「最小の検査で最大の成果を得る」ためのベストプラクティスがわかる!
新刊臨床検査ガイド2025年改訂版
これだけは必要な検査のすすめかた・データのよみかた
内容
序文
主要目次
1987年の初版以来,検体検査の実用書として広く医療従事者に利用いただいてきた本書ですが,前版の2020年改訂版以来はや5年が経過しようとしています.この間にも,臨床検査を取り巻く状況には劇的な変化がみられています.なかでも特筆すべきは,COVID-19のパンデミックを受けて,感染症や免疫に関する最新の知見と技術の応用により,SARS-CoV-2関連の検査が驚くべき量と速度で開発され,臨床現場に実装化されたことです.これまで遺伝子関連検査に携わってこなかった施設においても,否応なくSARS-CoV-2核酸増幅検査の導入が求められるようになり,それを実施する臨床検査技師も急な対応を迫られることになりました.また,複数あるSARS-CoV-2検査の選択や,感度や特異度を含めた検査の精度などについて,医療関係者のみならず一般の国民からも高い関心が向けられることになったのも,これまでにない状況であったと思います.このようなパンデミックの経験により,正確な臨床検査を適時に導入し実施することの重要性はこれまで以上に多くの人々の認識するところとなりました.その意味で,本書のような臨床検査に関するガイドブックの必要性は,より高まっているといえるでしょう.
この2025年改訂版では,前述したSARS-CoV-2関連検査に加え,7項目の新規に臨床導入された重要な検査(グルコース持続測定,レプチン,sFlt-1/PIGF比,抗ミュラー管ホルモン(AMH),卵巣癌の薬物療法の適応を調べる遺伝子検査,マイクロサテライト不安定性検査,マイクロアレイ染色体検査)を新たに収載しました.また,従来から行われていたがその重要性が高まっている赤痢アメーバ抗原・抗体について項目を独立させました.もちろん,日進月歩で変化しているゲノム医療を支える遺伝子関連検査など,近年需要の高まっている検査についても,実状に合わせて内容を更新いただいており,専門家以外にはキャッチアップが難しくなりつつある最新の検査についても理解しやすいものとなっています.一方で,使用頻度が減ったり実施が困難になった10項目の検査を割愛いたしました.
臨床検査の種類や適応は年を経て変化していきますが,旧版の巻頭言にある「臨床検査は,臨床家にとって強い武器であるが,その意義を十分知った上で,最小の検査で最大の成果を得るのが臨床家の真骨頂である」という言葉の重みは変わることはありません.本書がそのようなクリニカルサイエンス&アートの一助となることが,編集者一同の心からの願いです.
2024年11月 編集者を代表して
大西 宏明
1.初期診療
2.感染性疾患
3.呼吸器系疾患
4.循環器疾患
5.肝・胆疾患
6.膵疾患
7.代謝性疾患
8.甲状腺疾患
9.内分泌疾患
10.血液疾患
11.リウマチ・膠原病
12.腎疾患
第2部 各 論
1 生化学検査
A.血清蛋白
1.アルブミン,総蛋白,蛋白分画(A/G 比を含む),プレアルブミン
2.シスタチンC
3.トランスサイレチン
4.レチノール結合蛋白
B.酵素
5.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)
6.アデノシンデアミナーゼ(ADA)
7.アミラーゼ
8.アルカリホスファターゼ(ALP)
9.アルドラーゼ
10.アンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)
11.クレアチンキナーゼ(CK)
12.コリンエステラーゼ(ChE)
13.乳酸デヒドロゲナーゼ(LD,LDH)
14.リパーゼ,エラスターゼ1,ホスホリパーゼA2,トリプシン
15.ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)
16.γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT,γ-GTP)
C.アミノ酸・窒素化合物
17.アミノ酸
18.アンモニア
19.カルニチン
20.クレアチニン(血清,尿,クレアチニンクリアランス,eGFR),イヌリンクリアランス
21.尿 酸
22.尿素窒素(BUN)
D.ビリルビン・胆汁酸
23.ビリルビン
24.胆汁酸
E.ビタミン
25.ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB12,葉酸
26.ビタミンC
F.電解質・浸透圧
27.カリウム(K)
28.カルシウム(Ca),リン(P)
29.ナトリウム(Na),クロール(Cl)
