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皮膚科超音波検査の第一人者による決定版!超音波検査活用のポイントが満載!

皮膚疾患超音波アトラス

カバー写真
  • 著:沢田泰之(東京都立墨東病院皮膚科部長)
  • B5判・272頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3470-3
  • 2019年6月3日発行
定価 7,700 円 (本体 7,000円 + 税10%)
あり
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正誤表

内容

序文

主要目次

皮膚疾患における超音波検査の活用法を,豊富な画像で解説したアトラス.皮膚超音波検査の第一人者による渾身の一冊.皮膚疾患の超音波検査は,腫瘤の存在診断や,皮膚がんの切除範囲の決定,血管腫診断における血流の有無など,診断や治療方針の決定において非常に有用である.「腫瘤性病変」,「炎症性疾患」,「循環障害」など,超音波検査が有用な皮膚疾患を見開き2頁で取り上げ,豊富な画像とともに著者ならではの診断のコツが随所に盛り込まれている.本書では従来の超音波検査に加え,表皮真皮の皮膚疾患に対してより高分解能のある高周波超音波検査(HRUS)の画像についても詳細に解説されており,今後の皮膚超音波検査のスタンダードも理解できる.超音波画像と,臨床像,病理組織像の対応についても解説されており,充実した内容となっている.
はじめに

 近年,皮膚の超音波検査のテキストが多く発売されるようになってきた.しかし,その多くは皮下脂肪織内の皮下腫瘍に関するテキストであり,皮膚科医が真に欲する情報とはいえない.その理由は皮膚疾患の多くが皮下の疾患ではなく,表皮,真皮の病変であるという点と炎症性疾患に関してはほぼ記載されていないということである.
 どうしてそうなってしまったのか.1つには機器の問題がある.従来の12~16MHzの甲状腺や乳腺をみる表在臓器超音波検査機器では真皮は一本の線として描出されるため,内部の構造を捉えることができない.皮下の疾患を観察することしかできなかったため,皮下の腫瘍が主となるテキストしか書くことができなかったのである.もう一つの問題,なぜ炎症性疾患に関するテキストが書かれなかったかという問題についてはその著書の多くが検査科の医師,または検査技師が書かれているため,いかに優れていたとしても,真皮,皮下組織の多彩な炎症性疾患を網羅することできなかったということがある.
 これに対して,本書では表皮真皮の疾患に対してより高分解能のある2MHzの高周波超音波検査(HRUS)プローベを使用している.それに加えて,GE社と協力して,新たに真皮疾患を捉えるための設定を開発した.このため,真皮だけでなく,角層の変化(日光角化症のpink and blue sign)や表皮の変化(光沢苔癬:claw clutching a ball)なども捉えることが可能になった.真皮疾患については血流の評価も可能となり,IgA血管炎,結節性多発動脈炎など,今まで捉えることのできなかった血管病変なども評価できるようになっている.
 また,皮膚科医にとっては超音波検査と病理検査の対応が重要であり,プローベを当てる方向と生検または切除する方向が一致するように心がけて本書を作成した.臨床写真,超音波検査,病理組織が同一の症例,同一の断面で比較できるように作っている.皮膚科の先生方,検査を行う検査科の先生方,技師の方々にも役立つように作ったつもりである.残念ながら,上記の条件を満たす中で症例を集めて作ったため,症例数は十分ではないかもしれないが,今後これを見て多くの先生方が皮膚の超音波検査に興味を持っていただくための踏み台になればと考えている.
 最後に,このような初めての試みに協力して,皮膚疾患観察用の設定を作ることに協力してくれたGE社の方々と超音波検査の助手からデータの作成まで協力してくれた東京都立墨東病院皮膚科スタッフ,特に医療秘書の山本さんに心より感謝を申し上げます.
 今後,他社でも22MHzから30MHzのプローベが出てくるが,多くは関節を観察するための設定で,真皮観察用の設定はまだない.本書が契機となって,多くの機器で皮膚疾患観察用の設定がなされることを祈っている.

