難解な「右心不全」を理解するために最初に選ぶべき1冊!
Management of Heart Failure
右心不全を識り 評価して治療に活かす(電子版のみ)
内容
序文
主要目次
「高齢化社会に伴い心不全は増加している」というと,思い浮かべられるのは「左心の収縮不全そして拡張不全」である.それに関する研究・発表・論文・書籍は多く存在する.実際の臨床現場ではどうだろうか? 左心不全に右心不全を伴い, 入退院を繰り返す難治性の患者に困ることがよくあるのではないだろうか.「右心不全」を勉強するのに良い書籍が欲しいところである.そこで,右心不全を識り,評価して治療に活かすコンセプトのもと本書は企画された.最初から読んで,右心不全に対する理解を深めていくも良し, 途中興味のあるところから読んで,日々の診療に活かしていくも良しで,何度も開いて読んでいただきたい.
高齢化に伴うHFPEFの増加,外科治療の進歩による成人先天性心疾患の増加などにより右心不全は増えている. さらにLVAD を使用した後にわかってきた右心の重要性, 肺高血圧症治療薬の進歩後の右心不全治療やアミロイドーシス診療の進歩への期待など今後の課題も増えてきている.したがって,今こそ,何度でも読みたい「右心不全」の本が期待されていると考えられる.
全般を通じて「なるほど!」と思える書籍となり,本書が,理解・診断・治療が難しい「右心不全」を容易なものに変えていく一助になれば,さらに日々の診療がより深くなる一助になれば幸いである.
2016年3月
岡山大学 中村一文
右心不全を識り評価して治療に活かす
II 知っておくべき右室の病態生理と評価法
1 右室容量をどう評価する?
2 右室収縮・拡張能をどのように評価する?
3 右室心筋性状をどう評価する?
4 右室・左室相互作用をどのように評価する?
5 右心カテーテル検査を臨床に活かす
6 運動耐容能をどう評価し,どう活かす?
コラム BNPなどのバイオマーカーをどう活かすか?
III 激増する左心不全に伴う右心不全
1 収縮不全の予後を決めるのは右心不全─右心不全が絡むとなぜ左心機能が低下する?─
2 拡張不全の患者に多いout of proportion─その病的意義と治療をどうする?─
3 LVAD患者に右心不全が絡んだらどうする?
コラム どのような三尖弁閉鎖不全症は手術適応になる?
IV 肺高血圧症に伴う右心不全
1 肺高血圧症における右心機能
2 右心機能から見た肺動脈性肺高血圧症の治療戦略
3 呼吸器疾患でも肺高血圧症になるの?
コラム なぜ,静脈うっ血で乏尿になるのか?
V 先天性心疾患に伴う右心不全
1 今でも多い心房中隔欠損に伴う右心不全─その病態と治療─
2 増加している成人期の先天性心疾患
3 術後の右心不全をどうする?─Fallot術後,Fontan術後の問題点と対策─
コラム 胸水・腹水は右心不全のサインか?
VI 右室心筋の異常に伴う右心不全
1 不整脈原性右室心筋症では年齢と遺伝子異常に注目
2 アミロイドーシスはここまでわかりました
コラム 心筋生検をどう活かすか?
付録
右心不全・肺高血圧症治療に使用する薬剤一覧
索引