立ち読みをする 編著:日本糖尿病学会・日本老年医学会 B5判・120頁・4色刷ISBN 978-4-8306-1398-22021年3月24日発行 定価 990 円 (本体 900円 + 税10%) あり 在庫
内容序文主要目次日本糖尿病学会と日本老年医学会の編集・執筆による,高齢者糖尿病の診療ガイドブックの最新版.超高齢社会を迎えたわが国において高齢者の糖尿病管理は重要な課題である.本書では高齢糖尿病患者に多い認知症,サルコペニア・フレイル,multimorbidityなどの併存症,介護保険など高齢者をサポートする制度等,高齢者に特化した内容について一層の充実を図った.また11の具体的な症例を提示し,より読者が理解しやすい工夫を加えた.内科医はもちろん,他科の医師,コメディカルスタッフなどにも役立つ1冊.はじめに 総務省の最新の統計では,わが国の高齢者(65歳以上)数は2020年9月15日現在3,617万人であり,総人口比の28.7%にあたり,過去最高の記録を更新している.そして,糖尿病発症患者の比率は加齢とともに増加することから,超高齢社会を迎えたわが国では,高齢者の糖尿病管理は深刻な問題となっている. このような背景のもと,日本糖尿病学会と日本老年医学会は,わが国における高齢者糖尿病の適切な評価に基づくよりきめの細かい個別の管理目標をはじめとする診療指針を策定することにより,高齢者糖尿病の診療の一層の向上を図るべく,2015年4月に合同委員会を設置した. その後,合同委員会では,種々な議論を行い,「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c 値)」を策定・公表するとともに,「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」を発行した.さらに,「高齢者糖尿病治療ガイド2018」を発行し,糖尿病専門医のみならず,実地医家の先生方や,医療スタッフ,研修医などの高齢者糖尿病診療に広く役立てていただいている. しかし,その後,高齢者の血糖管理目標のカテゴリー分類に使用可能な認知・生活機能質問票(DASC–8)の開発や,食事療法におけるエネルギー指示量設定における「目標体重」の考え方の導入,サルコペニア診療ガイドラインの改訂,などのさまざまな進展がみられる.そこで,最近の両学会ならびに他の学会におけるガイドラインの改訂等との整合性を図り,さらに新たに登場した治療薬に対応する必要性から,今回の改訂作業を行い,「高齢者糖尿病治療ガイド2021」を発行する運びとなった. さらに,今回の改訂では,「病型分類」など非高齢者の糖尿病と共通する内容はできるだけ簡潔にまとめる一方で,multimorbidityなどの「高齢者に多い併存症とその対策」ならびに「高齢者糖尿病をサポートする制度」の2つの章を新たに設けるなど,高齢者に特化した内容について一層の充実を図った.また,11の具体的な症例を加えることによって,読者がより理解しやすいように工夫を加えた. 本書が日々進歩している高齢者糖尿病治療の理解に役立ち,毎日の診療に役立つことを願ってやまない.2021年1月高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会1.高齢者糖尿病の特徴 A.高齢者糖尿病の定義 B.頻度と成因上の特徴 C.臨床上の特徴 D.合併症や併存疾患の特徴 E.高齢者糖尿病の個人差2.高齢者糖尿病の診断 A.病歴(現病歴,既往歴,家族歴,治療歴)聴取上の注意 1.現病歴 2.既往歴 3.家族歴 4.治療歴 5.病気に関する知識と生活歴 B.身体所見(皮膚・眼・口腔・下肢・神経系・骨格筋)診察上の注意 1.皮 膚 2.眼 3.口 腔 4.下 肢 5.神経系 6.骨格筋 C.診 断3.高齢者糖尿病の総合機能評価 A.高齢者総合機能評価 B.ADLの評価法 C.フレイル・サルコペニアの評価法 D.認知機能の評価法 E.心理状態の評価法 F.栄養状態の評価法 G.薬剤の評価法 H.社会・経済状況の評価法 ■具体的な評価例 [症例1]2型糖尿病の高齢女性4.高齢者糖尿病の治療方針 A.治療目標 B.高齢者の1型糖尿病の治療方針 1.インスリン依存状態 2.インスリン非依存状態 C.高齢者の2型糖尿病の治療方針 D.カテゴリー分類の方法 E.カテゴリー分類による血糖コントロール目標の考え方 ■具体的な評価例 [症例2]カテゴリーⅡの高齢女性 F.カテゴリー分類に基づいた治療方針の立て方 G.糖尿病教育5.高齢者糖尿病の食事療法 A.