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これまでの皮膚科テキストでは学べない,実践的な診療ガイドブック!皮膚科領域の救急診療を1冊にまとめた実践書!!

逃げない!攻める!皮膚科救急テキスト

  • 編集:出光俊郎(自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科教授)
  • B5判・352頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3464-2
  • 2017年2月9日発行
定価 13,200 円 (本体 12,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

虫刺され,外傷,蕁麻疹から熱傷,アナフィラキシー,重症薬疹,重症感染症,アトピー性皮膚炎などの急性増悪まで,皮膚科領域における救急診療を1冊にまとめた実践的ガイドブック.皮膚科医だけでなく,救急医,当直医にも役立つテキスト.疾患ごとに体系的に解説された内容となっており,「Point」,「Memo」,「Column」などを囲み記事として挿入し,ポイントをわかりやすく示している.
序 文

 古来,皮膚科は「三ナイ科」と揶揄された.「治らない,死なない,起こされない」……という意味である.しかしながら,昨今,皮膚科の流れは三ナイ科とは全く逆の方向に進み,救急で扱う皮膚疾患,皮膚科の関与する救急疾患は格段に増え,皮膚科の救急医療に対する貢献が要求されるようになった.新しい研修制度により,皮膚科に限らず,多くの診療科の医師にも救急の一般的知識,手技が要求される時代である.中毒性表皮壊死症(TEN),Stevens-Johnson症候群などの重症薬疹,アナフィラキシーショックや壊死性筋膜炎,ガス壊疽,トキシックショック症候群などの感染症に対しても皮膚科,皮膚外科の英知を結集した皮膚科医の専門性が救急医療の現場で発揮できるようになったと捉えることもできよう.たとえば,意識障害患者の皮膚も病態を如実に語ってくれる.顔面外傷におけるパンダの眼,脂肪塞栓患者の点状出血,急性膵炎のGray-Turner徴候,後腹膜出血時の陰部腫脹など重大な徴候も皮膚所見として観察される.熱傷は皮膚科の手を離れつつあるが,創傷治癒理論に基づいた治療においてはまだまだ貢献できる分野である.純粋な皮膚疾患でも紅皮症や広範囲の皮膚の剝離(びらん)などで救急部に運ばれることもある.帯状疱疹においても疼痛のほか,髄膜炎や腹筋麻痺によるイレウス様症状,神経障害による尿閉,抗ウイルス薬による腎不全などのために救急部を受診する.まさに,皮膚に変化のみられる救急患者の診断や治療には,皮膚科医が役に立つのである.
 皮膚科の救急に関して研修医は,境界領域の疾患についても萎縮せず,積極的に学んで欲しい.安易に手を出すと怖い境界領域をほかの診療科の先生から学んでマスターするガッツが必要である.皮膚科救急とは単にそれぞれの皮膚疾患の重症例の診察にとどまらない.救急現場において,視診や触診からその患者の重症度や病態を考えていく過程も重要である.ささいな皮膚病変を見逃さずに大切にすること,それぞれの症例の振り返りを大切にする謙虚さが求められる.
 そして,皮膚科医はもっと救急部に出入りするとよい.皮膚疾患の宝石箱のような多くの珍しい疾患がつまっている.たとえばホームレスの栄養障害の皮膚病変,末期の皮膚癌,究極のステロイド忌避のアトピー性皮膚炎などオフィスでは遭遇しない症状をみることができる.また,トキシックショック症候群の紅斑なども急性期を逃すと見落としてしまう疾患に出会えるなどまさに勉強になることばかりである.
 今までの皮膚科の教科書では皮膚科救急は学べない.それは皮膚科救急の実際は関連各科の協力により進歩する領域であり,指導医も必ずしも救急の現場に精通しているとはいえなかったからである.今回,救急医療に熱意のある形成外科医と血管外科,泌尿器科医,耳鼻咽喉科医にも執筆協力をお願いした.まさに他科の協調あってこそ成り立つ皮膚科救急である.皮膚科救急は災害時にも必ず役立つ.本書がもう一度皮膚科の診療範囲/テリトリーを拡張する先駆けの一助となれば幸いである.

