第一線の作業療法士が実践する手技・方法を多彩な図とともに解説!自信を持って臨床対応するために必要な知識・技術を網羅したガイドブック!!
図解作業療法技術ガイド第4版
根拠と臨床経験にもとづいた効果的な実践のすべて
内容
序文
主要目次
*本書第4版第2刷のうちの一部におきまして,本来p.1080があるべきぺージに間違ってp.1180が印刷されておりました.読者の皆様にはご迷惑をおかけし,誠に申し訳ございません.訂正してお詫びいたします.正しいp.1080は下記よりダウンロードしてご覧いただけます.
『図解作業療法技術ガイド 第4版第2刷』:p.1080(PDFファイル)open_in_new
我が国では,少子・超高齢社会の到来と慢性疾患患者の増加・多様化が,疾患の治療の難しさに接する場面も多くなり,さらにグローバル社会の世界との往来で感染症のパンデミックを経験し,日々の生活形態の変容がリハビリテーション医療や作業療法の世界も影響を受けている.「21世紀の命と健康を守る医療人の育成を目指して」とする21世紀医学・医療懇談会の報告で,医学・医療を取り巻く環境の変化に伴い,医療の場におけるコ・メディカルスタッフの役割はますます重要になることや,新しい分野も見据え,その育成方策を検討することが重要な課題として提起されてきた.
このような要請に寄与できるよう,作業療法を目指す学生,あるいは臨床作業療法士の座右の書として1998年に第1版を刊行した.執筆陣は長年臨床で活躍されてきた作業療法士の先生方や医療従事者教育に関わってこられた医師等の方々にお願いし,作業療法の専門的知識の習熟は勿論,実際の臨床ですぐに役立つ技術のガイドブックとしての性格を特徴とした.2003年に第2版を改訂した.記述はできるだけ簡潔に,イラストや表を多く取り入れ臨床の場ですぐに活かせるように工夫した.2011年に第3版を出版した.医療状況の変化と,それに対応できる医療技術の必要性を見直し,第2版のすべての項目の検討と手直しを行い新規の科目を20項目以上追加した.
2019年から施行された理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則では高度化する医療,地域包括ケアシステムへの対応,障害者の自立支援・就労支援に対応する作業療法士の教育を,養成教育の段階から推進するため,カリキュラム,臨床実習指導者の要件も含めた臨床教育の在り方,専任教員の要件等の見直しが行われた.必修単位数が101単位になり内容もリハビリテーション栄養学,画像診断学,救急医学,疾病及び障害の予防,管理学,地域リハビリテーション実習等の必修化が追加された.作業療法の分野でも作業科学や生活行為向上マネジメント(MTDLP)が広く普及してきた.
第4版は,現在の我が国の医療状況の変化と技術の変化に対応する知識と技術の必要性,指定規則の改訂を受けて全編集陣で新たな検討と新規項目の追加を検討して執筆依頼を行った.その途中でWHOのICD-11が我が国でも承認され厚生労働省の用語検討委員会が発足したのを受けてその公表を待つため1年出版を延期した.今般その経過を検討しながら出版にこぎつけた.本版は高度な作業療法専門職に必要な知識,技術はすべて網羅されたものと自負している.本書が,作業療法学生,若手作業療法士,チーム支援を行っている医療専門職にとって臨床に対応できる技術ガイドとして有意義になるものと確信している.
最後に執筆に労をとっていただいた執筆者の方々に深謝する.そして第1版から第4版まで長期にわたり出版に関わっていただいた文光堂の皆様に心より感謝申し上げる.
