小児の神経所見の“超”入門書!
新刊カラーイラスト図解
手軽にとれる小児神経所見第2版
内容
序文
主要目次
小児神経診察は,呼吸器や消化器系の問題の影に隠れ,診療の中で軽視されがちです.しかし,感染症や栄養障害で入院する患児であっても,診察を通じて発達の問題や,神経系の異常を見出し,そこから現れる症候を考察することは極めて重要です.入院,外来を問わず小児科を受診する子どもたちは,神経系の問題を抱えることが多いため,神経学的所見を評価できることは,小児科医に求められる基礎的かつ重要な技術です.
小児神経診察には,発達の視点が不可欠であり,成人の神経学的アプローチが必ずしも当てはまらないという難しさがあります.さらに,協力を得るのが難しいことも多いため,泣かせないように遊びを通して所見を引き出す工夫などが求められます.こうした点が,成人診察との大きな違いであり,また小児科医としてのやりがいとも言えるでしょう.本書が,小児神経診察の一助となり,成長・発達や神経・筋疾患に関心を持つ医師が増えることを願っています.
第2版の改訂では,初学者から経験豊富な小児科医まで,誰もが実践しやすい内容となるよう,最新の知見を加えつつ,簡潔で分かりやすい構成に努めました.短時間で小児神経診察のエッセンスを学べる本として,引き続き皆様のお役に立てることを願っています.
2024年11月
自治医科大学小児科学教授
小坂 仁
1 問診〜病態と病変部位の推定〜
Ⅰ 問診の目的
Ⅱ 妊娠歴,分娩歴,家族歴,発達歴,成長歴,などの既往歴
Ⅲ 現病歴
Ⅳ 部位予測を行う
2 頭部と皮膚所見の診かた
Ⅰ 頭囲の測定法
Ⅱ 大泉門
Ⅲ 骨縫合部
Ⅳ 皮膚所見
3 神経学的診察:①乳児
Ⅰ 保護者の膝の上での診察
Ⅱ 診察台での診察-①背臥位
Ⅲ 診察台での診察-②座位
Ⅳ 診察台での診察-③腹臥位
Ⅴ 再び保護者の膝の上での診察
4 神経学的診察:②幼児(1〜5歳)
5 神経学的診察:③学童(6歳以上)
診察手順(第3〜5章)のまとめ
6 反射の考えかたと観察
Ⅰ 深部腱反射と原始反射
Ⅱ 病的反射
Ⅲ 原始反射
Ⅳ 姿勢反射
7 脳神経系の診かた
Ⅰ 視神経(第Ⅱ脳神経)
Ⅱ 動眼・滑車・外転神経(第Ⅲ・Ⅳ・Ⅵ脳神経):眼球運動,上眼瞼挙上に関わる神経群
Ⅲ 三叉神経(第Ⅴ脳神経)
Ⅳ 顔面神経(第Ⅶ脳神経)
Ⅴ 聴神経(第Ⅷ脳神経)
Ⅵ 舌咽・迷走神経(第Ⅸ・Ⅹ脳神経)
Ⅶ 副神経(第Ⅺ脳神経
Ⅷ 舌下神経(第Ⅻ脳神経)
8 筋トーヌスの診かた
Ⅰ みる(視診):筋肉の量の評価
Ⅱ 触る(触診):筋トーヌスの診かた
Ⅲ やらせる(年長児)
9 歩行の観察〜小児の歩行異常〜
Ⅰ 痙性歩行:痙性片麻痺
Ⅱ 小脳性失調歩行
Ⅲ 基底核障害の歩行
Ⅳ 弛緩性麻痺(末梢神経性麻痺)の歩行
Ⅴ 弛緩性麻痺(筋障害)の歩行
10 意識障害の診かた
Ⅰ バイタルサインの確認と安定化
Ⅱ 意識障害の程度の判定
Ⅲ 眼の観察
Ⅳ 麻痺の有無の観察
Ⅴ 髄膜刺激徴候
Ⅵ 筋緊張
Ⅶ 脳ヘルニアの徴候
11 不随意運動の診かた
Ⅰ 随意運動の仕組みと不随意運動
Ⅱ 不随意運動を観察するポイント
Ⅲ 種々の不随意運動の症状
12 脳性麻痺の診かた
Ⅰ 脳性麻痺の定義
Ⅱ 脳性麻痺と低出生体重児
Ⅲ 障害部位と異常
Ⅳ 脳性麻痺の診断
Ⅴ 痙性型脳性麻痺の診断
13 けいれん性疾患とてんかんの診かた
Ⅰ 発作の観察
Ⅱ てんかん発作の分類
Ⅲ てんかんの疾病分類
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