あなたのクリニックで今日から使える,糖尿病学習プラン
糖尿病患者のヤル気を引き出す!(電子版のみ)
今日から使える学習プラン
内容
序文
主要目次
☆モノクロ写真41点,図版2点
「糖尿病は教育の病気である」といわれます.つまり,糖尿病のケアにとっての最重要事項は「患者教育」なのです.
そうなると,理想的な糖尿病ケアをするには,医療人が大学の教育学部に入学して教員の資格をとる必要があります.でも,これから大学に行って学校の先生になろうというのは無理かもしれません.
あるいは,発想を変えて学校の先生に糖尿病教育をしていただくのがいいかもしれません.しかし,多くは成人教育ですから,小学校の先生では,生徒さんの年齢がいつもよりは少しばかり上でしょう.ひょっとしたら,生徒さんは学校の先生のお父さんやお母さんの年齢です.
それならば,糖尿病教育に携わる医療人が,教育についてマスターするしかありません.マスターとまではいかなくても,患者さんに「学習プランをつくって,一緒に勉強しましょう.」くらいのことはいえるようにならなければなりません.
そこで,かつて私は医科大学の内科学教室を主宰していましたが,一方で日本医学教育学会という学会の責任者もしておりましたので,糖尿病教育と医学教育の「教育」という共通項のところを応用することにしました.
本書の内容について,もっと詳しいカリキュラム立案のことを勉強してみたいという方は, かつて私たちが作った『医療プロフェッショナルワークショップガイド』(篠原出版新社,2009年)をご覧ください.私がその本の巻頭言でも触れましたが, その書物は医療人が教育について勉強する研修会用の資料です.そこで,それを素材として,学習者を糖尿病患者とし,学習支援者を糖尿病教育担当者に置き換えて,実際的に書き改めたのが本書です.
この本のイラストは,印南ゆう子さんに描いていただきました.この絵に出てくるお医者さんは,みんなが,私に「そっくりだ」というのです.自分では,私はもっとホソオモテで,すらっとしていると思っているのですが…….学会の会場で私とすれ違ったとき,「あ,あいつだ!」とわかったら,遠慮なく声をかけてください.でも,そうなら悔しいけど印南さんの勝ちです.
出版にあたっては, 文光堂の嵩恭子さん, 堀内珠理さんにお世話になりました.心より感謝を申し上げます.
平成28年1月
齋藤宣彦
1)「教育」とはその人の持っている能力を引き出すこと
2) 教育ができたかどうかはその人がどう変わったかでわかる
3) 患者さんが“糖尿病の知識を得た”から「糖尿病教育ができた」という
のは大間違い
4) 望ましい状態を維持できるようにサポートするのが医療人の役目
5)「説明したのにわかっていない!」は“教員の錯覚”
6)「ご理解いただけましたか」の不十分さ
7)「糖尿病学習は楽しい」と感じる?
2 糖尿病学習計画=カリキュラムはこうつくる
1) 学習にはカリキュラムが必須
2) カリキュラムの3要素
3) 到達目標をつくる
4) ゴールに到達するための学習の順番・方法や必要なものを示す
5) 学習途中での振り返りとゴールに到達できたかどうかを判定する
3 はじめて糖尿病といわれた人の学習計画
1) 到達目標を立てる
2) 学習方法を計画する
3) 到達度測定と振り返り
4 食事療法を心配している人の学習計画
1) 到達目標を立てる
2) 学習方法を計画する
3) 到達度測定と振り返り
5 運動療法はちょっとできそうもないと思っている人の学習計画
1) 到達目標を立てる
2) 学習方法を立案する
3) 到達度測定と振り返り
6 糖尿病で内服薬が処方された人の学習計画
1) 到達目標を立てる
2) 学習方法を計画する
3) 到達度測定と振り返り
7 糖尿病で注射薬を使うことになった人の学習計画
A インスリンによる治療
1) 到達目標を立てる
2) 学習方法を計画する
3) 到達度測定と振り返り
B GLP-1受容体作動薬による治療
1) 到達目標を立てる
2) 学習方法を計画する
3) 到達度測定と振り返り
8 血糖自己測定(SMBG)をしようとする人の学習計画
1) 到達目標を立てる
2) 学習方法を計画する
3) 到達度測定と振り返り