TOPページへ

難治性肝疾患のすべてを俯瞰する!

Hepatology Practice  4

難治性肝疾患の診療を極める(電子版のみ)

基本から最前線まで

カバー写真
  • ゲスト編集:大平弘正(福島県立医科大学教授)
  • ゲスト編集 坂井田功(山口大学教授)
  • 常任編集:竹原徹郎(大阪大学教授)
  • 常任編集 持田 智(埼玉医科大学教授)
  • B5判・356頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-1893-2
  • 2014年5月18日発行
定価 11,000 円 (本体 10,000円 + 税10%)
なし
在庫
電子版販売サイト

上記の電子版販売サイトのボタンをクリックすると,外部のサイトに移動します.電子版の購入方法は各販売サイトにてご確認ください.

内容

序文

主要目次

難治性肝疾患として自己免疫性肝疾患,薬物性肝障害,急性肝不全,その他の肝疾患(肝内結石症,門脈血行異常症,金属代謝異常による肝疾患)を取り上げ,標準的な診療から最新の治療法,あるいは基礎研究分野における最先端の知見までを網羅したテキスト.難治性肝疾患診療の現在・過去・未来を俯瞰した消化器内科医必携の一冊.
☆図版97点,表組88点,モノクロ写真37点

【Hepatology Practiceシリーズの概要】
10年後の肝臓病学を見据えて刊行した全5巻のシリーズ.消化器病学を学ぶ若手の医師,研究者が,肝臓病診療の現況とともに,その基盤となる研究成果から将来の展望まで見渡せるよう,ディベート,フロンティア,レクチャーなど様々な切り口から解説した.肝臓病の診療・研究の現状・展望を理解するのに必携のテキスト.
序 文

 このたびHepatology Practiceシリーズの第4巻として「難治性肝疾患の診療を極める〜基本から最前線まで〜」がまとまりました.本書では,難治性肝疾患として自己免疫性肝疾患,薬物性肝障害,急性肝不全,その他の肝疾患(肝内結石症,門脈血行異常症,金属代謝異常による肝疾患)をとりあげ,標準的な診療から最新の治療法,あるいは基礎研究分野における最先端の知見をエキスパートの先生方に詳細に解説いただき,難治性肝疾患の現在・過去・未来を指示し,“道しるべ”となるようにとの思いで企画いたしました.一冊の中に広範な領域が網羅され,充実した内容が記述されており,貴重な時間を割いて
執筆された先生方に心から感謝申し上げます.
 わが国においては,これまで厚生労働省の難治性疾患克服事業における「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班」や「門脈血行異常症に関する調査研究班」を中心として,疫学調査,診断基準の見直し等,ここ数年間に数多くの研究成果が報告されています.本書においてもそれら成果内容をもれなく記述していただきました.自己免疫性肝炎と原発性胆汁性肝硬変においては診療ガイドラインが研究班から公表され,より的確な診断と適切な治療法が示されております.継続的な疫学調査も疾患の動向を把握するうえで貴重な情報となっております.一方,健康食品,民間薬等も含めた薬物性肝障害も近年増加しており,社会的にも大きな問題となっています.これら自己免疫性肝疾患や薬物性肝障害では,明確な診断マーカーがないため日常診療ではしばしば診断に苦慮する場面に遭遇しますが,その対応についても可能な限り解説していただいております.
 急性肝不全においては,肝炎像を呈さない急性肝不全も加えた診断基準が新たに発表され,この基準に基づく全国集計によってわが国における急性肝不全の実態が明らかになっています.on-line HDFの有効性や予後予測のデータマイニングといった新規話題も取り上げております.さらに,肝内結石症の全国調査からの動向や肝内結石症からの発癌の問題,門脈血行異常に関する話題,さらに希少ではあるが決して忘れてはならないヘモクロマトーシスとウィルソン病に関して,最新の研究成果も交えながら解説していただきました.
 これら原因あるいは有効な治療法が明らかとなっていない難治性肝疾患を改めて認識していただき,本書が日常診療において少しでもお役にたてれば幸いです.終わりに,本書を企画する機会を頂いた竹原徹郎教授,持田 智教授,出版にあたりご尽力頂いた文光堂の皆様に深謝申し上げます.

