       ─免荷装具着用下の転倒について─
 60 急性期 慢性腎臓病,尿毒症患者における転倒予防
 61 急性期 血液透析患者における転倒予防
 62 急性期 血液内科疾患患者における転倒予防
 63 急性期 消化器外科術後患者における転倒予防 ─初期離床を中心に─
 64 急性期 悪性腫瘍,化学療法治療中の患者における転倒予防
 65 急性期 貧血を呈している患者における転倒予防
 66 病院→在宅 在宅酸素療法を導入した患者における転倒予防─退院時指導を中心に─
 67 在宅 慢性心不全を有する高齢者の転倒予防
 68 在宅 慢性閉塞性肺疾患を有する高齢者の転倒予防
 69 在宅 糖尿病性網膜症を有する患者における転倒予防
 70 在宅 低血糖を呈しやすい糖尿病患者における転倒予防
 71 在宅 糖尿病を有する高齢者の転倒予防
 72 在宅 慢性腎臓病を有する高齢者の転倒予防
高齢者
 73 地域 ロバスト高齢者における転倒予防
 74 地域 プレフレイル高齢者における転倒予防
 75 地域 フレイル高齢者における転倒予防
 76 地域 MCI患者における転倒予防
 77 地域 認知症患者における転倒予防
精神疾患
 78 維持期 統合失調症患者における転倒予防
文献
索引