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基礎から応用まで,病理解剖の実際がこの1冊でわかる!CPC症例も加え,専門医試験の学習にも最適!

近刊〔予約商品〕

病理と臨床 2025年臨時増刊号(43巻)

病理解剖実践ガイドブック2025

  • 編集:大橋健一(東京科学大学)
  • 編集 新井冨生(東京都健康長寿医療センター)
  • 編集 柴原純二(杏林大学)
  • 編集 長嶋洋治(東京女子医科大学)
  • B5変型判・368頁・4色刷
  • 2025年4月3日発行予定
定価 9,900 円 (本体 9,000円 + 税10%)
なし
在庫

内容

序文

主要目次

「病理解剖マニュアル」(臨時増刊号30巻,2012年)から13年ぶりの大改訂.本書はマニュアルにとどまらず,病理解剖の基礎的な症例はもちろん,特殊な症例にまで対応できる構成とした.解剖で経験される疾患の所見の取り方,鑑別診断,全身性疾患の組織所見,病理解剖報告書のまとめ方,社会とのつながり,CPC症例解説などを900点近い図表とともに解説.病理解剖の実際を理解し,より実践的な対応力を養う指南書.専門医試験対策にも役立つ1冊.
『病理と臨床』43巻臨時増刊号
病理解剖実践ガイドブック2025
発刊にあたって

 近年,病理解剖を取り巻く環境は大きく変わっています.病院における解剖数の減少,解剖率の低下の傾向は以前からありましたが,新型コロナウイルス感染症の影響で減少に拍車がかかり,感染がおさまった現在でも解剖数の復帰には至っていません.解剖数の減少の影響は様々であり,外科病理関連の業務が増加している病理医の多忙な労働環境を若干軽減させるという点ではプラスの面がありますが,若手医師,専攻医の教育,病理専門医研修プログラムの運営という点ではマイナスの影響が大きく,プログラムの定員の算出にも直接影響しています.また,以前から病理専門医試験Ⅲ型の解剖例問題に対する答案のできがよくないことは,しばしば採点者間で話題になることがありました.解剖数の減少によりトレーニングの機会が減少しても,社会は病理医に対し依然として高い病理解剖の能力を期待しています.特に院内調査委員会,医療安全調査機構などにおける医療関連死症例の検討においては,病理医の豊富な解剖経験,症例の分析能力が求められています.プログラム終了に必要な解剖数を減らすことはできても,病理医の病理解剖に対する能力の低下は許されず,質を担保する教育システムが求められています.日本病理学会では毎年総会時に剖検講習会を行っていますが,専攻医からは自学習に適したテキストの不足が指摘されてきました.
 『病理と臨床』では2012年30巻の臨時増刊号として「病理解剖マニュアル」を出版しました.また文光堂の『図解病理解剖ガイド』(新井冨生 編,2018年)など病理解剖に関する専攻医向けの教科書もいくらか出版されています.今回の「病理解剖実践ガイドブック 2025」は『病理と臨床』臨時増刊号の 13年ぶりの改訂という形になりますが,前回と同様に,特殊な解剖に対しても対応の仕方を教えてくれるマニュアル的な機能の第1部「病理解剖の実際」に加えて,第2部では解剖例でしばしば経験される疾患の「肉眼所見のとり方,鑑別診断」,第3部では「病理解剖でよくみられる全身性疾患の組織所見」,第4部では「病理解剖報告書のまとめ方」,第5部では「病理解剖と社会」,第6部では具体的な「CPC症例解説」,第7部では関連データをまとめ「データブック」としています.特に第2,3,6部については専攻医の専門医試験対策にも配慮して充実させました.CPC症例解説は,過去の『病理と臨床』に掲載された症例から上記試験の対策にも有用と思われる症例を抜粋して再編集したものになります.
 本書が若い専攻医の先生方にとって病理解剖の実際を理解し,特殊な症例にも対応できるような指針になるだけではなく,専門医研修で不足している病理解剖経験を補い,専門医試験対策に役立つものになり,さらに病理解剖を取り巻く諸問題を理解することにつながるものになれば,編者としては大きな喜びとなります.専攻医,若手医師ばかりでなく,病理解剖に携わるすべての病理医にとって役立つものになることを期待しています.