2019年4月
東京都立墨東病院皮膚科
沢田 泰之
《総論》
1.皮膚超音波検査の方法
2.皮膚超音波検査における機器の使い分け
3.皮膚超音波検査
 a.角層の見方
 b.表皮の見方
 c.真皮の見方
 d.皮下脂肪織の見方
《各論》I.皮下腫瘍
A.囊腫病変
1.類表皮囊腫
 a.通常
 b.炎症性粉瘤
 c.繰り返す炎症
2.石灰化上皮腫/毛母腫
 a.成熟
 b.未成熟・成長過程
3.外毛根鞘嚢胞
 a.通常
 b.石灰化
 c.増殖性
4.脂腺嚢腫
 a.単発例
 b.多発脂腺嚢腫
5.粘液嚢腫
 a.digital mucous cyst(myxoma type)
 b.ガングリオン(関節包と連続するタイプ)
6.デルモイド腫瘍
7.毛巣洞(pilonidal cyst)
 a.臀部
 b.陰毛・腋毛の迷入
8.筋膜下血腫,筋膜上血腫
9.血管腫
 a.venous malformation(単房性)
 b.venous malformation(多房性,海綿状)
 c.venous lake
10.動脈瘤
B.充実性病変
1.脂肪腫
 a.真皮・皮下脂肪織発生
 b.筋膜下,筋肉内
 c.血管脂肪腫,線維脂肪腫
2.血管平滑筋腫(充実型)
3.リンパ節腫脹
 a.反応性
 b.悪性リンパ腫(マントル型リンパ腫)
4.血管腫
 a.海綿状血管腫 venous malformation
 b.グロムス腫瘍
 c.リンパ管奇形(限局性リンパ管腫)
5.骨腫
 a.Osteoma骨外骨腫
 b.線維性異形成 fibrous dysplasia
6.神経線維腫
 a.通常型
 b.びまん型
7.神経鞘腫
8.皮膚混合腫瘍
9.皮膚線維腫
 a.通常
 b.hemosiderotic histiocytoma
10.隆起性皮膚線維肉腫
11.顆粒細胞腫
12.悪性リンパ腫(びまん性大細胞B細胞リンパ腫)
13.副乳
14.転移性腫瘍
 a.皮内(胃癌[鎧状癌])
 b.皮下(肺腺癌)
15.耳下腺腫瘍
16.異物
《各論》II.皮膚腫瘍
1.色素性母斑
 a.Unna母斑
 b.Miescher母斑
 c.Spitz母斑
2.悪性黒色腫
3.脂漏性角化症
 a.通常型
 b.irritated type
4.日光角化症
5.Bowen病
6.基底細胞癌
 a.充実型
 b.表在型
7.有棘細胞癌
 a.小結節
 b.高分化型
 c.低分化,進行癌
8.脂腺母斑
9.脂腺腺腫
《各論》III.炎症性疾患
1.蕁麻疹
 a.慢性蕁麻疹
 b.急性期の蕁麻疹型反応
2.多形滲出性紅斑
 a.表皮障害が強いタイプ(Stevens-Johnson症候群など)
 b.真皮上層の滲出が強いタイプ
3.結節性紅斑
 a.初期
 b.慢性期・晩期
4.Bazin硬結性紅斑
 a.通常
 b.結節性紅斑との鑑別
5.硬化性脂肪織炎
 a.急性期
 b.慢性期
 c.まとめ
6.サルコイドーシス(結節型)
7.脛骨前粘液水腫
8.貨幣状湿疹(慢性の湿疹性変化)
9.慢性痒疹
 a.痒疹結節
 b.多型慢性痒疹(膨疹状局面)
10.扁平苔癬
 a.粘膜苔癬
 b.苔癬型薬疹
11.固定薬疹
12.光沢苔癬
13.アミロイド苔癬
14.円板状エリテマトーデス
15.水疱性類天疱瘡
16.滴状類乾癬
17.斑状類乾癬(菌状息肉症[紅斑期])
《各論》IV.循環障害・血管炎
1.動脈系疾患
2.IgA血管炎
 a.超音波と病理
 b.血流と血管の関係
 3.血管炎のない細小血管の障害(特発性血小板減少性紫斑)
 4.IgA血管炎と鑑別が必要な紫斑(単純性紫斑)
 5.Livedo
 a.polyarteritis nodosa cutanea(PNC)
 b.分枝状皮斑livedo racemose(静脈)
 c.網状皮斑livedo reticularis
 d.livedo racemose(atrophie blanche)
6.閉塞性動脈硬化症
 a.重症虚血肢critical limb ischemia(CLI)
 b.ABI,SPP,CT-angiography
 c. 鑑別が必要な疾患(Buerger病,急性動脈閉塞症,二次性副甲状腺機能亢進症,結節性多発動脈炎,多発血管炎性肉芽腫)
7.血栓性静脈炎
 a.通常型(下肢静脈瘤)
 b.特殊型
8.深部静脈血栓症
 a.通常型
 b.骨盤内腫瘍,内頸静脈血栓症,胸骨出口症候群
9.下肢静脈瘤
 a.専門としない皮膚科医が知っておきたいポイント
 b.大伏在静脈系
 c.小伏在静脈系,穿通枝系
10.動静脈瘻
 a.先天性
 b.後天性
《各論》V.感染症
1.蜂窩織炎
2.丹毒
3.壊死性筋膜炎(ガス壊疽)
4.癤(フルンケル),痔瘻
《各論》VI.治 療
1.切除する?(良性・悪性の鑑別)
 a.脂漏性角化症から有棘細胞癌
 b.悪性化を疑う所見(血流の偏在)
2.切除範囲の決定(基底細胞癌)
3.脂肪腫(筋膜間)
 a.揉み出し法(低濃度大量浸潤局所麻酔)
 b.切除範囲の決定(真皮由来の脂肪腫)
4.不整形膿瘍の切除範囲の決定(毛巣洞,慢性膿皮症,汗腺炎)
索引