30.マグネシウム(Mg)
31.血漿・尿浸透圧
G.血液ガス
32.血漿HCO3−濃度
33.動脈血CO2分圧
34.動脈血O2分圧,オキシメーター
35.動脈血pH
36.base excess
H.金属
37.亜 鉛
38.銅,セルロプラスミン
39.鉄,総鉄結合能,フェリチン,トランスフェリン飽和度
I.色素等負荷排泄試験
40.インドシアニングリーン(ICG),スルホブロモフタレイン(BSP)
41.PFD試験(bentiromide試験)
2 代謝・内分泌検査
A.糖代謝
1.インスリン(IRI),C–ペプチド(CPR)
2.インスリン分泌指標,HOMA
3.抗インスリン抗体
4.ガラクトース,フルクトース
5.グルカゴン(膵グルカゴン)
6.グルコース(血糖,ブドウ糖)
7.グルコース持続測定
8.ケトン,ケトン体分画(血液,尿)
9.抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体
10.乳酸,ピルビン酸
11.フルクトサミン,グリコアルブミン
12.ヘモグロビンA1c(HbA1c)
13.ペントシジン
14.1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)
B.脂質代謝
15.アポリポ蛋白
16.総コレステロール
17.HDL-コレステロール
18.LDL-コレステロール
19.non HDL-コレステロール
20.レムナント様リポ蛋白コレステロール
21.脂肪酸4分画
22.トリグリセライド(TG)
23.マロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL,酸化LDL)
24.リポ蛋白とその分画
25.リポ蛋白リパーゼ(LPL)
26.LCAT
C.脂質組織
27.レプチン
D.下垂体
28.黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH)
29.甲状腺刺激ホルモン(TSH)
30.抗利尿ホルモン(ADH)
31.成長ホルモン(GH)
32.ソマトメジンC(IGF-Ⅰ)
33.副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
34.プロラクチン(PRL)
E.甲状腺
35.遊離サイロキシン(FT4),遊離トリヨードサイロキシン(FT3),サイロキシン(T4),トリヨードサイロキシン(T3)
36.抗サイログロブリン抗体,抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗マイクロゾーム抗体を含む)
37.抗TSHレセプター抗体(TRAb),甲状腺刺激抗体(TSAb),甲状腺刺激阻害抗体(TSBAb)
38.サイログロブリン
F.副甲状腺・骨代謝
39.副甲状腺ホルモン(whole PTH,intact PTH)
40.副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)
41.25水酸化ビタミンD,1,25水酸化ビタミンD
42.オステオカルシン,低カルボキシル化オステオカルシン
43.骨型アルカリホスファターゼ(BAP)
44.骨吸収マーカー(Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド[CTX],Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド[NTX],デオキシピリジノリン,骨型酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ[TRACP-5b])
45.Ⅰ型コラーゲンC末端テロペプチド(1CTP)
G.副腎髄質・交感神経
46.カテコールアミン(CA)3分画
47.バニリルマンデル酸(VMA),ホモバニリン酸(HVA)
48.メタネフリン(MN),ノルメタネフリン(NMN)
H.副腎皮質
49.コルチゾール
50.デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S),デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
I.性腺・胎盤
51.エストラジオール(E2),エストリオール(E3)
52.テストステロン(遊離テストステロンを含む),ジヒドロテストステロン(DHT)
53.妊娠反応
54.ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG),βサブユニット(hCG-β)