平成29年2月
 出光 俊郎
総論 皮膚科救急の基本
 1 こんなにある皮膚科の救急疾患
 2 救急で役立つ小外科スキル
 3 救急で役立つ写真撮影・iPad活用
 4 病院経営からみた皮膚科救急
各論
I 薬疹・蕁麻疹・ショック・アレルギー
 1 重症薬疹
 2 分子標的治療薬による皮膚障害
 3 救急でみる蕁麻疹・血管性浮腫
 4 アナフィラキシーショック
 5 接触皮膚炎,全身性接触皮膚炎,接触皮膚炎症候群
II 感染症(細菌・ウイルス)
A 細菌感染症
 1 溶連菌感染症(猩紅熱)
 2 伝染性膿痂疹,ブドウ球菌熱傷様皮膚症候群(SSSS)
 3 顔面の丹毒
 4 歯性感染症(顔面歯性蜂窩織炎)
 5 眼窩蜂窩織炎・眼部膿瘍
 6 深頸部感染症
 7 尿膜管遺残症(尿膜管膿瘍)
 8 癤せつ,癰よう,炎症性粉瘤
 9 陥入爪,瘭疽による爪囲炎
 10 toxic shock syndrome,toxic shock like syndrome
 11 電撃性紫斑病
 12 蜂窩織炎,下肢の丹毒
 13 壊死性筋膜炎,劇症型溶血性レンサ球菌感染症
 14 ガス壊疽
 15 救急でみる敗血症の皮膚症状
B ウイルス感染症
 1 単純ヘルペス初感染
 2 Kaposi水痘様発疹症
 3 帯状疱疹
 4 風 疹
 5 麻 疹
 6 伝染性紅斑
 7 手足口病
 8 水 痘
 9 伝染性単核症
C その他の感染症・熱性疾患
 1 川崎病
 2 ツツガムシ病,日本紅斑熱
 3 疥 癬
III 外傷・事故・術後トラブル
A 物理化学的皮膚障害
 1 顔面外傷(擦過傷,切創から骨折まで)
 2 熱傷,電撃傷,化学熱傷,凍傷,灯油皮膚炎
 3 サンバーン
 4 come blister(意識障害患者の水疱)・褥瘡
B 動物性皮膚疾患
 1 虫による皮膚疾患 蚊刺症, ブヨ刺症, ノミ刺症, 蜂刺症, ムカデ咬症,クモ咬症,ヤマビル咬傷,毛虫皮膚炎
 2 虫による皮膚疾患 マダニ刺咬症
 3 海洋生物による皮膚障害 クラゲ刺症, 毒魚刺症, サンゴ刺症, ウニ刺症,海ヘビ咬症など
 4 動物咬傷
C 術後トラブル
 小外科手術後のトラブル
D その他
 救急でみる小児虐待
IV 慢性疾患の急性増悪
A 慢性皮膚疾患
 1 救急でみる足白癬・皮膚カンジダ症の悪化
 2 救急でみる痤瘡の悪化
 3 救急でみる乾癬の悪化,膿疱性乾癬
 4 救急でみるアトピー性皮膚炎の悪化
B 脈管性疾患
 1 糖尿病性潰瘍・壊疽
 2 血行障害による下肢の潰瘍・壊疽
 3 下腿潰瘍と深部静脈血栓症
 4 救急でみるコレステロール結晶塞栓症
C 膠原病および類縁疾患
 1 救急でみる膠原病
 2 成人Still病
 3 壊疽性膿皮症
 4 紅斑症(多形紅斑・Sweet病)
 5 Behçet病
D 紫斑・皮膚血管炎
 救急でみる皮膚血管炎
E 皮膚形成異常・萎縮症
 皮下深部解離性血腫deep dissecting hematoma
F 水疱症
 天疱瘡,腫瘍随伴性天疱瘡,類天疱瘡
G 皮膚悪性腫瘍
 救急でみる進行期皮膚悪性腫瘍
V 救急でみる歯科口腔疾患
 1 アフタ性口内炎・ヘルパンギーナ
 2 薬物性口内炎,薬物性潰瘍
 3 歯痛,歯の外傷
索 引