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JSAWI発!基礎知識から診断の実際まで,婦人科腫瘍の画像診断がこの一冊で理解できる!

JSAWI発

一冊でわかる婦人科腫瘍の画像診断

モダリティ・解剖・病理・診断・治療フォローアップ・ピットフォール

カバー写真
  • 編集:片渕秀隆(熊本大学教授)
  • 編集 楫 靖(獨協医科大学教授)
  • B5判・196頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3124-5
  • 2019年9月4日発行
定価 9,020 円 (本体 8,200円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

各種モダリティの基礎知識,臓器の発生や解剖,治療後の画像変化を踏まえた初回診断と治療後画像フォローアップ,陥りやすいピットフォール,覚えておきたいキーワードや読影サインまで,豊富な画像とわかりやすい解説でまとめている.テーマごとに2頁で完結する基本構成で,ちょっとした調べごとや,知識の再確認にも使いやすい. JSAWI(The Japanese Society for the Advancement of Women’s Imaging)のエキスパートたちによる産婦人科医,放射線科医,特に若手医師たちのための婦人科腫瘍画像診断のテキスト.


 JSAWI(ジェイサヴィ:The Japanese Society for the Advancement of Women’s Imaging)は,1993年に米国で設立されたSAWI(Society for the Advancement of Women’s Imaging)を母体とし,女性の健康に画像診断の面から寄与することを目的として,杉村和朗教授ならびに藤井信吾教授を代表世話人として2000年に誕生した.第1回目は,同年6月,淡路夢舞台国際会議場で開催され,2008年からは,富樫かおり教授ならびに小西郁生教授が代表世話人をお務めになり,2017年から,楫 靖教授というベスト・パートナーを得てJSAWIの運営にあたらせて頂いている.そして,今年の9月の開催で20回目の節目を迎えるにあたり,『JSAWI発 一冊でわかる婦人科腫瘍の画像診断』を上梓する運びとなった.わが国の放射線医学,産科婦人科学,病理学の80名のエキスパートがこの1冊に結集し,トライアングルカウンターパートナーとも言うべきスタンスから解説される本書は,これまでに類をみない婦人科腫瘍の画像診断の一冊となった.
 20世紀後半に,臨床診断は革命の時を迎えた.イギリスEMI社によって考案されたCT-scanが1975年に日本上陸し,さらに核磁気共鳴現象を利用したMRIが1990年代には臨床の場でも汎用されるようになった.加えて,産科婦人科学の領域では,超音波断層法検査はBモードに始まった経腹式から経腟式へと改良された.21世紀に入るとともに,半世紀にわたるポジトロン核医学の研究がPETを臨床の現場へと導き,間もなくPET-CTやPET-MRIが実用化されるに至った.これらのモダリティの歴史で本書は始まる(I章).腫瘍学の基本は,臓器の発生,マクロ解剖,ミクロ解剖を理解することに始まり,臨床の診断と治療の礎となる.女性骨盤臓器の発生・解剖・組織構築を女性特有の女性ホルモンの生理的変化の視点を加えて解説し(II章),婦人科腫瘍・疾患の組織診断がそれに続く(III章).本書を最も特徴づけているのは,後半の頁である.各種治療後の画像変化を踏まえて,代表的な腫瘍の初回診断と再発診断を並列して解説し(IV章),画像診断ピットフォールをモダリティと疾患のそれぞれの観点から経験例を紹介している(V章).極めつけは,撮像・画像表示に関する13のキーワードで(VI章),さらに読影サインが表す病態・疾患のトップ20を簡潔に述べている(VII章).最後に,最新の臨床進行期分類と組織学的分類を解説とともに掲載し,加えて章間にある5つのコラムはまさに必読である.
 この一冊が,婦人科腫瘍学を学ぶ全ての医師,医学生にとって,広い視野での知識の習得と確認へと導く一助となることを祈念してやまない.最善を尽くして完成させた本書ではあるが,日々の臨床の進歩・発展は目覚ましく,本書を手にされた方々にご叱正を乞えれば幸いである.最後に,本書の発刊にあたり執筆をご快諾頂いた方々に深甚なる謝意を表する.また,企画から編集までご苦労頂いた株式会社文光堂の佐藤真二氏に心から感謝申し上げる.

