関連情報 日本ペインクリニック学会編集の関連書籍はこちら 編集:日本ペインクリニック学会 編集 術後痛ガイドライン作成ワーキンググループ B5判・160頁・2色刷ISBN 978-4-8306-2861-02025年3月4日発行予定 定価 3,520 円 (本体 3,200円 + 税10%) なし 在庫
内容序文主要目次周術期医療において適切な術後の鎮痛管理は,患者の早期的な離床や臓器合併症を予防することが示されている.本ガイドラインは,術中から予防的に開始する術後鎮痛法や術式に応じた鎮痛法に加え,QOLの低下に繋がってしまうような慢性術後痛についても詳述している.また,小児やオピオイド慢性服用患者など特別な配慮を必要とする患者への注意点も解説.周術期にかかわる全医療者必携の指針に仕上がっている.序 近年では,麻酔学の発展と麻酔薬や医療機器などのめざましい進歩により,安全に麻酔管理が施行できるようになっています.その結果,多様な全身疾患を有する患者や高齢の患者も手術を受ける機会が得られるようになりました.そのため周術期管理においては,高リスク患者も含めて,いかに早期離床を推進させて合併症を予防するか,また高齢者のフレイルを予防するか,が非常に重要視されており,良好な術後経過を辿るためには,適切な疼痛管理を行い心身の安定を図ることが不可欠となります.また年々増加しているがんサバイバーの中には,複数回の手術を受ける可能性もあるため,手術や麻酔に関するネガティブな印象を持たせないことも必要とされています.さらに生活の質(QOL)の低下に繋がるような,慢性術後痛を予防することも大きな課題となっています. このように術後痛管理の重要性が国際的にも益々高まっている中で,本邦の臨床において広く道しるべになるような術後痛管理ガイドラインの作成は,本学会が成し遂げるべき役割と考えて,ワーキンググループが結成されました.本ガイドラインは,周術期に関わる全ての医療従事者に向けて作成されており,日々の手術や麻酔において,大いに活用していただけると幸いです. また,本ガイドラインを通じて,術後痛管理の重要さを再確認して頂くことで,本邦において周術期管理が多職種チーム医療により推進されること,痛みが遷延した場合には速やかにペインクリニックでの疼痛緩和が行われるようなシステムの構築に繋がることを,切に願っています. 最後に,本ガイドラインの作成にあたって,執筆に加えて何度も議論を重ねて完成させてくださったワーキングメンバーの皆様に,心より感謝申し上げます.なお支えてくださった事務局や出版社の方々にも,お礼申し上げます. 令和7年2月吉日 井関 雅子 一般社団法人日本ペインクリニック学会 代表理事 術後痛ガイドライン作成ワーキンググループ サテライトメンバー序発行にあたって目次作成メンバー利益相反(COI)はじめに<第1章>術後痛ガイドラインの位置づけ 1.緒言 2.ガイドライン作成の経緯 3.作成の組織体制 4.本ガイドラインの目的 5.文献検索方法 6.推奨クラスとエビデンスレベル 7.本ガイドラインにおける術後痛の程度 8.関連学会からのパブリックコメント 9.ガイドライン(診察の手引き)の利用法<第2章>術後痛のメカニズム―侵害受容性疼痛とは― 1.痛みの定義と分類 2.侵害受容性疼痛とは (1)神経伝導・伝達 (2)痛みに関連した反射 (3)損傷組織の有無による発痛のメカニズムと痛みの消退 (4)侵害受容性疼痛の要因 (5)侵害受容性疼痛の発生部位による分類 3.侵害受容性疼痛を引き起こす病態,疾患 (1)術後痛 (2)外傷(後)痛 (3)歯痛,抜歯後痛 (4)炎症性疾患による痛み (5)内臓疾患による痛み<第3章>術後鎮痛法・術後鎮痛薬 1.術後鎮痛法 CQ1:術後鎮痛法には何があるか? CQ2:患者自己調節鎮痛法(PCA)とは何か? CQ3:PCAは術後痛に有効か? CQ4:多角的鎮痛法とは何か? CQ5:多角的鎮痛法は術後痛に有効か? CQ6:予防的鎮痛とは何か? 先行鎮痛との違いは何か? CQ7:予防的鎮痛は術後痛に有効か? CQ8:術後痛に有効な非薬物療法は何か? 2.術後鎮痛薬 2‒1.非オピオイド鎮痛薬 CQ9:アセトアミノフェンは術後痛に有効か? CQ10:NSAIDsや選択的COX‒2阻害薬は術後痛に有効か? 2‒2.オピオイド鎮痛薬 CQ11:モルヒネは術後痛に有効か? CQ12:フェンタニルは術後痛に有効か? CQ13:トラマドールは術後痛に有効か? CQ14:ペチジンは術後痛に有効か? CQ15:ペンタゾシンは術後痛に有効か? CQ16:ブプレノルフィンは術後痛に有効か? 2‒3.鎮痛補助薬 CQ17:リドカイン(静脈内投与)は術後痛に有効か? CQ18:ケタミン(静脈内投与)は術後痛に有効か? CQ19:ガバペンチノイド(経口投与)は術後痛に有効か? CQ20:α2アドレナリン受容体作動薬は術後痛に有効か? 2‒4.局所麻酔薬 CQ21:局所麻酔薬を用いた局所麻酔法は術後痛に有効か? 2‒5.その他 CQ22:副腎皮質ステロイド(デキサメタゾン)は術後痛に有効か? CQ23:漢方製剤やその他の製剤は術後痛に有効か?<第4章>各種術後痛 1.頭頚部外科手術(mild~moderate) CQ24:頭頚部外科手術の術後痛に有効な鎮痛法は何か? 2.開胸手術(severe) CQ25:開胸手術の術後痛に有効な鎮痛法は何か? 3.心臓手術(moderate~severe) CQ26:心臓手術の術後痛に有効な鎮痛法は何か? 4.腹部手術 (1)腹腔鏡手術(下腹部:mild~moderate,上腹部:moderate~severe) CQ27:腹部手術の術後痛に有効な鎮痛法は何か? (2)開腹手術(下腹部:moderate,上腹部:severe) CQ28:開腹手術の術後痛に有効な鎮痛法は何か? 5.関節置換術(股関節:moderate~severe,膝関節:severe) CQ29:関節置換術の術後痛に有効な鎮痛法は何か? 6.四肢手術(mild~moderate) CQ30:四肢手術の術後痛に有効な鎮痛法は何か? 7.脊椎手術(moderate~severe) CQ31:脊椎手術の術後痛に有効な鎮痛法は何か? 8.乳がん手術(mild~severe) CQ32:乳がん手術の術後痛に有効な鎮痛法は何か?<第5章>特別な配慮が必要な患者への注意点 1.オピオイド慢性服用患者 CQ33:オピオイド慢性服用患者への注意点は何か? 2.慢性疼痛患者 CQ34:慢性疼痛患者への注意点は何か? 3.睡眠時無呼吸症候群合併症患者 CQ35:睡眠時無呼吸症候群合併患者への注意点は何か? 4.帝王切開後の術後痛 CQ36:帝王切開術後の術後痛への注意点は何か? 5.小児 CQ37:小児への注意点は何か? 6.肝・腎機能低下患者 CQ38:肝・腎機能低下患者への注意点は何か?<第6章>慢性術後痛(CPSP) 1.はじめに 2.慢性術後痛の定義 3.慢性術後痛のメカニズム 4.慢性術後痛のリスク因子 5.慢性術後痛の予測 6.慢性術後痛の予防 7.慢性術後痛の治療 8.患者教育索引