小児の検査がわかる,検査データが読める!小児科診療医,検査技師,必携の1冊!!
小児臨床検査ガイド第3版
内容
序文
主要目次
本書『小児臨床検査ガイド』は2006年の初版刊行後,2017年に第2版へと改訂されました.小児の臨床の現場で実施される検査に焦点を置き,コンパクトながらも必要な情報が詰まった実用書として,小児医療の現場で活用していただいてきました.
ルソーの教育論からつながるとされる「子どもは小さな大人ではない」は,小児医療・医学の基盤となる視点です.臨床検査においても,成人医療での検査適応や結果の解釈をそのまま外挿できないことが多くあります.子どもの年齢によっても基準値が異なるため,結果を丁寧に解釈することが必要ですし,健康な小児が検査を受ける機会が少ないため基準値が存在しないものもあります.また,検査の負担についても配慮が必要であり,やみくもに検査を提出するのではなく,刻々と変わる経過や症状を参考にして,疾患の事前確率とともに重症度や緊急度を踏まえて検査の適応を判断することも必要です.本書では,検体採取の注意点や,検査の適応の判断,結果の解釈などについて,小児の特性に配慮した視点を取り入れております.
第2版の刊行後も,医学研究の進歩により病態の解明が進み,疾患の本態の理解が深まっています.医学研究の進歩は医療へと展開し,新たに診療に実装した検査も多くあり,既存の検査の適応や意義も変わってきております.今回の第3 版の改訂にあたり,新規の項目を多数加え,さらには既存の項目も整理いたしました.前版から継続して取り上げている項目にも,現在の診療における検査の意義や役割について変化がある場合には積極的に記載を追加・削除して整理していただきました.新規の項目については,前回の改訂以後に重要性が認識された新しい検査が多くなっておりますので,検査に慣れていない医療者も多いため,検査の意義や解釈についての基本的な解説も付記していただいております.また,検査の概要を図表にしていただくなど,実用性をさらに高めるような工夫をいたしました.
患者の中で何が起きているかを把握することで病態を把握し,さらには治療の効果を評価することが検査の目的です.それぞれの検査が,何をどのように検出しているかを知ることで,検査の意義を最大限に活用できます.執筆者をはじめとしたみなさまのお力をいただき,良書として高い評価をいただいている本書をさらに充実させることができたと感じています.この書籍が,子どもたちに最適な医療を提供する一助になることを願っています.
2023年10月
加藤 元博
高橋 尚人
1 総 論
2 検体の採取
第2部 検査データの読み方
1 血液学的検査
2 生化学的検査
3 代謝学的検査
4 新生児マススクリーニング
5 内分泌学的検査
6 感染症の検査
7 免疫学的検査
8 自己抗体検査
9 腫瘍マーカー
10 尿検査
11 薬物分析検査
12 髄液・穿刺液検査
13 便検査
14 染色体・遺伝子検査
索 引