55.プロゲステロン,17α-ヒドロキシプロゲステロン,プレグナンジオール,プレグナントリオール
56.sFlt-1/PlGF比
57.抗ミュラー管ホルモン(AMH)
J.消化管ホルモン
58.ガストリン
K.循環器
59.レニン・アルドステロン
60.ANP,BNP,NT-proBNP
61.リポ蛋白(a)(Lp(a))
62.心筋障害マーカー(心筋トロポニンT,心筋トロポニンI,心臓型脂肪酸結合蛋白[H-FABP],CK-MB)
3 血液学的検査
A.血球形態・機能
①赤血球
1.赤血球数・形態,ヘモグロビン,ヘマトクリット,網赤血球数
2.エリスロポエチン
3.抗赤血球抗体(Coombs試験を中心に)
4.赤血球抵抗試験(Ham試験,赤血球浸透圧脆弱性試験)
②白血球
5.白血球数,白血球分画
6.白血球特殊染色
7.白血球表面マーカー
8.好中球機能検査
③血小板
9.血小板数・形態
10.出血時間,血小板凝集能検査
11.血小板系分子マーカー(β-トロンボグロブリン,血小板第4因子,トロンボキサン)
12.抗血小板第4因子/ヘパリン複合体抗体(HIT抗体)
13.抗血小板同種抗体,抗血小板自己抗体
④骨髄
14.骨髄穿刺検査
B.造血器腫瘍の診断
15.急性白血病・骨髄異形成症候群・リンパ腫のWHO分類
16.急性白血病の遺伝子・染色体検査
17.慢性骨髄性白血病の遺伝子・染色体検査
18.悪性リンパ腫の遺伝子・染色体検査
19.その他の造血器腫瘍の遺伝子・染色体検査
C.出血・凝固・線溶
20.活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),プロトロンビン時間(PT),フィブリノゲン
21.凝固亢進マーカー(フィブリンモノマー複合体,トロンビン・アンチトロンビン複合体,プロトロンビンフラグメントF1+2,フィブリノペプタイド,アンチトロンビンなど)
22.total PAI-1(tPA-PAI-1複合体を含む)
23.線溶系分子マーカー(フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP),Dダイマー,プラスミン・α2-プラスミンインヒビター複合体(PIC))
24.その他の凝固因子(Ⅱ[PIVKA-Ⅱを含む],V,Ⅶ,Ⅷ,Ⅸ,Ⅹ,Ⅺ,Ⅻ,XⅢ)
25.von Willebrand因子,ADAMTS13(von Willebrand因子切断酵素)
26.プロテインC,プロテインS,APCレジスタンス,トロンボモジュリン
27.ループスアンチコアグラント(LA)
D.輸血・移植
28.血液型検査
29.不規則抗体検査,交差適合試験
30.HLAタイピング
4 炎症・免疫学的検査
A.炎症・組織障害・線維化マーカー
1.オートタキシン,Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)
2.間質性肺炎マーカー(KL-6,SP-A,SP-D)
3.血清アミロイドA蛋白(SAA)
4.赤血球沈降速度
5.線維化マーカー(Ⅳ型コラーゲン・7S,ヒアルロン酸,Ⅲ型プロコラーゲンペプチド,ELFスコア)
6.ハプトグロビン
7.プロカルシトニン(PCT)
8.プレセプシン
9.CRP
10.α1-アンチトリプシン
B.補体・免疫グロブリン
11.クリオグロブリン
12.補体価(CH50),C3,C4
13.免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比
14.免疫グロブリンG・A・M・D
15.IgG2
16.IgG4
17.免疫電気泳動法,免疫固定電気泳動法,尿Bence Jones蛋白
C.自己抗体
18.関節リウマチ関連検査(リウマトイド因子[RF],免疫グロブリンG型RF,抗ガラクトース欠損IgG抗体,抗シトルリン化ペプチド[CCP]抗体,MMP-3)
19.抗アクアポリン4抗体
20.抗アセチルコリンレセプター抗体
21.抗核抗体
22.抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体(抗MuSK抗体)
23.抗グルタミン酸レセプター抗体
24.抗好中球細胞質抗体(ANCA)
25.抗糸球体基底膜(GBM)抗体
26.抗セントロメア抗体
27.抗デスモグレイン抗体
28.抗糖脂質抗体(抗GM1-IgG抗体,抗GQ1b-IgG抗体,抗MAG/SGPG抗体)
29.抗ミトコンドリア抗体
30.抗リン脂質抗体
31.抗ARS抗体(抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体)
32.抗BP180抗体
33.抗DNA抗体
34.抗Jo-1抗体
35.抗LKM-1抗体
