野球関係者と医療関係者が総力を挙げて編集!野球肘の早期発見と予防のためのガイドブック!
野球肘検診ガイドブック
内容
序文
主要目次
かねてより念願であった「野球肘検診ガイドブック」を出版することができました.本書作成にかかわってくださった多くの執筆者や文光堂の担当者のご協力に心より御礼申し上げます.
少子化や子どものスポーツ離れの影響もあり,野球人口は低下の一途にあります.こういったなかで野球を選んでくれた子どもたちにエールを送りたいと思います.彼らが健康で元気に学童期を過ごし,さらに野球が好きになり,中学,高校でも野球を継続してもらいたい.上手になることは大切ですが,それ以上に身体を壊さないこと,ケガや障害で野球を断念することがないようにする.さらには野球を通じて人間形成をして社会に貢献する.そういう願いを込めて野球関係者と医療関係者が力を合わせて本書を作成いたしました.
徳島県では1981年から県下の野球少年全員を対象に野球肘検診を行っており,松浦哲也先生に経験のなかで積み重ねたノウハウを詳細かつ簡潔に述べていただきました.また近年,検診の中核を担う超音波検査についてもパイオニアの1 人である石崎一穂検査技師にコツとピットフォールを余すことなく述べていただきました.ここ10年あまりで野球肘検診を行っている地域が増えましたが,実施している都道府県はいまだ50%に届きません.各地で行われている検診の実態を報告していただき,地域に特化した工夫や問題点について述べていただきました.都市部への人口の集中に伴い,検診の対象となる子どもも都市部ほど多くなっています.しかし都市部では複雑な社会事情のために検診を開始することすら困難です.逆に地方では対象は少ないが,医療従事者が不足して検診を行えません.地域や学閥の枠を越えた“チーム中国・四国”や“チーム東北”のような連携・協力が必要です.本書がそのような活動の一助になることを祈念いたします.
平成30年春吉日
編集代表
柏口 新二
1 学童期野球肘検診の意義
2 アンケート調査による野球肘検診の現状
3 「運動器の10年・日本協会」成長期スポーツ障害予防委員会の取り組み
2 子どもの育成と野球肘検診
1 子どもの育成における野球肘検診の位置づけ
2 野球肘検診の広がりと課題
3 野球肘検診マップの必要性
3 成長と野球肘
1 子どもの野球肘と成人の野球肘
2 上腕骨小頭の骨化進行過程と離断性骨軟骨炎(OCD)
3 OCDと骨軟骨骨折の区別
4 検診対象となる障害
4 学童期野球選手の検診
1 検診とは?—検診,健診とメディカルチェック
2 検診でターゲットとすべき疾患は?
3 検診のながれ
4 事前準備
5 アンケート調査
6 一次検診
7 一次検診後の対応
8 二次検診受診時の対応
9 二次検診結果の報告
5 超音波検査(エコー検査)の実際
1 原理と手技
2 エコー所見の読影—観察のポイントと評価方法
3 症例提示
6 野球肘検診における画像検査選択の指針
1 離断性骨軟骨炎の診断
2 内側上顆障害の診断
7 中学生野球選手の検診
1 検診の目標とする障害
2 いつ,どこで,どのように行うか
3 指導者・保護者の見守り
8 高校生野球選手の検診
1 検診の目標とする障害
2 いつ,どこで,どのように行うか
3 指導者・保護者の見守り
9 トップレベル選手の身体チェック
1 トップレベル選手に必要な身体チェックの全体像
2 医学的検査の意義と内容
3 医学的検査の留意点
10 学童期の野球少年の育成と身体機能
1 少年野球選手の育成と野球指導—学童期に身につけてほしいこと
2 体力チェックの項目
3 ストレッチの実際
11 グラウンドや家庭でできるセルフチェック
1 子どもの身体の変化を見逃さない
2 誰に相談するか
12 各地の検診活動
1 京都府での取り組み
2 新潟県での取り組み
3 北海道での取り組み
4 青森県・岩手県での取り組み
5 宮城県での取り組み
6 宮崎県での取り組み
7 横浜市での取り組み
8 東京都での取り組み—自費診療としての検診
9 千葉県での取り組み
13 野球肘検診の過去,現在そして未来へ
1 野球肘検診の始まり
2 現行の野球肘検診
3 将来の野球肘検診のあり方
コラム
検診と健診,メディカルチェックの違い
「滑り台のトップ」は危険がいっぱい
X線検査と超音波検査 どちらが敏感か
野球肘検診と野球検診
索 引