画像判読力を高め,最短コースで超音波検査士をめざす!
判読力を高める!
循環器超音波検査士への最短コース
内容
序文
主要目次
超音波検査法は患者への侵襲がなく,安全で簡便な検査法として医療現場に広く普及し,身体の各領域において専門化が進み高度な検査技術はもとより高度な画像読影能力も必要とされるようになった.これらのスキルレベルのチェック法の一つとして各種認定試験などが行われている.
本書は超音波検査におけるスキルアップのファーストステップとして「超音波検査士認定試験(循環器領域)臨床編」への対策を第一目的として作成されている.しかし,その目的を達成する過程で超音波画像データの判読能力も高められ日常臨床においても非常に役立つものとなっていると確信する.
認定試験はその性質上超音波画像に対する所見判読知識を問うものが多く,病態や治療方法,手術方式などの詳細は対象外となる.ただしガイドラインに関連して手術適応の判断基準に関係する所見や,所見から推定される病名などは試験対象となる.
最近の認定試験では消去法による絞り込みが困難な出題傾向となり,超音波画像の所見を的確に読み取る能力が求められている.したがって,本書では達成目標を
・画像に対する所見判読
・所見からの病名推定
・画像・ドプラ情報からの定量評価(画像からのマニュアル計測)
・症状からの病名推定
・症状と画像からの病名推定
・経食道心エコーの方法論および画像判読
・負荷心エコー(運動負荷法や薬物負荷法)の方法論および判定
・心疾患に関連のある大血管疾患,頸動脈疾患,静脈疾患の画像所見判読
などに的を絞り,教科書的な病態や治療方法などは成書に譲る.
なお,定量評価では超音波装置組み込みプログラムでなければ算出に時間を要する評価方法は省くが,短時間で算出可能な評価方法はマニュアル算出できるような内容としている.言い換えれば定量評価のための計算式の計算根拠が理解できるように解説した.また,装置組み込みプログラムからの計測結果値が提供された場合,その計測結果値から重症度などの判読が行え,各種診断ガイドラインに対応しやすい知識が習得できる解説となっている.
本書を手に取る読者は日常業務においてある程度の知識や技量がある読者と推察されるため初歩的な説明は省いているが,小施設に勤務されている読者の中には経験する症例数が少なく,かつ指導してくれる諸先輩もおらず,かといって講習会や学会に参加する時間的余裕もない方も少なくないと思われる.したがって,本書では検査士認定試験に出題されそうな基本的な症例(まれな症例は除く)は可能な限り多く取り上げ,それらの判読に必要な知識も網羅した.本書を利用することで独学でも検査士認定試験に合格できる知識が得られるとともに,臨床の現場で即戦力となるスキルも身につくと信じている.
最後に,お忙しい中本書の執筆に携わっていただいた先生方に深く感謝します.
本書が循環器領域の超音波検査士認定試験受験者および日常臨床で心エコー図検査を行っている多くの方々の一助となれば幸いである.
仲宗根 出
1 僧帽弁狭窄症の判読ポイント
2 僧帽弁閉鎖不全症の判読ポイント
3 大動脈弁狭窄症の判読ポイント
4 大動脈弁閉鎖不全症の判読ポイント
5 三尖弁疾患の判読ポイント
6 感染性心内膜炎の判読ポイント
2章 冠動脈疾患
1 局所壁運動異常
2 左室の区分と冠動脈支配領域
3 冠動脈疾患の主な検査項目
4 虚血以外の原因による壁運動異常との鑑別
5 心筋梗塞に伴う合併症
6 冠動脈血流
3章 大動脈疾患
1 大動脈瘤の判読ポイント
2 大動脈解離の判読ポイント
3 大動脈閉塞性病変の判読ポイント
4 腹部分枝動脈病変
5 画像・ドプラ情報からの定量評価
6 所見や症状からの病名推定
4章 心膜・心筋疾患
1 心膜液貯留の判読ポイント
a 心タンポナーデの診断
2 収縮性心膜炎の判読ポイント
3 心筋疾患
a 肥大型心筋症の判読ポイント
b 左室肥大を呈するその他の心筋症
c 拡張型心筋症の判読ポイント
d 拡張型心筋症に類似した心筋症
e その他の心筋症
5章 先天性心疾患
1 心房中隔欠損(ASD)の判読ポイント
2 心室中隔欠損(VSD)の判読ポイント
3 動脈管開存(PDA)の判読ポイント
4 Follot四徴(TOF)の判読ポイント
5 Ebstein奇形の判読ポイント
6 不完全型房室中隔欠損(incomplete AVSD)の判読ポイント
7 修正大血管転位(C-TGA)の判読ポイント
8 三心房心(coa triatriatum)の判読ポイント
9 単純性(成人型)大動脈縮窄(CoA)の判読ポイント
6章 心機能評価
1 心機能とは
2 左室収縮機能評価
3 左室拡張機能評価
4 右室機能評価
5 肺高血圧症
6 Tei Index
7章 負荷心エコー
1 負荷心エコーとは
2 負荷心エコー検査の適応
3 運動負荷心エコー検査
4 薬物負荷心エコー検査
5 負荷心エコー検査の中止基準
6 負荷心エコー検査の実際
7 負荷心エコーの方法
8 目的別評価
9 負荷心エコー検査に必要とされる知識と技術
8章 経食道心エコー
1 経食道心エコー法とは
2 検査の適応と禁忌
3 検査の流れ
4 プローブ
5 経食道心エコー法で得られる断面
6 経食道心エコー法が有用な疾患
9章 心臓腫瘍
1 心臓腫瘍の疫学
2 心臓腫瘍の判読ポイント
a 心臓粘液腫
b 乳頭状線維弾性腫
c 転移性心臓腫瘍
d 癌性心膜炎
e 悪性の原発性心臓腫瘍
3 まとめ
索引