2019年8月
片渕 秀隆




JSAWIの財産の見える化
 私は第1回JSAWIシンポジウム(2000年6月)に,天理よろづ相談所病院からポスター発表症例を持って参加した.淡路花博用の臨時バスで初めて淡路島を訪れ,多くの観光客の中で場違いの服装をしていた.産婦人科と放射線科が合同で学術集会を行うことなど想像できない時代であり,花博に合わせたイベントなのかとさえ思っていた.翌年,神戸大に異動となりJSAWI事務局を任された.当時のプログラムはすべて世話人会で決定されており,初代代表世話人である藤井信吾教授が鋭い視点と優れたバランス感覚で多くの企画を提案され,同じく初代代表世話人の杉村和朗教授が放射線科の立場からの意見を追加されて魅力的な企画が次々に生まれた.二代目代表世話人の小西郁生教授・富樫かおり教授の時代には,当番世話人制となり,より深く追及するテーマが設定され,最先端のテーマも取り上げられた.その一つである子宮筋腫塞栓療法については,ワークショップなどで何度か取り上げられたこともあり,JSAWIが子宮筋腫塞栓療法研究会を吸収する形となった.一般演題はポスターセッションとして始まり,現在に続いている.診療科を越えて討論し合い,懇親会は更に交流を深める場となっている.このJSAWIで学んだ知識や画像,育まれた産婦人科・放射線科・病理診断科の信頼関係は貴重な財産である.
 2年前の世話人会で,JSAWI20周年を記念して,“使える記念誌”を作ることが決まった.“財産の見える化”である.産婦人科,病理診断科,放射線科と診療科の異なる者がそれぞれの流儀で執筆すると,統一性に欠けるものとならないか心配であったが,これまで培われた信頼関係が役立ち,JSAWIオリジナルの書となった.この企画に関わることができ,大変誇らしく思っている.
 本書が出来上がる過程で,①産婦人科側の代表世話人である片渕秀隆教授の力強いリーダシップと柔軟性の高いアイディア,②御多忙の中執筆を引き受け,度々の校正に快く応じて下さった多くの先生方のご協力,③株式会社文光堂の佐藤真二氏をはじめとするスタッフの皆様の粘り強いご尽力,がなければ完成にたどり着かなかった.皆様に改めてお礼を申し上げたい.
 産婦人科,放射線科,病理診断科それぞれのこだわりをわかりやすく解説した本書を,ぜひ婦人科腫瘍診療の様々な場面でお使いいただきたい.

2019年8月
楫  靖
I章 画像診断のモダリティ
 A.X線撮影
 B.超音波断層法
 C.CT
 D.MRI
 E.PET/CT,PET/MRI
  COLUMN 画像検査に伴う放射線被ばく
II章 女性骨盤臓器の発生・解剖・組織構築と生理変化
 A.骨盤腔・後腹膜腔
 B.子宮頸部
 C.子宮体部(子宮内膜)
 D.子宮体部(間葉組織)
 E.卵管
 F.卵巣
 G.腟
 H.外陰
III章 婦人科腫瘍・疾患の組織学的分類
 A.子宮頸部腫瘍
 B.子宮体部腫瘍
 C.卵巣腫瘍,卵管腫瘍,腹膜腫瘍
 D.腟腫瘍
 E.外陰腫瘍
 F.絨毛性疾患
 G.子宮間葉性腫瘍
 H.乳腺疾患
IV章 初回診断と治療後画像フォローアップ
 A.治療後の画像変化
  1.手術後
  2.化学療法後
  3.放射線治療後
 B.初回診断と再発診断
  1.子宮頸癌(扁平上皮癌)
  2.子宮頸癌(腺癌)
  3.子宮体癌(類内膜癌)
  4.子宮体癌(特殊組織型)
  5.卵巣腫瘍(上皮性腫瘍)
  6.卵巣腫瘍(性索間質性腫瘍)
  7.卵巣腫瘍(胚細胞腫瘍)
  8.卵巣腫瘍(子宮内膜症性囊胞)
  9.卵管癌
  10.腹膜癌
  11.腟癌(扁平上皮癌,腺癌)
  12.外陰癌
  13.絨毛性疾患
  14.子宮筋腫
  15.子宮腺筋症
  16.子宮肉腫・癌肉腫
  17.婦人科遺伝性疾患
   COLUMN CT/MRIの造影検査の安全性と考え方
V章 画像診断ピットフォール
 A.モダリティ
  1.超音波断層法
  2.CT
  3.MRI
  4.PET/CT
 B.疾患
  1.子宮頸部
  2.子宮体部
  3.卵巣
  4.卵管
  5.後腹膜
  6.腟,外陰
   COLUMN 妊娠中のMRIの胎児への影響
Ⅵ章 撮像・画像表示に関するキーワード
 A.MRI撮像に関するキーワード
  1.拡散強調像とADC map
  2.脂肪抑制法とchemical shift imaging
  3.磁化率強調像
  4.高速撮像可能なT2強調像(1)HASTE法など
  5.高速撮像可能なT2強調像(2)True SSFP法など
  6.3次元(3D)撮像法(T2強調像,脂肪抑制T1強調像)
   COLUMN 超音波断層法における3D撮像法
 B.画像表示・計測に関するキーワード
  1.スライス厚とスライスギャップ
  2.FOVとマトリックス
  3.部分容積効果
  4.3次元データの2次元表示法(MPR,MIP,thin MIP,Min IP)
  5.差分画像
  6.融合画像
  7.ROI, VOI
   COLUMN 画像診断-Radiomics解析法
VII章 読影サインが表す病態・疾患 トップ20
 bag of worms
 black garland-like appearance
 bright dot sign
 chemical shift artifact
 cosmos pattern
 intratumoral cyst and fibous core
 fibrovascular septa
 hyperintensity rim and hypointensity rim
 mushroom cap
 omentum cake/omental cake
 sausage-shaped mass
 sea anemone-like mass
 shading
 sponge like mass
 stained glass appearance
 visceral scalloping
 black sponge-like appearance
 beak sign
 embedded organ sign
 prominent feeding artery sign
VIII章 資料
 臨床進行期分類と組織学的分類
 刊行に寄せて~JSAWI歴代代表世話人より~