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子宮体部腫瘍の病理診断のスタンダード!最新知見を盛りこみ改訂!!

腫瘍病理鑑別診断アトラス

子宮体癌第2版

カバー写真
  • 編集:柳井広之(岡山大学教授)
  • 編集 笹島ゆう子(帝京大学教授)
  • 監修:腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
  • 編集協力:日本病理学会
  • B5変型判・264頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2263-2
  • 2023年4月11日発行
定価 17,600 円 (本体 16,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

腫瘍病理鑑別診断シリーズ「子宮体癌」,待望の第2版.近年,分子生物学的な知見の集積が進み,腫瘍組織分類や治療選択にも大きく影響を与えるなか,2020年にはWHO分類第5版,2022年には子宮体癌取扱い規約病理編第5版も発行された.そうした状況を踏まえ,子宮体部腫瘍病理のエキスパートが精選した病理写真とともに,定義や概念,診断上の要点を解説.診断を進める各過程での鑑別ポイント,免疫組織科学の活用法や,臨床との連携では欠かせない治療効果判定や病理診断報告書の記載法についても取り上げた.
第2版の序

 本書の初版は2014年11月に子宮体癌取扱い規約第3版,WHO分類第4版に準拠したものとして,子宮体癌およびその他の子宮体部腫瘍の診断精度の向上に寄与することを目指して刊行された.その後,子宮体部腫瘍についての理解は分子生物学的な知見の集積を中心にめざましく進展した.特筆すべきは,The Cancer Genome Atlas(TCGA)projectの網羅的遺伝子解析による子宮体癌の分類が,腫瘍の生物学的態度や治療法の選択とも関連することがさまざまな組織型で示されてきたことである.さらに,子宮間葉性腫瘍においては次世代シークエンサーを用いてこれまでに知られていなかった融合遺伝子などの遺伝子異常に基づく疾患概念が提唱されてきている.2020年に刊行されたWHO分類第5版では,これらの分子生物学的な研究成果を取り入れながらも分類の主たる基準は引き続き形態診断にあり,診断に携わる病理医には現在の子宮体癌の生物学的な理解を意識して適切な病理診断を行うことが求められている.
 このような背景の中で,初版に引き続き子宮体癌,子宮体部を中心とした間葉性腫瘍,絨毛性疾患の病理学的事項を解説するとともに,これらの領域の最近の知見を反映させることを目的としてこの度の改訂を企画した.
 本書の第1部では検鏡に取りかかる前に知っておくべきこととして,診断の枠組みとしてのWHO分類第5版における分類,検体の取り扱い方を解説した.第2部では各組織型の典型像,組織学的バリエーションを豊富な写真で示して,診断,鑑別のポイントと分子生物学的特徴を含めて解説した.第3部は検鏡しながら問題となる状況ごとに鑑別のポイント,ピットフォール,免疫組織化学などの追加検索の活用法を取り上げた.第4部は治療にあたる主治医と病理医の連携を深めることを目的に,治療方針を決定するうえで病理診断に求められる情報,治療効果の判定,病理診断報告書の記載法について触れた.
 執筆はいずれも最前線で診療を担当している先生にお願いした.本書が病理医の診断の役に立つのみでなく,子宮体癌を多面的にとらえ,診療に携わる者をつなぐ役割を果たすことを期待している.

 令和5年4月
 柳井  広之
 笹島 ゆう子


 この「腫瘍病理鑑別診断アトラスシリーズ」は日本病理学会の編集協力のもと,刊行委員会を設置し,本シリーズが日本の病理学の標準的なガイドラインとなるよう,各巻ごとの編集者選定をはじめ取りまとめを行っています.

 腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
 小田義直,坂元亨宇,都築豊徳,深山正久,松野吉宏,森谷卓也
第1部 検鏡前の確認事項
 Ⅰ.子宮体部腫瘍の分類の現状
   1.子宮体癌の分類の歴史的変遷
   2.上皮性腫瘍
   3.間葉性腫瘍
   4.上皮性・間葉性混合腫瘍
   5.その他の腫瘍
   6.絨毛性疾患
   7.リンパ性・骨髄性腫瘍
   8.二次性腫瘍
 Ⅱ.病理標本の取り扱い方
   1.検体の固定から提出
   2.切り出しの基本
   3.がんゲノム検査への配慮

