理学療法の中核をなす運動療法に関する知識と技術を集約
図解運動療法ガイド(電子版のみ)
内容
序文
主要目次
これまで,文光堂の書籍発刊の基本方針の1つとして,いわゆる「技術論」を看板にしてきた経緯がある.しかし,この方針は,知識や論理性を軽んじているわけではなく,「医療は技術である」との伝統的な哲学に基づいていると認識している.技術には,ハードウェアとソフトウェアとがあり,双方のバランスが求められると同時に,それらを修得する過程は極めて困難であるが,専門職としての努力を惜しむことは望ましくない.
本書,「図解 運動療法ガイド」は,2006年に文光堂から発行され好評を博している「図解 理学療法検査・測定ガイド」の姉妹書として企画された.理学療法の基軸として長い歴史の変遷を経て体系化されてきた,運動療法,Therapeutic Exersisesに関する知識と治療技術とを網羅した書籍であり,いわば,それらの「知と技」を融合する意図で企画した.本書は,I〜IV部で構成したが,それにクリニカルヒントを加えて,臨床家としての工夫を紹介した.
I部では,運動療法の基本と進め方,そして安全管理に関する総論を解説した.II部では,運動療法の対象となる主な症状とそれらの運動療法の基本的な実際と物理療法や福祉用具との併用,さらに患者・家族や生活環境制御などについて幅広く解説した.III部では,運動療法の対象となる疾患層および病期別への対応について解説した.IV部では,運動療法の基礎理論となる運動学習などを含む運動学および医療・介護・福祉制度について解説した.
2013年にアメリカ精神医学会は,精神・神経疾患に関する診断基準をDSM-5に改訂した.この改訂版の翻訳は,精神神経学会雑誌(第116巻6号,2014)に掲載されているが,原文のdisorders,disabilitiesの日本語訳では「障害」となっている.
2001年に世界保健機関が改訂した国際生活機能分類でも,disorders,impairments,disabilitiesは使用されているが,日本語訳では,「障害」となっている.編集者らは,それらの英語は,症候学に応じて「変調,症,損傷,機能不全」などの用語に変革してゆく必要性を感じている.しかし,本書では,執筆依頼に際して,この点に留意することをお願いしていないため,「障害」が用いられていることを断っておきたい.
2017年3月
奈良 勲・内山 靖
A.理学療法における運動療法
1 運動療法の基本的考え
2 運動療法の進めかた
B.安全管理
1 安全管理─総論
2 安全管理─管理体制・機器整備
3 安全管理─感染・清潔管理
4 安全管理─モニタリング
5 安全管理─緊急時の対応
II部 実 際
A.症 状
1 関節可動域─基礎科学,原理
2 関節可動域─基本技術
3 関節可動域─肩関節(肩甲帯)
4 関節可動域─肘関節・手関節・手指関節
5 関節可動域─股関節
6 関節可動域─膝関節
7 関節可動域─足関節・足趾関節
8 関節可動域─脊柱
9 関節可動域─骨盤(仙腸関節)
10 関節可動域─胸郭
11 関節可動域─顎関節
12 筋力増強─基礎科学・原理
13 筋力増強─基本技術
14 筋力増強─肩関節(肩甲帯)
15 筋力増強─肘関節・手関節・手指関節
16 筋力増強─股関節
17 筋力増強─膝関節
18 筋力増強─足関節・足指関節
19 筋力増強─体幹・頭頸部
20 筋力増強─呼吸筋
21 筋力増強─顔面
22 筋力増強─痙縮筋
23 体性感覚─基礎科学・原理
24 体性感覚─基本技術
25 体性感覚─下肢
26 中枢麻痺─基礎科学・原理
27 中枢麻痺─上肢
28 中枢麻痺─体幹
29 中枢麻痺─下肢
30 協調運動新
31 不随意運動
32 平衡とバランス─小児
33 平衡とバランス─成人
34 めまい
35 皮膚─褥瘡
36 浮腫
37 軟部組織
38 筋硬結
39 疼痛
40 自律神経
41 排尿障害
42 摂食嚥下
43 排痰
44 末梢循環
45 意識・覚醒
46 知覚・認知
47 ボディイメージ
48 高次脳機能─失行
49 高次脳機能─半側空間無視
50 高次脳機能─プッシャー
51 高次脳機能─注意障害
52 筋トーヌス調整
