症例の「何がどう変化したのか?」その動き・状態を超音波で画像化!運動療法技術をもっと高めるための最新技術をレクチャー!!
運動器理学療法超音波フロンティア Vol.1
内容
序文
主要目次
同フォーラム参加募集開始後,即日完売となった第1回大会にて熱い議論が交わされた「超音波を用いた運動器の動態評価と臨床応用」「超音波による組織弾性評価と臨床との接点」「スポーツ損傷に対する超音波評価と運動療法」に関する11タイトルを収載.経験豊富なベテラン理学療法士の手引きにより最先端の臨床技術を身に付けることができる.運動器を扱う全てのセラピスト必読の1冊.
歴史的に運動器理学療法領域における病態評価は,触診を中心とする身体所見を中心に置きつつ,機能解剖学,バイオメカニクス,生理学,病理学等を組み合わせながら,それらを統合することで行われてきました.卓越した運動療法技術は,確実に症例を変化させることを我々理学療法士は知っています.もちろん医師も患者もその治療効果を認めています.このように運動療法自体の有用性は皆が認めつつも,「何がどう変化したのか?」いう問いに対して,明確な答えを提示することができませんでした.その根本的な原因は,運動療法技術を画像化する手段を持っていなかったことが挙げられます.
近年の超音波画像診断装置の画像精度の向上はめざましく,運動器理学療法分野で扱う組織は,ほぼすべて見えると言って過言ではありません.被曝もなく,機動性に優れ,画質がきわめて良質なものとなった今,このツールを利用しない
理由はありません.加えて,動態観察はもちろんのこと,エラストグラフィを利用して組織硬度を客観化できるとなれば,今後は「運動器理学療法分野の画像化」を進める中心的な位置づけとなることは間違いないでしょう.このような背景のもと,運動器理学療法を専門とする理学療法士ならびに関連職種の方が,「超音波」をキーワードに議論するオールジャパンの場が必要であるとの気運が高まってきました.
この度,文京学院大学の福井勉先生,大阪電気通信大学の小柳磨毅先生,札幌医科大学の谷口圭吾先生,東北大学の村木孝行先生,中部学院大学の浅野昭裕先生,そして運動器機能解剖学研究所の林典雄が世話人となり,「日本運動器理学療法超音波フォーラム」を立ち上げる運びとなりました.そして記念すべき第1回大会を,2019年3月10日に名古屋市で開催させていただきました.当日は医師,理学療法士,トレーナーなど250名を超える参加者とともに,臨床技術を一歩進める超音波の応用報告,超音波を利用した運動器障害の基礎研究が活発に議論され,この分野における今後の学問的発展を予感させる有意義な時間を共有することができました.一方で,当日のホットな議論を聴講できなかった方々に対しては,紙面を通してその内容を周知する機会を得るべく,書籍化の検討を進めてきました.そして書名は,運動器理学療法分野における日本の最前線の内容を網羅するという意味を込めて,『運動器理学療法超音波フロンティア』とさせていただき,ここに上梓させていただきます.
日本運動器理学療法超音波フォーラムが,日本における運動器理学療法分野の研究を活発化する契機となり,より良質な理学療法を提供できる情報交換の場として定着できるよう,引き続きご支援をお願い申し上げます.最後になりますが,本書の出版にあたりご尽力いただいた文光堂諸氏に感謝いたします.
2020年5月
第1回日本運動器理学療法超音波フォーラム大会長
運動器機能解剖学研究所 林 典雄
Introduction
1 股関節深屈曲時痛に対する超音波動態観察と運動療法
2 血行動態評価を中心とした胸郭出口症候群の超音波検査
3 肩関節後方組織の動態と運動療法
4 足関節外傷術後の超音波評価と運動療法
CHAPTER 2 超音波による組織弾性評価と臨床との接点
Introduction
1 慢性足関節不安定症における足関節周囲筋の筋スティフネスの特徴
2 腱板断裂症例における肩甲骨面外転保持が棘上筋のスティフネスに及ぼす影響
3 肩関節後方関節包の受動的なスティフネスの定量評価
CHAPTER 3 スポーツ損傷に対する超音波評価と運動療法
Introduction
1 大腿四頭筋のストレッチ方法による伸張部位の変化
2 UCL損傷に対する超音波評価の臨床応用
3 超音波を用いた膝前方不安定性の定量的評価
4 肩・肘スポーツ傷害に対するshear wave elastographyの臨床応用
動画一覧とURL
索引