「PTが」「PTの視点で」「PTのために」まとめたエコーガイド下運動療法の入門書!
RUSI入門
みえる!エコーガイド下運動療法
内容
序文
主要目次
『〇〇神経を徒手的に動かす』とか『〇〇と〇〇の間を徒手的に動かす』と言われて,素直に信じて,実践するが,本当にできているか不安になる.これまでの新人PTによくあることです.しかし,新人PTが超音波エコーを観察しながら上殿皮神経に対する徒手療法を実施して,数件の病院を回っても改善されなかった症状を治してしまう.2021年はそんな時代になっています.
多くの臨床家が一度は思うことではないだろうか? 身体に触れているときに,原因となる部位に触れたらアラートが鳴ってくれたらいいのに….しかし実際にはそんなことが起きるはずがない.それでも患者を何とか良くしたい.その一心で様々な勉強会や実技研修に出かけ,治療のデモンストレーションを見学し,講師の説明を一所懸命メモして,記憶していく.しかし,同じようにできるようにはならない.修行が足りないから…
実は修行の仕方を変える時代が到来している…
思い返すと超音波エコーを使い始めたのは10年ほど前だった.今とは比べ物にならない粗い画像を観察しながら,関節を動かしたときに筋肉がどう動くかを観察して感動した.でも,臨床で使うには時間もかかるし,十分な治療効果を上げられる使い方も分からなかった.ターニングポイントは2つある.
1つは2015年医療法人アレックスの理事長 林英俊医師,小林久文理学療法士との出会いであった.超音波エコーと理学療法をコラボした臨床実践を一緒に行う機会をいただいた.当時,超音波エコーを臨床で使っているPTは一握りで,情報も少なく,今思えばずいぶんと遠回りをしたこともたくさんあった.しかし,林理事長のスピード感と情熱で私達を鼓舞し,温かく見守っていただき,多くの研究が進んだ.
2つ目のターニングポイントは森ノ宮医療大学からの研究・教育面での支援であった.赴任して1年目で何の所縁もない若い講師の要望で超音波エコーを用意していただき,研究に加速度がついた.さらに2016年から卒後教育センターでRUSI workshopを主催させていただいた.このworkshopの継続には,荻原俊男名誉学長や青木元邦学長,金尾顕郎センター長に多くの調整やご尽力をいただいた.このように多くの方のご理解とご協力のおかげで,全国に仲間ができ,超音波エコーの臨床実践に関する知見が集積できた.
本書は森ノ宮医療大学の工藤研究室と医療法人アレックスの“PTが”,“PTの視点で”,“PTのために”,超音波エコーを用いた理学療法の臨床実践とその基盤となる撮像方法をまとめた.超音波エコーは年々進化しupdateの激しい分野であるため,臨床実践に関しては古いものも出てくるだろう.しかし,各論の前半部は基本的な撮像方法を解説している.ぜひ,本書を開きながら,プローブを片手にエコーのモニターとにらめっこしてほしい.また後半部分では実際の臨床での使用方法を臨床理学療法の業務フローを意識して構成した.帰宅した後に実際の臨床応用を考えながら読んでいただきたい.超音波は聞こえないが,きっと新時代の理学療法の足音が聞こえてくるだろう.
本書をまとめるにあたり,株式会社文光堂の伊藤ゆふさんと中村晴彦さんには企画段階から,私のこだわりによって,たくさんのご迷惑をおかけした.また,全国を飛び歩いて,休みも家にいない父親をいつも笑顔で迎えてくれる二人の息子,圭一郎と蒼士,妻の美知,丈夫に産んでくれた母に感謝を捧ぐ.
2021年8月
森ノ宮医療大学教授
工藤慎太郎
1.Rehabilitative Ultrasound Imagingとは
2.超音波検査機器とは
第2章 臨床編
1.頚部痛のRUSI
2.疾患非特異的腰痛のRUSI
3.鼠径周辺部痛のRUSI
4.大腿骨転子部骨折のRUSI
5.変形性膝関節症のRUSI
6.膝前面痛のRUSI
7.脛骨内側部痛症候群のRUSI
8.アキレス腱症のRUSI
9.扁平足障害のRUSI
10.慢性足関節不安定症のRUSI
11.凍結肩のRUSI
12.投球障害肩のRUSI
13.腱板損傷のRUSI
14.野球肘のRUSI
15.外側上顆炎のRUSI
付録
RUSI workshopチェックシート
索引