国家試験・主任者試験の要点をコンパクトに凝縮した,『ラジノート』誕生!
ラジエーションノート
診療放射線技師国家試験・第1種放射線取扱主任者試験
放射線生物学
内容
序文
主要目次
この成書は診療放射線技師国家試験と第1 種放射線取扱主任者試験の対策本として作成されています.原則として1ページあるいは見開き2ページで見出しタイトルの項目について,学習すべき必須ポイントを囲み記事で記し,多くの図・イラストを用いて解説記事で理解を深める構成になっています.
放射線生物学とは放射線による人体への影響を学ぶ学問です.放射線によるさまざまな人体の障害は,放射線によるDNA損傷が主因です.それにより細胞死やDNA・染色体の突然変異が引き起こされます.まず第1章ではこのDNA・染色体の基本を学習し,第2章から第7章までは放射線による物理学的・生化学的影響と細胞レベルでの影響を学び,第8章から第13章までは組織・個体レベルでの影響を学習します.第14章では自然からの被ばくと内部被ばくを,第15章では放射線治療が及ぼす生物効果について学びます.第16章では高LET放射線による治療,第17章では温熱療法を取り上げています.
第1章から読んでいくとスムーズに放射線生物学を学習できます.時間に余裕のない場合は,見出しタイトルと囲み記事とイラストのみを学習しても十分な試験対策ができるように組み立てています.
目次に診療放射線技師国家試験に必要な項目か第1種放射線取扱主任者試験に必要な項目かを付記しています.第1種放射線取扱主任者試験を受ける予定のない場合は,国マークのある項目のみ学習しても良いように組み立てています.受験のときの目安にしてください.
2023年4月
渡邊祐司
1.真核細胞の構造
2.遺伝子とヒトゲノムDNA
3.セントラルドグマと関連実験
4.染色体の構造
5.DNA・RNAの構成単位と二重らせん構造
6.塩基の種類と相補的塩基対
7.相補的塩基対の水素結合
8.RNAの種類と働き
9.タンパク質の合成:転写と翻訳
10.コドンとアミノ酸
11.体細胞分裂と減数分裂
▶章末問題1
2 電離放射線の種類と作用
1.電離放射線の種類と分類
2.電磁波の種類と波長
3.電離放射線の発生
4.電離放射線の透過力
5.電離放射線の飛跡と電離密度
6.電離放射線の線エネルギー付与(LET)
7.放射線加重係数
8.電離放射線と物質の相互作用の物理的特徴
9.X線・γ線の生物への影響の物理学的過程
10.放射線量と単位
▶章末問題2
3 直接作用と間接作用
1.直接作用と間接作用
2.間接作用:フリーラジカル 水酸化ラジカル
3.間接作用の4つの修飾効果
4.酸素効果
5.間接作用の修飾効果:保護効果と凍結効果
6.スーパーオキシドラジカル
▶章末問題3
4 DNA損傷と修復
1.DNA損傷
2.DNA損傷の修復:除去修復
3.DNA損傷の修復:2本鎖切断の修復
4.遺伝子突然変異
5.染色体異常(突然変異)
6.遺伝子・染色体突然変異:線量・線量率・線質の関係
7.放射線高感受性遺伝病
▶章末問題4
5 放射線の細胞への影響:細胞周期と放射線感受性,細胞死
1.細胞周期
2.細胞周期と放射線感受性
3.放射線による細胞分裂への影響と細胞死
4.細胞死の様式:アポトーシスとネクローシス
▶章末問題5
6 放射線の細胞への影響:細胞の生存率曲線,ヒット標的理論,LQモデル
1.細胞生存率曲線と放射線感受性
2.ヒット・標的理論
3.直線二次曲線(LQ)モデル
4.細胞・組織の種類とα/β値
▶章末問題6
7 放射線の線質と生物影響:LETとRBE
1.亜致死的損傷からの回復:生存率の回復
2.生物学的効果比(RBE)
3.LETとRBEの関係
4.LETと酸素増感比(OER)
5.高LET放射線 vs 低LET放射線 補足表
▶章末問題7
8 放射線の細胞への影響:細胞・組織の放射線感受性
1.放射線感受性:ベルゴニー・トリボンドーの法則
2.正常組織の放射線感受性
3.正常組織の耐容線量
4.早期・後期反応
5.腫瘍の放射線感受性
▶章末問題8
9 放射線の人体への影響:確定的影響と確率的影響
1.放射線の人体への影響の分類
2.確定的影響と確率的影響
3.確定的影響としきい線量
▶章末問題9
10 放射線の全身被ばくと胎児(胎内)被ばく
1.急性放射線障害(症候群)
2.急性放射線症障害(症候群)の重症度と被ばく線量の推定
3.急性放射線死
4.胎児の放射線障害(胎内被ばく)
▶章末問題10
11 放射線被ばく:各臓器の障害
1.造血組織:血球数
2.輸血用血液の放射線照射
3.消化器系への影響
4.中枢神経系への影響
5.眼への影響
6.生殖器系への影響:精巣
7.生殖器系への影響:卵巣
8.皮膚への影響
▶章末問題11
12 放射線被ばく:発がん(確率的影響)
1.放射線による発がんのプロセス
2.放射線による発がんのリスク算定
3.被ばく時の年齢と感受性の関係
4.白血病・固形がんによる死亡と線量との関係
5.白血病と固形がん:潜伏期間・生涯リスクモデル・名目リスク係数
6.放射線発がんの実例
▶章末問題12
13 放射線被ばく:遺伝性(的)影響(確率的影響)
1.放射線被ばくによる遺伝性(的)影響
2.放射線被ばくによるヒトの遺伝性(的)影響のリスク推定
▶章末問題13
14 内部被ばくと自然界からの被ばく
1.内部被ばく
2.人工放射性核種 vs 天然放射性核種
3.自然放射線による被ばく
4.医療被ばく
5.放射線による人体への影響における重要な放射線量(補足)
▶章末問題14
15 放射線治療の生物学的効果:分割照射と4R
1.がん細胞・組織の生物学的特徴
2.分割照射と細胞生存率
3.分割照射における「4R」
4.分割照射の種類
5.分割照射のプロトコール比較
6.生物学的等価線量(BED)
▶章末問題15
16 高LET放射線による放射線治療
1.粒子線治療
2.陽子線治療 vs 重粒子線治療
3.中性子と物質との相互作用
4.ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)
▶章末問題16
17 温熱療法と生物学的効果
1.温熱療法(ハイパーサーミア)と細胞死
2.温熱療法と放射線治療
▶章末問題17
索引