36.抗MDA5抗体,抗Mi-2抗体,抗TIF1-γ抗体
37.抗RNAポリメラーゼⅢ抗体
38.抗RNP抗体(抗U1-RNP抗体),抗Sm抗体
39.抗Scl-70抗体
40.抗SS-A/Ro抗体,抗SS-B/La抗体
41.免疫複合体
D.アレルギー
42.総IgE
43.多項目アレルゲン特異的IgE
44.TARC
45.リンパ球芽球化反応試験
46.SCCA2
5 感染症検査
A.感染症の遺伝子検査
1.感染症の遺伝子検査
2.薬剤耐性遺伝子検査
B.ウイルス
3.アデノウイルス
4.インフルエンザウイルス
5.サイトメガロウイルス
6.ノロウイルス,ロタウイルス
7.風疹ウイルス,麻疹ウイルス
8.ヘルペスウイルス
9.A型肝炎ウイルス
10.B型肝炎ウイルス
11.C型肝炎ウイルス
12.D型肝炎ウイルス,E型肝炎ウイルス
13.EBウイルス
14.HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
15.HPV(ヒトパピローマウイルス)
16.ヒトパルボウイルスB19
17.HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)
18.RSウイルス,ヒトメタニューモウイルス
19.SARS-CoV-2
20.SFTSウイルス(重症熱性血小板減少症候群ウイルス)
C.細菌
21.エンドトキシン
22.クロストリディオイデス・ディフィシル(CD)トキシン
23.結核菌,非結核性抗酸菌(薬剤耐性遺伝子検査を含む)
24.髄膜炎菌
25.肺炎球菌
26.梅毒血清学的検査
27.病原性大腸菌
28.ヘモフィルス・インフルエンザ菌
29.ヘリコバクター・ピロリ
30.ベロ毒素
31.マイコプラズマ
32.淋菌,クラミジア・トラコマティス
33.レジオネラ
34.A群レンサ球菌,B群レンサ球菌
D.真菌
35.アスペルギルス
36.カンジダ
37.クリプトコック
38.(1→3)β-D-グルカン
E.寄生虫
39.抗アニサキスIgG・IgA抗体
40.抗寄生虫IgG抗体
41.抗トキソプラズマ抗体
42.赤痢アメーバ抗原・抗体
43.マラリア
6 腫瘍マーカー
1.腫瘍マーカーの基礎知識
2.癌胎児性抗原(CEA)
3.肝癌マーカー(α-フェトプロテイン[AFP],α-フェトプロテインレクチン分画[L3],PIVKA-Ⅱ)
4.甲状腺癌マーカー(サイログロブリン,カルシトニン,CEA)
5.膵癌・胆道癌のマーカー
6.消化器癌のマーカー
7.前立腺腫瘍マーカー(前立腺特異抗原[PSA],プロステートヘルスインデックス[phi])
8.肺癌マーカー(CYFRA21-1,SCC,CEA,SLX,NSE,ProGRP)
9.中皮腫マーカー(可溶性メソテリン関連ペプチド)
10.乳癌マーカー(CA15-3,BCA225,NCC-ST-439,血清HER2)
11.卵巣癌・子宮頸癌・子宮体癌の腫瘍マーカー(CA125,CA72-4,STN,GAT,CA19-9,HE4,CEA,SCC,AFP,TFPI2)
12.可溶性インターロイキン-2レセプター(sIL-2R)
13.p53抗体
7 尿・糞便・その他の分泌液・穿刺液検査
A.尿検査
1.尿試験紙検査
2.尿潜血
3.尿蛋白
4.尿沈渣
5.尿 糖
6.尿比重,尿浸透圧
7.尿アルブミン
8.尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL),尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)
9.尿N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG),尿α1-ミクログロブリン,尿β2-ミクログロブリン
10.尿ポルフィリン体とその前駆物質
B.糞便検査
11.便中ヘモグロビン,便中トランスフェリン
12.寄生虫・虫卵,原虫類
13.便カルプロテクチン
C.その他の分泌液・穿刺液検査
14.髄 液
15.胸 水
16.腹 水
17.関節液
18.乳頭分泌液
8 細胞診
1.細胞診
9 遺伝子検査・染色体検査
1.肺癌の薬物療法の適応を調べる遺伝子検査
2.大腸癌の化学療法の適応を調べる遺伝子検査
3.乳癌の化学療法の適応を調べる遺伝子検査
4.卵巣癌の薬物療法の適応を調べる遺伝子検査
5.悪性黒色腫の薬物療法の適応を調べる遺伝子検査
6.がんゲノムプロファイリング検査
7.マイクロサテライト不安定性検査
8.遺伝学的検査(生殖細胞系列遺伝子検査)
9.マイクロアレイ染色体検査
10.先天性異常の染色体検査
資 料
妊娠に伴う検査値の変動
和文索引
欧文・数字索引