日本の脳神経外科診療のスタンダードを示す!
脳神経外科診療プラクティス 3
脳神経外科医のための脳機能と局在診断
内容
序文
主要目次
☆図版67点,表組80点,カラー写真12点,モノクロ写真47点
本書のねらいは,「日常臨床の役に立つ」ということと「その背景となる神経学的知識を整理する」という2 点にあります.神経学が脳神経外科診療にとって非常に重要であることは言うまでもありませんが,画像診断技術の進歩に伴い軽視されがちになっていることも否めません.また,機能イメージングなどの発展により近年多くの脳機能に関する新知見も得られるようになりました.しかし,こうした視点から編集された脳神経外科医向けの解説書はほとんど見受けられませんでした.このような背景から,私どもは脳神経外科診療プラクティスシリーズ「脳神経外科医のための脳機能と局在診断」を企画することになりました.
本書では,たくさんの神経症候を羅列し細かく解説するということはしていません.脳神経外科診療に重要と思われる神経症候をピックアップし,それぞれについて「メカニズム」「分類」「評価(診断)」という項目ごとにまとめるかたちを基本としています.さらに,治療などに関する追記が必要と考えられた項目には,One point adviceという形で加えました.
読者は,脳神経外科研修医から専門医取得後の医師まで広く想定しております.十分な時間がなく通読することが難しい読者が大部分でしょうから,必要な時に必要な部分のみを読むという状況を想定して編集してあります.本書の作成にあたって,執筆は,各分野で著名な研究者である先生方に趣旨をご理解頂いた上でお願いしました.以下の点が今までになかった本書のユニークなところであるといえます.
・ 教科書的・網羅的記載には必ずしもこだわらず,診療を行うにあたって実践的で重要なことを記載し,なぜそうなのかということが理解できる.
・ 背景となる病態生理や機能解剖の記載を積極的に取り入れ,それにより診断や治療を行ううえでニューロサイエンスを理解することの重要性を感じ取れる.
・ 各項目間には若干の連続性はあるものの,基本的にはそれのみで完結するように記載し,その項目のみを読んでも理解できる.
・できるだけ多くの図表や写真を用いることによって視覚的に理解できる.
本書によって読者の先生方の日常診療が一層深厚なものとなれば望外の喜びです.
札幌医科大学 三國信啓
日本大学 深谷 親
1.意識のメカニズム
2.意識障害の分類
3.意識障害の評価
II. 局所症状と原因病巣
1.運動障害
2.知覚障害
3.言語障害
4.視覚障害
III. 運動麻痺
1.運動麻痺のメカニズム
2.運動麻痺の分類
3.運動麻痺の評価
4.適切なリハビリテーションの選択
IV. 不随意運動
1.不随意運動のメカニズム
2.不随意運動の分類
3.不随意運動の評価
【O】ニューロモデュレーション治療
V. 言語機能
1.言語機能障害の分類
2.言語機能の評価
3.適切なリハビリテーションの選択
VI. 認知機能
1.認知機能のメカニズム
2.認知機能障害の分類
3.認知機能の評価
4.認知機能障害患者の適切な対応
VII. 知覚障害と痛み
1.知覚障害と痛みのメカニズム
2.知覚障害と痛みの分類
3.知覚機能の評価
4.痛みの評価
【O】難治性疼痛の治療
【O】頭痛の治療
VIII. 視覚
1.視覚のメカニズム
2.視覚障害の分類
3.視覚機能の評価
IX. 眼球運動
1.眼球運動のメカニズム
2.眼球運動障害の分類
3.眼球運動の評価
X. 嚥下機能
1.嚥下のメカニズム
2.嚥下障害の分類
3.嚥下機能の評価
XI. 歩行
1.歩行のメカニズム
2.歩行障害の分類
3.歩容の評価
XII. 膀胱直腸障害
1.排尿のメカニズム
2.排便のメカニズム
3.膀胱直腸障害の分類
4.膀胱直腸障害の評価
XIII. 精神症状
1.精神症状(幻覚,妄想)のメカニズム
2.精神症状(情動障害)のメカニズム
3.精神症状の分類
4.精神症状の評価
【O】定位・機能神経外科手術でみられる精神症状
【O】てんかんと関連の深い精神症状
XIV. 顔面神経麻痺
1.顔面神経の解剖と機能
2.顔面神経麻痺の分類
3.顔面神経麻痺の評価
4.顔面神経麻痺の適切なリハビリテーション
XV. 小脳の障害と運動失調
1.小脳の解剖と機能
2.小脳機能障害の分類
3.小脳機能障害の評価
XVI. 失行,失認,半側空間無視
1.失行
2.失認
3.半側空間無視
XVII. てんかん
1.発作のメカニズム
2.てんかん脳波とその評価
3.手術可能なてんかんの分類
索引
*【O】:One point advice