2020年12月
石川 齊・古川 宏
●作業療法とは
●健康・疾病・障害と作業療法
●作業療法の倫理
●作業療法の管理と運営
第2部 作業療法の理論枠組み
1 理論はなぜ必要か?─理論の役割─
2 作業療法で使われている理論の全体像
3 作業療法独自の理論枠組み
●人間作業モデル
●カナダ作業遂行モデル
●生活行為向上マネジメント
第3部 作業療法の評価
1 「評価」とは
2 作業および作業遂行の評価
●運動とプロセス技能の評価(AMPS)
●人間作業モデルで使われる評価
●カナダ作業遂行測定
●生活行為向上マネジメントの評価
3 身体機能的側面の評価法
●運動感覚機能の検査
●上肢機能の検査
●体幹機能の検査
●下肢機能の検査
4 精神機能の評価
●評価基礎技法
●知的機能の評価
●感情の評価
●認知機能の評価
●心理社会的機能の評価
●自我機能と自己の評価
●集団の評価
5 発達に関する評価
●発達の評価
●自閉症スペクトラム障害の評価
6 日常生活活動(日常生活動作)の評価
7 IADLの評価
8 職業関連の評価
●身体障害系
●精神障害系
9 社会生活技能の評価
●身体障害系
●精神障害系
10 QOLの評価
第4部 作業療法基礎学
1 作業療法で行う基本技術
●アクティビティの種類
●アクティビティの選択とその治療的使用
●作業分析
●支持的精神療法
●集団作業療法
●代償学
●ハンドスプリント
●就労・就業支援
2 疾病に伴う基本的障害の原因,治療の原理,OTへの適用
●関節可動域
●筋 力
●デコンディショニング─安静による呼吸循環器系機能の低下─
●廃用症候群・サルコペニア・フレイル・ロコモティブシンドローム
●筋緊張異常の発生原理
●不随意運動の発生原理
●神経伝達メカニズム
●薬物療法─精神科でよく用いる薬─
●薬物療法─脳神経内科でよく用いる薬─
●薬物療法─内科・整形外科・リハ医学でよく用いる薬─
●せん妄状態(意識障害)と作業療法
●情動・意志の障害
●知覚・注意障害の発生原理
●認知機能障害
●知的機能障害
●認知症─原因・病態および診断・評価・治療─
●コミュニケーション障害の原因
●摂食機能障害
●生活習慣病─糖尿病とメタボリックシンドローム─
●整形外科疾患の画像
●脳疾患の画像
●脳波と脳血流量
●栄養とリハビリテーション
第5部 疾患・障害別作業療法技術
1 身体障害
●脳血管障害
●失調症
●脊髄損傷
●関節リウマチ
●末梢神経損傷
●ハンドセラピィ
●切 断
●頭部外傷
●パーキンソン病
[難病]
●多発性硬化症
●筋萎縮性側索硬化症
●ギラン・バレー症候群
●肝疾患のケア
2 発達期の作業療法
●脳性麻痺
●筋ジストロフィー
●二分脊椎
●重症心身障害児
●知的発達障害児
●発達障害─自閉症・ADHD・アスペルガー障害・学習障害など─
●子どもの虐待
[発達障害に対する作業療法の実際]
●感覚統合療法
●TEACCHプログラム
●ソーシャルスキル・トレーニング
●ペアレントトレーニング・ソーシャルストーリー・認知行動療法
3 精神障害
●精神障害の分類と診断
●症状性を含む器質性精神障害
●症状性精神障害の作業療法
●てんかんの作業療法
●精神作用物質使用による精神および行動の障害
●アルコール依存症の作業療法
●統合失調症
●統合失調症の作業療法
●気分障害
●気分障害の作業療法
●神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害
●不安障害と強迫性障害の作業療法
●解離性障害の作業療法
●生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
●摂食障害の作業療法
●睡眠障害の作業療法
●成人のパーソナリティおよび行動の障害
●パーソナリティ障害の作業療法
●広汎性発達障害/自閉スペクトラム症
●広汎性発達障害/自閉スペクトラム症の作業療法
●多動性障害/注意欠如・多動症
●多動性障害/注意欠如・多動症の作業療法
4 高齢期障害
●高齢期障害の作業療法
●認知症に対する作業療法
5 慢性呼吸障害
●慢性呼吸障害の病態とリスク管理
●呼吸器疾患の作業療法
6 心疾患・循環器の障害
●心疾患の病態とリスク管理
●心疾患の作業療法
7 認知・行為の障害
8 がんの作業療法
●がんに対する作業療法
●終末期の作業療法
第6部 地域・在宅ケアの実際
●地域・在宅ケアの制度と対応するシステム概論
●地域・在宅ケアの中での作業療法の管理・運営
●地域包括ケアと地域ケア会議
●住環境の整備(住宅改造)
●特定疾病(16種類)
●発達期の地域・在宅ケアの実際
●地域精神科医療と在宅ケア
●在宅生活における援助
●在宅生活における援助の実際─会津若松市の場合─
●介護老人保健施設における作業療法
●高齢者介護予防
●地域における災害支援作業療法(PTSDへの対応)
第7部 法制度と作業療法
●社会保障制度における作業療法
●医療観察法と精神科領域の作業療法
●障害者総合支援法と作業療法─身体障害─
●障害者総合支援法と作業療法─精神障害─
●特別支援教育と作業療法
資料編
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