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精選された写真を,大きく,多数掲載.感染症や自己免疫疾患,反応性病変,腫瘍との境界病変等々,多岐にわたるリンパ組織の非腫瘍性疾患を網羅した本邦初の病理アトラス!

非腫瘍性疾患病理アトラス

リンパ組織

カバー写真
  • 編集:佐藤康晴(岡山大学教授)
  • 編集 竹内賢吾(がん研究会がん研究所病理部部長)
  • B5変型判・292頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-0491-1
  • 2023年4月11日発行
定価 18,700 円 (本体 17,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

リンパ組織の非腫瘍性疾患は日常的によく遭遇するが,所見がオーバーラップする,病変の本質が捉えにくい,そもそも病態が解明されていないなど,診断に苦慮することが多い.本書では,感染症や反応性病変に加えて,腫瘍との境界病変,さらには菊池・藤本病や自己免疫疾患関連,IgG4関連疾患など幅広く取り上げ,その病変の捉え方を精選された大きな写真を多数用いて解説.診断の一助となることはもちろん,リンパ系非腫瘍性疾患の病理の世界を概観できる一冊.


 リンパ組織は,リンパ球の産生・分化・成熟を担う中枢器官と,活躍の場である末梢性器官とに大別される.前者には骨髄や胸腺が,後者にはリンパ節,脾臓,扁桃,Peyer 板,粘膜関連リンパ組織mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)などが含まれる.特に粘膜関連リンパ組織のように炎症刺激によって二次的に形成されるリンパ組織は,リンパ球を誘導することができる臓器であればどこにでも形成されると言っても過言ではなく,病理医にとって日常的に遭遇する機会も多い.

 リンパ組織の非腫瘍性疾患,とりわけ炎症性疾患や免疫性疾患はリンパ腫とは異なり,メルクマールとなる分子異常が少ないために客観的な診断指標に乏しく,また疾患間で所見がオーバーラップすることもあり,病理診断に際して特異的な疾患名を付することがしばしば困難である.また,病変の本質が捉えにくく,未だ病態が解明されていない疾患も含まれているのが現状である.
 本書が対象とする非腫瘍性疾患には,感染症や自己免疫疾患関連,非特異的な反応性病変などに加えて,腫瘍との境界病変も幅広く含めた.WHO classification Haematolymphoid Tumours 5th editionにおいても,菊池・藤本病,Castleman 病,自己免疫疾患関連,IgG4 関連疾患など多くの非腫瘍性疾患が新たに掲載され,これらについても網羅した.
 本書の構成としては,総論と各論に分け,総論ではリンパ球の発生や機能,リンパ組織の解剖学,複数の疾患に共通して現れる組織反応パターン,および解析手法などについて,各論では,種々の疾患の詳細についてそれぞれ経験の深い先生方に解説をお願いした.我々の知る限り,リンパ組織における非腫瘍性病変をここまで網羅した成書は本邦にはなく, 新たな切り口の解説書として,多くの方々に有効活用して頂けることを切に願う.

 最後に,リンパ組織における非腫瘍性病変の病理学的研究を世界的に牽引してこられた故・小島 勝先生に,深甚なる敬意とともに本書を捧げたい.

2023年3月
佐藤康晴,竹内賢吾
第1部 総 論
 Ⅰ.リンパ組織の発生・構造と機能
  1 リンパ球の発生と機能
  2 リンパ節の構造と機能
  3 ヒト脾臓の構造と機能
 Ⅱ.解析手法等
  1 検体の取り扱い
  2 リンパ節細胞診~反応性病変の見方・考え方~
  3 免疫組織化学
  〔COLUMN〕リンパ節細胞診の意義
 Ⅲ.種々の反応パターン
  1 濾胞過形成
  2 濾胞間過形成
  3 マントル帯過形成
  4 濾胞辺縁体・単球様B細胞過形成
  5 洞組織球症
  6 肉芽腫性病変
  7 形質細胞様樹状細胞
  〔COLUMN〕リンパ節炎とリンパ節症

第2部 各 論
 Ⅰ.感染症
  1 溶連菌感染症
  2 抗酸菌症
  3 ネコひっかき病
  4 エルシニア感染症
  5 梅毒
  6 トキソプラズマ感染症
  7 伝染性単核症
  8 HIV感染症
  9 その他のウイルス性リンパ節炎
 Ⅱ.Castleman病とIgG4関連疾患
  1 Castleman病の分類と単中心性Castleman病
  2 特発性多中心性Castleman病(iMCD-IPLとiMCD-NOS)
  3 特発性多中心性Castleman病-TAFRO
  4 KSHV/HHV8陽性多中心性Castleman病
  5 IgG4関連リンパ節症
 Ⅲ.自己免疫疾患関連
  1 関節リウマチ関連リンパ節症
  2 全身性エリテマトーデス関連リンパ節症
  3 Atypical lymphoplasmacytic and immunoblastic proliferation
  4 成人Still病
  5 肺病変
  〔COLUMN〕異型リンパ過形成
 Ⅳ.免疫不全および調節異常に関連するリンパ増殖症およびリンパ腫
  1 免疫不全/調節異常に生じる過形成
  2 伝染性単核症様過形成
  3 免疫不全/調節異常に生じる多型性リンパ増殖異常症
  4 Epstein-Barr virus陽性粘膜皮膚潰瘍
 Ⅴ.その他の反応性病変・境界性病変等
  1 菊池・藤本病
  2 木村病
  3 Rosai-Dorfman病
  4 皮膚病性リンパ節症
  5 薬剤性リンパ節症
  6 がんの所属リンパ節における肉芽腫反応
  7 サルコイドーシス
  8 アミロイドーシス
  9 川崎病
  10 胚中心進展性異形成(PTGC)
  11 Indolent T-lymphoblastic proliferation
  12 Florid reactive lymphoid hyperplasia/Lymphoma-like lesion of the female genital tract
  13 Indolent NK-cell lymphoproliferative disorder of the gastrointestinal tract
  14 Vascular transformation of lymph node sinuses
  15 Sclerosing angiomatoid nodular transformation
  16 炎症性偽腫瘍
  17 刺青リンパ節症
  〔COLUMN〕菊池・藤本病とSLE

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