地域ケアに待ったはナシ!広げよう,プロフェッショナルとしての知識と技術.高めよう,セラピストとしての応用力!
イラストでわかる高齢者の生活機能向上支援
地域ケアでの実践と手法の活用
内容
序文
主要目次
2025年という大きな節目の年を前に,改めてセラピストによる地域リハビリテーションへの参画に大きな期待が寄せられています.この拡大する需要に対し,十分に応えるためには,世に溢れるさまざまな情報を取捨選択し,有益な情報を整理しておくことが必要になります.
“地域”には老年症候群と称される,フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドローム,認知機能低下,うつ,転倒などの種々の機能低下をベースに,各種疾病に罹患しているケースも多く含まれます.さらに,これに加えて居住環境などが生活機能に影響するなど,その臨床像は言うまでもなく複雑です.しかし,“地域”の現場は,医療施設のように十分に整った設備環境で,十分な対象者情報に満たされた環境とはいえません.むしろ不十分な設備環境で,さらに対象者に対する情報も不十分という,決して恵まれた環境ではないなかで,セラピストとして最大限の専門性を発揮することが求められています.この高い難易度の要求に対し,より高次なレベルで応えるためには,種々の領域のエビデンスを把握し,それらを実践できる応用力が必要になります.
このような,「限られた資源」,「限られた情報」,「限られた時間」という“地域”の現場でのセラピストの可能性を高めるため,研究者からのエビデンスに基づく視点と,臨床家による実践に基づく視点を融合させ,“地域”で活用できる情報をまとめたのが本書です.本書では,前半部分に各種老年症候群に対する基礎的情報や対応方法を,そして後半部分では高齢者で罹患していることの多い各種疾病への情報をまとめました.特に,評価や治療プログラムについては,現場のセラピストが実践している工夫を数多く紹介することで,特別な機器がない環境下であっても適切なアセスメント・トレーニングが提供できることを目指しました.
また,本書の特徴として,左側ページに文章,右側ページに図を掲載し,一つのテーマが見開きページで完結する構成にしています.さらに,用語解説(Terms)や小窓のコラム記事(Knack & Pitfalls,One Point Advice,TOPICS)を掲載することで,印象に残りやすい内容となっています.これらは,忙しい臨床業務のなかでも,何度も見直して活用していただきたいという制作者一同の思いが詰まったもので,「パッと」復習できる,「サッと」確認できる形にしました.
地域包括ケア時代において,本書が地域で活躍するセラピストの参謀となり,高齢者の生活機能向上の一助となることを期待しています.
2017年4月
山田 実
I フレイル
1 フレイルとは
2 フレイルの判定方法
3 加齢に伴う運動機能低下
4 フレイルに対する運動介入
5 フレイルに対する栄養介入
フレイルに対するレシピ① オイルサーディン丼
フレイルに対するレシピ② 焼きはんぺん
II サルコペニア
1 サルコペニアとは
2 サルコペニアの簡易的判定方法
3 サルコペニアと骨粗鬆症・認知機能低下
4 サルコペニアと慢性疾患
5 サルコペニアに対する運動介入
6 サルコペニアに対する栄養介入
サルコペニアに対するレシピ① お豆たっぷりスープ
サルコペニアに対するレシピ② 和風ミルクリゾット
III ロコモティブシンドローム
1 ロコモとは
2 ロコモの判定方法
3 ロコモの原因
4 ロコモに対する運動介入
5 ロコモに対する栄養介入
ロコモに対するレシピ① つみれのスープ(牛乳風味)
ロコモに対するレシピ② しらすチーズトースト
IV 認知症
1 認知症とは
2 認知症の危険因子
3 認知症の症状
4 認知症の検査
5 認知症予防のための運動介入
6 認知症予防のための栄養介入
認知症に対するレシピ さばカレー
[COLUMN]エネルギーを簡単プラス
V 疲労感・うつ・自己効力感
1 メンタル要因の低下
2 疲労感の評価と対策
3 うつの評価と対策
4 自己効力感の評価
5 メンタル要因の運動への影響
6 メンタル要因を有する高齢者に対する運動介入
7 メンタル要因のための栄養介入
メンタル要因に対するレシピ① 手巻き寿司
メンタル要因に対するレシピ② ぜいたく納豆
VI 転 倒
1 高齢者における転倒とは
2 転倒の要因
3 転倒への対策
4 転倒予防のための運動介入
5 転倒予防のための栄養介入
転倒予防に対するレシピ オイルサーディンとチーズのサンドウィッチ
[COLUMN]タンパク質・カルシウム・ビタミンD を簡単プラス
2部 実践に必要な手法とその活用
VII 機能評価
1 筋力の評価
2 筋量・筋質の評価
3 移動能力の評価
4 バランス能力の評価
5 身体活動量の評価
6 姿勢の評価
7 IADLの評価
8 社会活動の評価
9 栄養状態の評価
10 口腔機能の評価
VIII 機能トレーニング
1 筋力トレーニング
2 バランストレーニング
3 ストレッチ
4 敏捷性トレーニング
5 有酸素運動としてのウォーキング
6 レジスタンス運動としてのウォーキング
7 デュアルタスクトレーニング
IX 介護予防領域における各種疾患への対応
1 骨 折 ─評価のポイント
骨 折 ─介入のポイント
2 骨粗鬆症 ─評価のポイント
骨粗鬆症 ─介入のポイント
3 変形性関節症 ─評価のポイント
変形性関節症 ─介入のポイント
4 関節リウマチ ─評価のポイント
関節リウマチ ─介入のポイント
5 脊柱管狭窄症 ─評価のポイント
脊柱管狭窄症 ─介入のポイント
6 慢性腰痛 ─評価のポイント
慢性腰痛 ─介入のポイント
7 頚椎症 ─評価のポイント
頚椎症 ─介入のポイント
8 慢性腎臓病 ─評価のポイント
慢性腎臓病 ─介入のポイント
9 高血圧症 ─評価のポイント
高血圧症 ─介入のポイント
10 心不全 ─評価のポイント
心不全 ─介入のポイント
11 虚血性心疾患 ─評価のポイント
虚血性心疾患 ─介入のポイント
12 糖尿病 ─評価のポイント
糖尿病 ─介入のポイント
13 慢性閉塞性肺疾患 ─評価のポイント
慢性閉塞性肺疾患 ─介入のポイント
14 が ん ─評価のポイント
が ん ─介入のポイント
15 脳卒中 ─評価のポイント
脳卒中 ─介入のポイント
16 パーキンソン病 ─評価のポイント
パーキンソン病 ─介入のポイント
X 現場の対応
1 住宅環境
2 社会参加
3 介護予防事業
4 介護予防の実際
5 熱中症
6 肺 炎
7 血液透析
8 在宅酸素療法
9 アンドロゲン抑制療法
文 献
索 引