平成26年4月
大平弘正
坂井田功
自己免疫性肝疾患編
Ⅰ.基本編 ~自己免疫性肝疾患を診る前の基礎知識~
 1.肝と免疫システム
  A.自然免疫と獲得免疫
  B.肝構成細胞と免疫
 2.自己免疫性肝疾患と自己抗体
 3.自己免疫性肝疾患の発症機序
  A.AIHの発症機序
  B.PBCの発症機序
  C.PSCの発症機序
 4.自己免疫性肝疾患の疫学
  A.AIHの疫学
  B.PBCの疫学
  C.PSCの疫学
 5.自己免疫性肝疾患と原発性肝癌
II.診断編
 1.自己免疫性肝疾患の病理診断
 2.自己免疫性肝疾患の診断
  A.AIHの診断
  B.PBCの診断
  C.PSCの診断
 3.自己免疫性肝疾患非定型例の診断
 4.小児のAIHとPSCの診断
 Debate IgG4関連AIHは存在するか
 Lecture 核抗体陽性NASHとAIHとの鑑別
 LectureIgG4関連硬化性胆管炎とPSC鑑別のポイント
III.治療編
 1.自己免疫性肝疾患の薬物療法
  A.AIHの治療
  B.PBCの治療
  C.PSCの治療
 2.自己免疫性肝疾患に対する肝移植の現状
 3.小児AIHとPSCの治療
 Debate AIHはウルソデオキシコール酸単独治療でコントロール可能か
 Lecture ステロイド抵抗AIH例の対応について
 Lecture AIH様病態を伴ったPBCの治療について
IV.自己免疫性肝疾患を理解するための基礎研究
 1.自己免疫性肝炎の動物モデル
 2.自己免疫性肝疾患と遺伝子解析
 3.自己免疫性肝炎とケモカイン・サイトカイン
 4.AIHの新規自己抗体
薬物性肝障害編
Ⅰ.基本編 ~薬物性肝障害を診る前の基礎知識~
 1.薬物性肝障害の実態と疫学
 2.薬物性肝障害の発生機序
 Lecture 健康食品による肝障害
 Lecture 薬物性肝内胆管消失症候群
II.診断編
 1.薬物性肝障害の診断
 2.薬物性肝障害の病理
III.治療編
 1.薬物性肝障害の治療
IV.薬物性肝障害を理解するための基礎研究
 1.薬物性肝障害の危険因子
 2.薬物起因性自己免疫性肝炎
急性肝不全編
Ⅰ.基本編 ~急性肝不全を診る前の基礎知識~
 1.急性肝不全と類縁疾患の概念
 2.わが国における劇症肝炎・LOHFの実態(2009年以前)
 3.わが国における急性肝不全の実態(2011年以降)
 4.de novo B型肝炎の病態と対策
II.診断編
 1.急性肝不全の成因の診断
 2.急性肝不全の劇症化予知
 3.劇症肝炎・LOHFの予後予測および肝移植ガイドライン2008
III.治療編
 1.急性肝不全の治療ストラテジー
 2.急性肝不全の人工肝補助療法
 3.急性肝不全に対する肝移植
 Debate on-line HDFは急性肝不全の標準的治療法となり得るか?
IV.急性肝不全を理解するための基礎研究
 1.劇症肝炎の発症機序 ①アポトーシス・細胞死
 2.劇症肝炎の発症機序 ②微小循環障害
 3.劇症肝炎の発症機序 ③再生不全
 4.急性肝不全に対する肝再生医療:HGFによる肝再生医療
 5.急性肝不全に対する骨髄細胞を用いた肝再生医療の現状
 Frontier 予後予測のデータマイニング
その他の肝疾患編
肝内結石症
Ⅰ.基本編 ~肝内結石症を診る前の基礎知識~
 1.肝内結石症の定義と病型
 2.肝内結石症の成因と病態
 3.肝内結石症の疫学
II.診断編
 1.肝内結石症の診断
 2.肝内結石症からの発癌
III.治療編
 1.肝内結石症の内科的治療
 2.肝内結石症の外科的治療
IV.肝内結石症を理解するための基礎研究
 1.胆管癌の新規バイオマーカー
 2.胆汁の遺伝子発現解析の試み
門脈血行異常症
Ⅰ.基本編 ~門脈血行異常症を診る前の基礎知識~
 1.特発性門脈圧亢進症
 2.肝外門脈閉塞症とBudd-Chiari症候群
 3.門脈血栓症
 4.肝細静脈閉塞症
II.診断編
 1.門脈圧亢進症の画像診断
III.治療編
 1.門脈圧亢進症に対する内科的治療(IVR治療)
 2.門脈圧亢進症に対する腹腔鏡下脾摘術と胃上部血行遮断兼脾摘術(Hassab術)
IV.門脈血行異常症を理解するための基礎研究
 1.門脈圧亢進症とサイトカイン
金属代謝異常による肝疾患
 1.ヘモクロマトーシス
 2.ウィルソン病