手術計画から手術手技とその達成点を経験豊富な執筆陣よりレクチャー!動画・イラスト・写真を効果的に用いたビジュアルな構成で,手技の上達・治療成績の向上に導くシリーズ!
整形外科手術Knack & Pitfalls
変形性膝関節症 外科的治療の要点と盲点
内容
序文
主要目次
【シリーズの特徴】
整形外科手術Knack & Pitfallsシリーズは,手術のポイントを分かりやすく理解できる解剖イラストと動画とともに,手術計画(Plan)→手術手技(Technique)の流れに沿って解説した手術手技書である.手技の要点と盲点(Knack & Pitfalls)や手術中に想定されるトラブルとその対応(Trouble shooting)などを簡潔なコラムでまとめている.
整形外科手術Knack and Pitfallsシリーズを新たに企画するにあたり,第1巻は『変形性膝関節症の外科的治療』を取り上げることにしました.このKnack and Pitfallsシリーズは,整形外科領域では2005年から2011年にかけて14巻が発行され,大変好評を博したシリーズでした.今回は手術手技を中心とした内容とし,手術計画とその正確な実行を行うためにはどのようにするべきか,ということについて重きを置いています.
変形性膝関節症に対する手術として,2つのパートに分けて構成しました.前半は「人工膝関節置換術」です.現在TKA(人工膝関節置換術)には,後十字靭帯を温存するタイプから後十字靭帯を切離して機能を代償するタイプ,そして前十字靭帯も温存するタイプなど,様々なインプラントが用いられていますが,インプラントの特性を生かすためには手術方法は単一でよいはずがありません.今回はその道のスペシャリストがどのように計画を立て,どのようにピットフォールを避けつつ良好な術後成績を獲得できる手術を行っているかについて,十分に紙面をとって解説していただきました.また,単顆置換術や膝蓋大腿関節置換術といった,いわゆるpartial knee arthroplastyも症例数が増えてきましたが,手術において気をつけるべきポイントなども含め丁寧な解説をしていただいています.
後半は「膝周囲骨切り術」です.近年,わが国をはじめ多くの国では骨切り術の重要性が再認識され,手術症例数も大幅に増えてきています.opening wedgeやclosing wedgeの高位脛骨骨切り術だけではなく,粗面下骨切り術,脛骨顆外反骨切り術など,様々な工夫を凝らした術式の開発も進んでいます.骨切り術は計画とその正確な実行が非常に重要であることはいうまでもありません.骨切り術のトップランナーの先生方に,その極意を詳しく解説していただきました.また,骨軟骨移植術も非常に重要な手術手技であり,変形性膝関節症に対するアプローチとしての記載をお願いしています.
本書では,実際の症例を提示して,手術計画と実行についての記載をいただいています.最近,様々なところでPDCAサイクル(plan,do,check,action)を回していくことが求められていますが,整形外科の手術もまさにPDCAサイクルだと思います.手術の前には綿密な計画を立て,それをどのように正確に実行するかがとても重要ですが,術後にそれを評価して問題点があれば改善していく,というプロセスはさらに大事だと思います.本書の内容が,手術手技をマスターすることの手助けになることはもちろん,読者の先生方が手術手技をさらに進歩させていく一助になればと願っています.
2021年5月
京都大学教授 松田秀一
後十字靭帯温存型人工膝関節置換術
後十字靭帯代償型人工膝関節置換術
両十字靭帯代償型人工膝関節置換術
両十字靭帯温存型人工膝関節置換術
解剖学的アライメント人工膝関節置換術
Fixed Bearing人工膝関節単顆置換術
Mobile Bearing人工膝関節単顆置換術
Bicondylar人工膝関節単顆置換術
膝蓋大腿関節置換術
Ⅱ 膝周囲骨切り術,ほか
開大型高位脛骨骨切り術
高位脛骨骨切り術─Interlocking Wedge Osteotomy─
高位脛骨骨切り術─Hybrid Closed Wedge HTO─
内側開大式粗面下脛骨骨切り術
脛骨顆外反骨切り術
遠位大腿骨骨切り術
脛骨粗面前方移動術
自家骨軟骨柱移植術
略語一覧
索引