好評セミナーがハンドブックになりました!がん薬物療法に携わるならまずはこの一冊!!
がん研有明病院薬剤部が作った
がん薬物療法ABCハンドブック
内容
序文
主要目次
がん研究会有明病院は,特定機能病院であり,高度の医療の提供,高度の医療技術の開発および高度の医療に関する研修を実施する能力などを備えたがんの専門医療機関です.
薬剤部では,医薬品の安全性を確保し,医療安全対策に深く関与することで,患者が安心・安全な医療を受けられるよう努力しています.
また,入院患者さんの最適な薬物療法のために薬学的視点から支援し,医師・看護師および他のスタッフとのチーム医療に参画し,質の高い薬物療法が提供できるよう活動しています.そして,病院のvisionである「がんの診療・研究において世界に誇るがん研となる」の精神を第一義にとらえ,「枠にとらわれない発想と柔軟な対応」を目指し,診療,教育,研究を3本の柱として日々取り組んでいます.
近年,抗がん薬を使用しての化学療法では,従来の入院して行うものから外来において通院治療として実施することが主流となってきています.そのため,患者が病院にいる限られた時間だけではなく,長い時間を過ごす在宅における薬物療法を安全かつ効果的に行うに当たり病院薬剤師と保険薬局薬剤師で患者情報を共有し連携することがとても重要となっています.
しかしながら一方で,保険薬局の薬剤師の皆さんから,がん領域の薬物療法を学ぶには難しくてハードルが高い,抗がん薬を含む処方箋はたまにしか応需しないのでこれまで積極的に勉強していなかった,などの声を聴くことが多くあります.
当院では,病院薬剤師,保険薬局薬剤師,薬学部学生などの研修生を多く受け入れていることもあり,本書は初学者から中級者向けとなる研修生用のテキストとして,そして,2023年4月から当院のがんの認定取得薬剤師が毎月Webで開催しているABC セミナー(Ariake Basic in Cancer seminar)の参考書として作成しました.
本書を,がん薬物療法を学ぶ薬剤師を始めとした多くの医療スタッフの参考書としてご活用いただき,一人でも多くの患者に安全かつ効果的な抗がん薬治療を受けていただけましたら幸いです.
公益財団法人がん研究会有明病院院長補佐・薬剤部長
山口 正和
1 大腸がん
2 胃がん
3 食道がん
4 肝がん
5 胆道がん
6 膵がん
7 乳がん
8 小細胞肺がん
9 非小細胞肺がん
10 悪性リンパ腫
11 多発性骨髄腫
12 白血病
13 前立腺がん
14 膀胱がん
15 腎細胞がん
16 子宮頸がん
17 子宮体がん
18 卵巣がん
19 頭頸部がん
20 皮膚がん(悪性黒色腫)
21 緩和ケア
第2章 副作用の基礎知識とマネジメントのコツ
1 悪心・嘔吐
2 下痢
3 口腔粘膜炎
4 手足症候群
5 皮疹
6 末梢神経障害
7 高血圧
8 免疫関連有害事象(irAE)
9 発熱性好中球減少症(FN)
第3章 現場の疑問にがん専門薬剤師が答えるQ&A
1 経口ステロイド服用中の患者に対して,ST合剤が処方される基準はありますか?
2 B型肝炎再活性化予防に用いる抗ウイルス薬の使い分けはありますか?
3 固形腫瘍の腫瘍崩壊症候群に対するフェブキソスタットの服用意義と開始・終了のタイミングは?
4 S-1内服中に生じた流涙に対して推奨される点眼剤を教えてください
5 抗凝固薬を内服している患者を指導するときに注意すべきポイントを教えてください
6 がん薬物療法による便秘治療薬について教えてください
7 抗がん薬治療が開始される場合,抗リウマチ薬は継続可能ですか?
8 制酸薬と併用注意である分子標的薬の場合,制酸薬の中止は必要ですか?
9 抗がん薬治療中の排泄物や体液はどのように処理したらよいですか?
10 空腹時投与が必要な経口抗がん薬の代表例とフォロー時のポイントを教えてください
第4章 知っておきたい基礎・豆知識
1 レジメン管理
2 がん治療における検査値の見方
3 抗がん薬の調製・曝露対策
4 臓器機能による投与量設計
5 Grade評価とは
6 がん悪液質
7 適応外使用(レジメン,薬剤)
8 がん薬剤師外来とは
9 がん治療における薬薬連携,トレーシングレポート
10 がん専門資格と認定条件
11 がん治療における医薬品情報
付 録
用語解説集
現場で役立つ情報ツール
略語一覧
索引