 大橋健一 新井冨生 柴原純二 長嶋洋治
第1部 病理解剖の実際
 A 病理解剖の進め方
  1 病理解剖の役割と実際の留意点
  2 病理解剖の手技(脳以外)
  3 脳,脊髄の摘出
  4 胎児・新生児の解剖
  5 妊産婦の解剖
  6 特殊な部位の病理解剖
   a) 末梢神経,筋肉
   b) 眼球
   c) 頭蓋底,副鼻腔
   d) 脊椎骨,胸骨,骨盤骨,長管骨
  7 ブレインバンク
  8 死後画像
   a) 死後CTの読み方-早期死後変化を中心に-
   b) 病理との対比
 B 切り出し方,特殊検査
  1 心臓の開け方,切り出し方
  2 冠動脈の見方,切り出し方
  3 刺激伝導系の見方,切り出し方
  4 肺の見方,切り出し方
  5 脳脊髄の見方,切り出し方
  6 プリオン病の病理解剖
  7 病理解剖における特殊検査
   a) 細胞診標本作製
   b) 電子顕微鏡検査
   c) 感染性検体の取り扱い
   d) 染色体・遺伝子検査
  8 検体の保存法
  9 解剖室の感染対策,ホルマリン対策

第2部 肉眼所見の取り方,鑑別診断
  1 心臓
  2 心奇形
  3 小児にみられる奇形(心臓を除く)
  4 大血管
  5 肺,びまん性肺疾患
  6 消化管
  7 肝臓
  8 膵臓,胆道系
  9 泌尿器および男性生殖器
  10 神経変性疾患,脳血管障害
  11 リンパ節・造血器
  12 女性生殖器
  13 内分泌臓器

第3部 病理解剖でよくみられる全身性疾患の組織所見
  1 多臓器不全(MOF)
  2 薬剤性障害
   a) 肝臓
   b) 腎臓
   c)肺
  3 膠原病(SLE,RA,血管炎関連)
  4 リンパ腫関連
  5 感染症(敗血症,日和見感染)
  6 血栓症/塞栓症,播種性血管内凝固症候群
  7 糖尿病,代謝性疾患
  8 造血幹細胞移植関連病変

第4部 病理解剖報告書のまとめ方
  1 病理解剖の記録
  2 病理専門医試験より
  3 CPCとCPCレポート
  4 診療関連死関連症例の調査解剖の注意点,報告書のまとめ方,死因考察

第5部 病理解剖と社会
  1 日本の病理解剖の現状
  2 患者,社会とのつながり-ご遺族への説明の重要性-
  3 病理解剖と医学教育
  4 剖検輯報と剖検情報データベース
  5 医療安全に関連する死因調査の現状と課題
  6 異状死について,法医学の関わり

第6部 CPC症例解説
  1 大血管を冒し脳静脈血栓症に類似する臨床像を呈した血管内増殖の顕著な大細胞型B細胞リンパ腫の1剖検例
  2 多発血管炎性肉芽腫症を合併し,心不全悪化で死亡した陳旧性心筋梗塞の1剖検例
  3 播種性クリプトコッカス症を含む日和見感染症の原因と考えられたACTH産生下垂体神経内分泌腫瘍を解剖にて同定しえた1例
  4 運動ニューロン徴候と軽度認知障害を呈したALS/FTLD-TDPの1剖検例
  5 急速進行性の原因不明な肺高血圧症で発症したpulmonary tumor thrombotic microangiopathyの1剖検例
  6 胸腺腫合併肺癌に免疫チェックポイント阻害剤を投与し,筋炎・心筋炎を発症した1剖検例

第7部 データブック
  1 病理解剖に参考となる日本人の身長,体重,臓器重量
  2 病理解剖関連の法律

索引