皮膚科外来で行う代表的な検査を一通り習得できる皮膚科医必携の1冊!
定番・皮膚科外来検査のすべて(電子版のみ)
内容
序文
主要目次
☆図版38点,表組21点,カラー写真87点,モノクロ写真142点
皮膚科は「検査をしない診療科」と長らく考えられてきた(したがって診療報酬も絶えず最下位であった).実際,生検を除けば,「見ればわかる」「それが皮膚科医の究極の発疹診断学であり,スキルである」といういわば皮膚科医の美学としての自負があった面は否めない.しかし,臨床皮膚科領域においても「見てもわからない」「積極的に検査をすべき皮膚疾患」も多くなり,最近の皮膚科外来検査の潮流は変容しつつある.
例えば,この10年で長足の進歩を遂げたダーモスコピー検査は,一部の「完璧な良性パターンを呈する掌蹠の色素性病変」の生検・切除を不要にしたし,皮膚組織灌流圧(SPP)が40mmHg以下の下腿潰瘍を保存的に治癒させるのは難しいことも判明した.自分の経験でも表皮囊腫と即断して切除したら軟部腫瘍と判明し,エコーやMRIを施行しておくべきだったと反省する症例も少なくない.これにより,多くの医療資源や患者さんへの侵襲を軽減することで医療経済やQOLに貢献するので,いまの皮膚科診療では皮膚科医の慧眼のみに頼るのではなくむしろ積極的に検査をすべきという考えが主流なのである.
一方,簡便な真菌検査紙が市販され,水疱症の自己抗体検査が保険適用になる,多彩な皮膚病理組織化学が可能になるなど,従来からの皮膚科検査法の進歩も著しい.ともすると,新しい皮膚科検査法から落伍しつつある実地医家も少なくないのではないかと危惧される.
そこで 本書では,皮膚科外来検査の「定番」と思われる標準的な検査法の進歩を取り入れてトレンディーな解説を加えるとともに,この10年ほどの間に登場・普及した新しい皮膚科検査法を網羅的かつ実践的に紹介した.さらに,「専門家に依頼・外注すればできる検査」や「皮膚科検査法・最近のトピックス」もとりあげ,より高度な皮膚科診療に資する検査法についても言及した.本書は,2002年に刊行し好評を博した「皮膚疾患診療実践ガイド」(2009年第2版改訂)の姉妹版と位置づけ,皮膚科外来診察室で「すぐに役立つ卓上クイックリファレンス」として機能するように工夫した.本書が,皮膚科外来検査法の「定番本」として広く江湖に定着することを願いたい.
平成27年厳冬の琵琶湖畔にて
滋賀県立成人病センター病院長・京都大学名誉教授
宮地 良樹
1. 真菌検査法
トピック 糸状菌検出試験紙の有用性
2. ダーモスコピー
(1)掌蹠の色素病変診断法
(2)ダーモスコピーで診断できる皮膚腫瘍
トピック トリコスコピー
トピック ダーモスコピーの意外な活用法(マダニ刺咬症)
3. 皮膚アレルギー検査
(1)プリックテスト,パッチテスト,皮内テスト
(2)IgE,RAST,TARC
トピック 小麦アレルギー検査法
トピック フィラグリン検査
4. 薬疹検査法
5. 光線過敏症検査法
トピック UDS,ポルフィリンなど
6. 超音波エコー検査法
7. 下腿潰瘍検査法
8. 熱傷・褥瘡の創面評価法
9. 発汗機能検査法
10. 細菌培養検査法
11. 皮膚病理検査法
(1)皮膚生検法
(2)皮膚病理,免疫組織化学,蛍光抗体法
12. 膠原病検査法
13. 梅毒検査法
14. 結核検査法
15. ヘルペス検査法
16. 疥癬検査法
17. ウッド灯
18. 美容皮膚検査法
19. 水疱症
B. 専門家に依頼・外注すればできる検査
1. 専門家に依頼すればできる検査
(1)角化症検査法
(2)水疱症(自己抗体の抗原検索)
(3)毛髪検査法
(4)色素異常症
(5)遺伝性光線過敏症
(6)遺伝子検査
(7)真菌遺伝子診断
2. 外注でできる検査
(1)リンパ腫検査(免疫関連遺伝子再構成検査)
C. 皮膚科検査法・最近のトピックス
1. イオントフォレーシス法,画像解析
(抗ヒスタミン薬)
2. 二光子顕微鏡による非侵襲的
皮膚疾患診断法
索 引