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運動器の美しいイラストとこだわりの写真が満載!令和の“解体新書”が誕生!

新刊

神経と筋の解剖・評価コンパクトアトラス

カバー写真
  • 著:宮武和馬(横浜市立大学整形外科)
  • A5判・112頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2779-8
  • 2025年5月23日発行
定価 4,400 円 (本体 4,000円 + 税10%)
あり
在庫
電子版販売サイト

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内容

序文

主要目次

神経と筋の解剖と評価を,美しいイラストと細部にまでこだわりの詰まった多数の写真を用いて解説したコンパクトアトラス.1・2章は,解剖図と筋力・伸張性評価の写真を並べて配置し,視覚的な理解を深められる.3章では,二次元コードから神経の解説付き超音波画像とプローブの当て方を示した写真を閲覧可能で,臨床でも即座に活用できる内容となっている.運動器診療に携わる全医療者に向けた至極の一冊.
序 文

 難治性疼痛と真摯に向き合うようになって,改めて気づかされたことがある.それは,「画像に映らない痛み」が想像以上に多く,そしてその多くが神経に関連する痛みであるという事実である.画像診断による評価が難しい分,身体所見の重要性は非常に高くなる.しかしながら,医師が患者のわずかな感覚異常を正確に捉えることは容易ではない.そのため,私は支配神経領域における筋力低下や筋の硬さに着目して診察を行うことが,より確実で実践的なアプローチであると考えるに至った.
 神経障害による筋力低下には,完全な麻痺を呈するような重度の神経損傷から,わずかな伝導障害による軽度の筋力低下まで幅がある.また,神経異常は感覚や筋力の低下だけにとどまらず,ときに筋の攣縮を伴い,支配領域の筋肉に硬さとして現れることもある.
 これまで,筋力低下や筋の硬さは,それぞれ筋自体の問題として独立に評価されることが多かった.しかし,神経と筋を一体のものとして捉えることで,より本質的かつシンプルに臨床像を理解できるようになった.
 たとえば,筋力低下と筋の硬さが併存する場合には神経障害(筋攣縮)を,筋力低下を伴わずに筋が硬い場合には筋自体の問題(筋短縮)を想定できる.このように,筋の硬さがどのような機序によって生じているのかを的確に捉えることが可能となる.
 こうした臨床経験を経て,筋力評価と筋の硬さの評価を統合した教科書の必要性を強く感じるようになった.ちょうどその頃,文光堂より本書の執筆依頼をいただき,本企画が始動した.
 治療の観点も踏まえ,神経解剖および神経の超音波解剖に関する内容を加えることで,神経に対する介入の可能性にも意識を向けて執筆を行った.また,筋短縮に対する治療には,筋の硬さの評価がストレッチ法としても応用可能であり,評価と治療を相互に活かせる構成を意識した.
 本書では,解剖図,評価法,支配神経を1ページごとに視覚的に理解できるよう工夫し,できる限り多くの画像を掲載した.単なる一過性の出版物ではなく,時代を越えて活用される教科書となることを目指して制作に取り組んだ.医師だけでなく,多くのコメディカルにとっても有用な一冊となったと自負している.
 本企画に深く共感し,多大なるご支援をいただいた文光堂の中村晴彦氏,奈須野剛弘氏,赤坂亮太氏に対し,心より感謝申し上げたい.
 また,本書のモデルは統一感を持たせるため,全て渡邉向祥氏にお願いした.体操で鍛えられた彼の肉体美により,本書で最も重要な体表解剖を見事に表現いただいた.いつかこの本を片手に,共に仕事ができる日を密かに夢見ている.
 尊敬する理学療法士である齊藤正佳先生,宮田徹先生には,写真撮影をはじめ多くの面でご協力いただいた.私の整形外科医としての歩みは,常に理学療法士の存在によって支えられてきたが,なかでもこのお二方からは格別の学びを得てきた.本書の完成は,お二人の尽力なくして成し得なかった.改めて,深く感謝申し上げたい.
 カバーの絵は,東京藝術大学の戸奈さくら氏に手描きで制作いただいた.「解体新書を現代風にアレンジしてほしい」という無理な依頼にもかかわらず,想像を遥かに超える素晴らしい作品に仕上げていただいた.この絵を日々ニヤニヤと眺めながら,本書の刊行を心待ちにしている.
 最後に,「難攻不落の痛み」という奥深く魅力的な世界へと導いてくれた横浜市立大学整形外科の同僚たち,そして皆川組の仲間たちに,改めて感謝の意を表する.

 2025年4月
 宮武和馬
第1章 上肢の筋群
 僧帽筋上部
 僧帽筋下部
 前鋸筋上部(上角部線維)
 前鋸筋下部(下角部線維)
 菱形筋
 大胸筋
 棘上筋
 棘下筋
 肩甲下筋
 大円筋
 小円筋
 三角筋前部線維
 三角筋中部線維
 三角筋後部線維
 広背筋
 上腕二頭筋
 烏口腕筋
 上腕三頭筋
 腕橈骨筋
 長橈側手根伸筋
 回外筋
 総指伸筋
 長母指外転筋
 長母指伸筋
 短母指伸筋
 円回内筋
 橈側手根屈筋
 浅指屈筋
 深指屈筋(示指)
 長母指屈筋
 短母指外転筋
 母指対立筋
 第1虫様筋(示指)
 尺側手根屈筋
 深指屈筋(小指)
 小指外転筋
 小指対立筋
 第4虫様筋(小指)
 第1掌側骨間筋
 母指内転筋

第2章 下肢の筋群
 腸腰筋
 大腿直筋
 中間広筋
 外側広筋
 内側広筋
 外閉鎖筋
 長内転筋
 大内転筋
 小殿筋・中殿筋
 大殿筋
 大腿骨と寛骨の解剖
 股関節外旋筋群
 半腱様筋・半膜様筋
 大腿二頭筋
 腓腹筋・ヒラメ筋
 後脛骨筋
 長母趾屈筋
 母趾外転筋
 小趾外転筋
 前脛骨筋
 長趾伸筋
 長母趾伸筋
 短趾伸筋
 長腓骨筋・短腓骨筋

第3章 神経
 デルマトームと各末梢神経の支配領域(前面)
 デルマトームと各末梢神経の支配領域(後面)
 オステオトーム前面
 オステオトーム後面
 筋の末梢神経支配(上肢)
 筋の末梢神経支配(下肢)
 C4~Th1神経根
 副神経
 肩甲背神経
 長胸神経
 胸筋神経
 肩甲上神経
 腋窩神経
 胸背神経
 筋皮神経
 橈骨神経
 正中神経
 尺骨神経
 Th12~S3神経根
 大腿神経
 伏在神経
 閉鎖神経
 外側大腿皮神経
 殿部周辺の神経
 脛骨神経
 内側足底神経・外側足底神経
 総腓骨神経
 浅腓骨神経・深腓骨神経
 腓腹神経

付録 神経と超音波画像,徒手筋力テスト