食事療法の考え方,栄養状態の評価と患者指導 B.適正なエネルギー摂取量の指示 1.標準体重から目標体重への変更 2.エネルギー摂取量の指示の仕方 C.バランスのとれた食品構成 D.サルコペニア・フレイル対策の食事(タンパク質摂取量) E.食事療法の実際 ■具体的なエネルギー摂取量の指示の仕方 [症例3]カテゴリーⅡの高齢男性6.高齢者糖尿病の運動療法 A.高齢者に適した運動療法 1.運動の種類 2.運動の強度 3.運動時間と頻度 4.高齢糖尿病患者における運動療法の効果 B.高齢者糖尿病の運動療法上の注意 C.フレイル,サルコペニア,ADL低下のある例での運動療法 D.レジスタンス運動の具体例7.高齢者糖尿病の薬物療法 A.経口薬療法および注射薬療法 1.ビグアナイド薬 2.チアゾリジン薬 3.α–グルコシダーゼ阻害薬 4.SGLT2阻害薬 5.DPP–4阻害薬 6.GLP–1受容体作動薬 7.スルホニル尿素(SU)薬 8.速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) 9.インスリン 10.配合薬 B.具体的な処方例 ■高用量のSU薬のみの処方から,DPP–4阻害薬とビグアナイド薬を加えて少量のSU薬の処方へ変更 [症例4]高齢者で高用量SU薬を使用している患者への治療見直し ■ビグアナイド薬とSGLT2阻害薬 [症例5]非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を合併した2型糖尿病 ■持効型溶解インスリンと経口薬の併用 [症例6]認知機能の低下でインスリンの自己注射が困難な症例 ■週1回GLP–1受容体作動薬と経口薬の併用 [症例7]心血管疾患を合併する糖尿病患者にGLP–1受容体作動薬やSGLT2阻害薬を検討8.低血糖およびシックデイ A.高齢者の低血糖 1.症状の特徴 2.低血糖の誘因 3.低血糖時の対応 4.再発予防 B.シックデイ 1.シックデイとは 2.シックデイの際の対応 3.シックデイでの療養指導 ■指導の例① [症例8]カテゴリーⅡ:手段的ADL低下例 ■指導の例② [症例9]カテゴリーⅢ:中等度の認知症例9.高血圧,脂質異常症,メタボリックシンドローム,サルコペニア肥満 A.高齢者糖尿病に合併した高血圧 B.高齢者糖尿病に合併した脂質異常症 C.メタボリックシンドロームと肥満症 1.メタボリックシンドロームの概念 2.高齢者におけるメタボリックシンドロームの臨床的意義 3.高齢者におけるメタボリックシンドロームの治療 4.肥満症 D.サルコペニア肥満10.高齢者糖尿病における合併症とその対策 A.急性合併症 1.高浸透圧高血糖状態 2.糖尿病性ケトアシドーシス B.慢性合併症 1.高齢者糖尿病における糖尿病網膜症の診療上の注意点 2.高齢者糖尿病における糖尿病性腎症の診療上の注意点 3.高齢者糖尿病における糖尿病性神経障害の診療上の注意点 4.高齢者糖尿病における動脈硬化性疾患の診療上の注意点 5.高齢者糖尿病における糖尿病性足病変の診療上の注意点11.高齢者に多い併存症とその対策 A.認知症 B.サルコペニア,フレイル,ADL低下 C.骨粗鬆症・骨折 D.心不全 E.悪性腫瘍 F.感染症 G.multimorbidity H.歯周病 ■治療の例① [症例10]認知症合併例の治療例 ■治療の例② [症例11]フレイル合併例の治療例12.さまざまな病態における糖尿病の治療 A.ステロイド治療時の血糖コントロール B.周術期の血糖コントロール C.感染症時の血糖コントロール D.介護施設入所の高齢糖尿病患者の血糖コントロール E.高齢者糖尿病のエンドオブライフケアとしての血糖コントロール13.高齢者糖尿病をサポートする制度 A.介護保険(デイケア,デイサービス,ヘルパー派遣など)と訪問看護 1.介護保険 2.訪問看護 3.通所リハビリ(デイケア)と訪問リハビリ 4.通所介護(デイサービス) 5.訪問栄養食事指導 6.訪問薬剤管理指導 B.地域包括ケアシステム C.地域包括支援センターと社会福祉協議会 D.認知症者のサポート E.フレイル患者のサポート付 録 付録1 Barthel Index(基本的ADL) 付録2 Lawtonの尺度(手段的ADL) 付録3 The Dementia Assessment Sheet for Community-based Integrated Care System-21 items(DASC-21) 付録4 認知・生活機能質問票(DASC-8) 付録5 GLIMの基準索 引