小児の神経所見の“超”入門書
カラーイラスト図解
手軽にとれる小児神経所見
内容
序文
主要目次
小児神経疾患は,多くの病院で入院患者があり,受け持ちとなる機会には恵まれています.しかし呼吸・消化器系の問題の対応に追われ,神経所見の所得があまり重視されていないようです.たとえ感染症や栄養障害で入院する患児であっても,診察を通じて神経病変を類推し,その病変から出発して,なぜ現在の問題点が生じているのか考えることは大切です.また小児科外来の子どもたちは神経系の問題を伴うことが多く,発達と神経学的所見の評価ができることは,全身を診る小児科医としては必要な技術となります.
神経所見に限りませんが,小児の診察は協力を得ることが難しく,遊びを通じて所見を引き出す必要があり,そこにはいくつかのコツがあります.また神経所見は,常に発達の視点から考えてみることが必要で,そこが大人の神経診察との大きな違いであり,小児科医のやりがいもそこにあります.
この本は初期研修医を想定し,明日から小児科配属となる,あるいは外来での予診に臨む際に,短時間に小児神経所見を勉強するための,簡明な入門書となることを目的としています.小児の発達にはかなりの幅がありますが,異常所見の検出に主眼をおき,記憶に留めやすいよう,単純化し図示するように心がけています.省略した部分も多く,興味を持った方は,さらに専門書を勉強されることを希望します.本書がきっかけとなり,小児科,特に成長・発達や神経・筋疾患に興味を持たれる方が増えることを願っております.
平成26年2月
小坂 仁
I 問診の目的
II 妊娠歴,分娩歴,家族歴,発達歴,成長歴などの既往歴
III 現病歴
IV 部位予測を行う
2 神経学的診察:①乳児
I 保護者の膝の上での診察
II 診察台での診察─①背臥位
III 診察台での診察─②座位
IV 診察台での診察─③腹臥位
V 再び保護者の膝の上での診察
3 神経学的診察:②幼児(1〜5歳)
4 神経学的診察:③学童(6歳以上)
診察手順(第2〜4章)のまとめ
5 反射の考えかたと観察
I 深部腱反射と原始反射
II 病的反射
III 原始反射
IV 姿勢反射
6 脳神経系の診察
I 視神経(第Ⅱ脳神経)の診かた
II 動眼・滑車・外転神経(第Ⅲ・Ⅳ・Ⅵ脳神経)の診かた
(眼球運動,上眼瞼挙上に関わる神経群)
III 三叉神経(第Ⅴ脳神経)の診かた
IV 顔面神経(第Ⅶ脳神経)の診かた
V 聴神経(第Ⅷ脳神経)の診かた
VI 舌咽・迷走神経(第Ⅸ・Ⅹ脳神経)の診かた
VII 副神経(第Ⅺ脳神経)の診かた
VIII 舌下神経(第Ⅻ脳神経)の診かた
7 筋トーヌスの診かた
Ⅰ 筋肉の量の評価
II 筋 力
III 筋トーヌスの診かた
8 歩行の観察〜小児の歩行異常〜
Ⅰ 痙性歩行:痙性片麻痺
II 小脳性失調歩行
III 基底核障害
IV 弛緩性麻痺:末梢神経性麻痺
Ⅴ 弛緩性麻痺:筋障害
9 脳性麻痺の診断
Ⅰ 脳性麻痺の定義
II 脳性麻痺と未熟児
III 障害部位と異常
IV 脳性麻痺の診断
Ⅴ 痙性型脳性麻痺の診断
10 痙攣性疾患とてんかんの診かた
Ⅰ 発作の観察
II てんかん発作の分類
III てんかんの疾病分類
11 意識障害の診かた
Ⅰ バイタルサインの確認と安定化
II 意識障害の程度の判定
III 眼の観察
IV 麻痺の有無の観察
Ⅴ 髄膜刺激徴候
VI 筋緊張
VII 脳ヘルニアの徴候
12 不随意運動の診かた
I 随意運動の仕組みと不随意運動
II 不随意運動を観察するポイント
III 種々の不随意運動の症状
13 頭部と皮膚所見の診かた
I 頭囲の測定法
II 大泉門
III 骨縫合部
IV 皮膚所見
付録 外来病歴用紙
index