第2部 組織型と診断の実際
 Ⅰ.上皮性腫瘍・腫瘍様病変
  1 子宮内膜増殖症・子宮内膜異型増殖症/類内膜上皮内腫瘍
  2 類内膜癌
  3 漿液性癌・明細胞癌
  4 未分化癌/脱分化癌・癌肉腫
  5 その他の癌
   1.混合癌
   2.中腎様腺癌
   3.扁平上皮癌
   4.粘液性癌,胃/腸型
   5.神経内分泌癌:小細胞神経内分泌癌,大細胞神経内分泌癌,神経内分泌癌を伴った癌
   6.その他のまれな癌
 Ⅱ.平滑筋腫瘍
 Ⅲ.子宮内膜間質腫瘍
   1.子宮内膜間質結節
   2.低異型度子宮内膜間質肉腫
   3.高異型度子宮内膜間質肉腫
 Ⅳ.その他の間葉性腫瘍
   1.未分化子宮肉腫
   2.血管周囲類上皮細胞腫瘍
   3.卵巣性索腫瘍に類似した子宮腫瘍
   4.アデノマトイド腫瘍
   5.炎症性筋線維芽細胞腫瘍
 Ⅴ.上皮性・間葉性混合腫瘍
   1.腺筋腫
   2.異型ポリープ状腺筋腫
   3.腺肉腫
 Ⅳ.絨毛性疾患
   1.正常妊娠の絨毛と栄養膜細胞
   2.全胞状奇胎
   3.部分胞状奇胎
   4.侵入および転移性胞状奇胎
   5.妊娠性絨毛癌
   6.胎盤部トロホブラスト腫瘍
   7.類上皮性トロホブラスト腫瘍
 Ⅶ.転移性腫瘍・その他の腫瘍・腫瘍類似病変
   1.転移性腫瘍・二次性腫瘍
   2.その他の二次性腫瘍
   3.その他の腫瘍 
   4.腫瘍類似病変

第3部 鑑別ポイント
 Ⅰ.内膜生検・搔爬材料の観察の仕方
   1.子宮内膜の組織診
   2.あらかじめ知っておくと良い臨床情報
   3.検体の適正・不適正について
   4.生検や搔爬検体におけるアーチファクト
   5.子宮内膜生検・搔爬材料の観察手順
 Ⅱ.子宮内膜増殖症 vs 非増殖性・非癌病変
   1.子宮内膜増殖症と正常内膜との鑑別
   2.子宮内膜増殖症と子宮内膜ポリープとの鑑別
   3.子宮内膜増殖症と不規則増殖期内膜との鑑別
 Ⅲ.子宮内膜における化生の評価
   1.扁平上皮化生・桑実胚様細胞巣
   2.粘液性化生
   3.線毛上皮化生
   4.好酸性化生
   5.分泌性化生
   6.乳頭状増生
 Ⅳ.子宮内膜癌の組織型の鑑別
   1.子宮内膜癌の組織型鑑別上の問題点
   2.鑑別診断
 Ⅴ.子宮内膜癌における浸潤,脈管侵襲
   1.子宮内膜癌における筋層浸潤,脈管侵襲の意義
   2.臨床進行期分類の指標としての変遷
   3.筋層浸潤・頸部浸潤
   4.リンパ管・脈管侵襲
   5.筋層浸潤やリンパ管・脈管侵襲に関連する因子
   6.発生メカニズム
 Ⅵ.子宮体癌における免疫組織化学の選択と評価
   1.上皮性腫瘍の分子生物学的特徴と免疫組織化学
   2.上皮性腫瘍の組織型と免疫組織化学
   3.間葉性腫瘍と免疫組織化学
   4.転移性腫瘍
 Ⅶ.平滑筋腫瘍の悪性度評価
   1.通常型平滑筋腫瘍の悪性度評価
   2.特殊型平滑筋腫瘍の悪性度評価
   3.悪性度不明な平滑筋腫瘍とその意義
   4.診断の手順の例と注意点

第4部 臨床との連携
 Ⅰ.子宮内膜腫瘍の進行期と治療方針・予後
   1.子宮内膜癌の疫学
   2.子宮内膜癌の臨床的取扱いと最近の知見からみた留意点
   3.治療方針・予後
 Ⅱ.子宮間葉性腫瘍・絨毛性疾患の治療および予後 
   1.子宮間葉性腫瘍
   2.絨毛性疾患
 Ⅲ.組織学的治療効果判定(MPA療法後の評価)
   1.MPA投与による内膜組織像の変化
   2.MPA療法後の再発
 Ⅳ.病理診断報告書の書き方
   1.進行期:pT(UICC第8版)とFIGO staging system 2008の要点および留意事項
   2.病理診断報告書の記載事項

索引