分子病理学の決定版テキスト,第2版!
新刊がんゲノム病理学第2版
内容
序文
主要目次
2021年に初版を発行した本書は,日本病理学会が認定する分子病理専門医資格取得に際して最も頻用される教科書であると受験後アンケートで明らかとなっている.また,病理医ばかりではなく,医学生を含む初学者や,がんゲノム医療に関わる幅広い臨床医,エキスパートパネルに関わる他職種のメンバーが本書を参考にしており,がんゲノム医療を学ぶ教科書として幅広く利用されていることは,大変ありがたいことである.
19世紀のVirchowの原著である「細胞病理学」以来,病理学は形態学に基づき医学研究の基盤の地位を築き,現代医療において病理診断は医療を行う羅針盤の役割を果たしており必要不可欠である.歴史の中で病理学は光学顕微鏡,電子顕微鏡,免疫染色,遺伝子検査などその時代の技術とともに発展してきた.2000年以降,次世代シークエンサーが登場してゲノム診断時代が到来したが,その発展のスピードは急速である.2019年に本邦で保険診療となったがんゲノム医療も,5年以上経過し大きく変化している.がんゲノム医療中核拠点病院は11施設から13施設へ,拠点病院は34施設から32施設へ,連携病院は122施設から234施設へと総数として拡大している.また,保険償還される遺伝子パネル検査も当初の2種類から5種類への増加した.すべてのがん患者が何かしらのゲノムプロファイルをもち,初回診断時から治療の最終ラインまで,がんゲノム医療の領域に含まれるようになる日はすぐそこまできている.このように日々進化するゲノム研究・医療の現況に合わせて,今回の改訂となった.
第2版では,各執筆者に全編を通じて最新の知識にブラッシュアップしていただいた.近年,注目を集めているリキッドバイオプシーやロングリードシークエンス(第3章,「Ⅰ.DNAシークエンス」)などの情報のアップデートはもちろん,先端研究技術として,今後がんゲノム医療に取り入れられるであろう,空間トランスクリプトーム解析の項を新たに設けた.またChatGPTについてもコラムとして加えた.各章末に掲載していた練習問題も刷新され,症例問題も過去の分子病理専門医試験の出題を踏まえて最新のものに入れ替えられた.
基本骨格を維持しながらも補強され改訂された本書が分子病理専門医試験の受験のみならず,がんゲノム医療に関わる臨床医,臨床検査技師,遺伝カウンセラーなど多職種の皆様が業務を進めるうえでの道標となり,本邦のがんゲノム医療の発展に寄与できることを祈念する.
2025年3月
田中伸哉・西原広史
Ⅰ がんゲノム病理学の歴史と現状
Ⅱ 分子病理学的解析手法
Ⅲ 分子病理診断における検査の品質保証
[COLUMN]がん遺伝子物語 がん遺伝子の研究で明らかになったチロシンリン酸化の役割
[練習問題]
第2章 ゲノム医学の基礎知識
Ⅰ 分子生物学
Ⅱ 分子腫瘍学
Ⅲ 遺伝性腫瘍
[練習問題]
第3章 ゲノム医学における解析手法
Ⅰ DNAシークエンス
Ⅱ RNAシークエンス
Ⅲ 空間トランスクリプトーム解析
Ⅳ エピゲノム解析
Ⅴ FISH
Ⅵ リキッドバイオプシー
[練習問題]
第4章 病理検体に基づくゲノム解析
Ⅰ 病理検体の処理と核酸抽出
Ⅱ 核酸品質とシークエンス
Ⅲ バイオインフォマティクス解析
Ⅳ 組織診断とゲノム解析
[COLUMN]腫瘍細胞含有割合の判定
[練習問題]
第5章 がんゲノム医療の臨床
Ⅰ コンパニオン診断薬・診断システム
Ⅱ がんゲノムプロファイリング検査
Ⅲ エキスパートパネルにおける病理医の役割
Ⅳ エキスパートパネルにおける治療選択
[COLUMN]ポストパンデミック時代におけるエキスパートパネルのオペレーションと展望
[練習問題]
第6章 バイオバンクと医療ビッグデータ
Ⅰ ゲノム医療とバイオバンク
Ⅱ デジタル病理画像とAI
Ⅲ 個人情報保護法に関連する用語の整理
[COLUMN]人工知能(AI)の進化と画像や言語への応用
[練習問題]
第7章 症例問題
症例1 腹膜がん(40歳台,女性)
症例2 肺がん(70歳台,男性)
症例3 甲状腺がん(20歳台,男性)
症例4 子宮体がん(40歳台,女性)
症例5 脳腫瘍(30歳台,女性)
索引