53 柔軟性
54 敏捷性
55 全身反応
56 呼吸機能
57 運動耐容能
58 耐糖能
59 持久性
B.姿勢・動作
1 臥位
2 寝返り
3 起き上がり
4 座位
5 移乗
6 立ち上がり
7 立位
8 平地歩行
9 階段昇降
10 応用歩行
C.方 法
1 車椅子操作
2 杖の使い方
3 器械を用いた運動療法
4 水中運動療法
5 エアロビクス
6 集団体操
D.支援・指導
1 意欲
2 抑うつ
3 呼吸困難
4 断端管理
5 フットケア
6 患者教育
7 退院計画
8 家族指導
9 母親指導
10 自己効力感
11 行動変容
12 生活・運動習慣
13 環境の調整
14 住宅改修─建築・構造改修
15 住宅改修─手摺などの設置
16 福祉用具の利用
17 参加促進
18 健康観の改善
19 再発予防
20 多職種連携─がん緩和ケア
E.介入の融合
1 物理療法との組み合わせ─基礎科学・原理
2 物理療法との組み合わせ─温熱療法,電気刺激療法,水治療法
3 物理療法との組み合わせ─マッサージ
4 補装具療法との組み合わせ─装具
5 補装具療法との組み合わせ─義肢
III部 対 象
A.病期・場所
1 病院:超急性期(ICU)
2 病院:超急性期─脳卒中ユニット
3 病院:急性期─病棟
4 病院:急性期─運動療法室
5 病院:回復期─回復期リハ病棟 運動器
6 病院:回復期─回復期リハ病棟 脳卒中
7 病院:慢性期─療養病床
8 介護老人保健施設
9 外来理学療法
10 クリニック─スポーツ障害
11 訪問
12 訪問─難病
13 小児─乳幼児
14 小児─学童期
15 特別支援学校
B.対 象
1 認知症への対応
2 精神疾患への対応
3 慢性腎臓病への対応
4 進行性疾患への対応
5 がんへの対応
6 重度心身障害児・者への対応
7 スポーツ外傷・障害への対応─成長期
8 スポーツ外傷・障害への対応─障がい者スポーツ
9 スポーツ外傷(急性外傷・慢性外傷)への対応─スポーツ復帰
10 健康増進・介護予防
11 産業理学療法
IV部 理論・制度
A.基礎理論
1 運動学習の基礎理論
2 部分法と全体法
3 課題志向型アプローチ
B.制 度
1 医療保険制度
2 介護保険制度
3 福祉制度
クリニカルヒント
私は小児の運動療法を遊びのなかで工夫して行っている
私は電子血圧計の使用時にこう工夫している
私は対象者の上肢・下肢を持つときこう工夫している
私は股関節ROM拡大時にこう工夫している
私は関節可動域運動を軸圧を利用して行うように工夫して行っている
私はhand-held dynamometerによる測定結果から1repetition maximum(膝伸展筋)を
推定して筋力トレーニングを工夫している
私は感覚障害を持つ脳卒中患者のボディイメージの再獲得をあぐら座位から工夫して
行っている
私は筋骨格系疾患の運動療法を系統発生学的視点で工夫して行っている
私は筋緊張の強い重症児の他動運動に対してダブルタッチを応用することで工夫して
行っている
私は換気制限に対する運動療法で呼吸筋の過緊張が生じないよう工夫している
私は生活環境の整備をこう工夫している
私は肩関節運動機能の評価と治療を対象者の姿勢を工夫して行っている
私は下肢への荷重困難に対し固有感覚を意識させる工夫を行っている
私は専門職の質の確保のため,管理遂行上,こう工夫している
私は立ち上がり動作を着座動作の獲得から行うように工夫して行っている
私は循環器疾患のレジスタンストレーニングにおいてこう工夫して行っている
私は発達に問題をもつ子どもたちに対して環境を工夫して運動療法を行っている
私は運動療法を思考と実践を繰り返しながら工夫して行っている
私は脳卒中片麻痺者の非麻痺側の使い方が機能向上に不利に働かないように工夫して
行っている
私は運動を日常生活で習慣化できるよう工夫して行っている
私は不全脊髄損傷者のBWSTT を免荷量と速度を工夫して行っている
私は子どもたちが学校生活の中で運動・動作を取り入れやすくなるように工夫して
行っている
私は動物に対する理学療法においてこう工夫して行っている
私は結果の出せる理学療法を実践するために臨床思考を工夫して行っている
索 引