最少の検査で最大の成果を得るための,臨床検査のベストセラー!
臨床検査ガイド2020年改訂版
これだけは必要な検査のすすめかた・データのよみかた
内容
序文
主要目次
1987年の初版以来,検体検査の実用書として医師のみならず広く医療従事者に利用いただいてきた本書であるが,前版の2015年改訂版以来はや5年が経過した.この間に,さまざまな医学・医療の発展とそれに伴う臨床検査の進歩がみられたことは言を俟たないが,中でも特筆すべきは遺伝子関連検査とそれに基づくゲノム医療が日常診療に浸透してきたことであろう.2018年の医療法等の改正により,遺伝子関連・染色体検査が法的に独立した項目として分類されたことも大きなトピックであった.遺伝子関連検査については,これまでの版でも造血器腫瘍,感染症,固形腫瘍,先天異常などの各項目で取り上げてきたが,今回の改訂にあたってはこれらに関する記述を一層充実させた.特に造血器腫瘍・固形腫瘍については,腫瘍の分類・治療に直結する遺伝子検査が多数保険収載されたことを受け,これまで統合されていたものを代表的な4種の造血器腫瘍および4種の癌に分けて詳述し,さらに2019年から始まったがんゲノム医療の基盤となるがんゲノムプロファイリング検査についても新規項目として追加した.日進月歩でキャッチアップが難しくなりつつある腫瘍の遺伝子検査について俯瞰的に記述されていることは,がんの専門家以外の読者にも利便性が高いものであると考えている.
検査分類の大項目・中項目については前版で大きな改訂が行われたため,基本的にはそれに従ったものとなっているが,日常臨床におけるプラクティスの変化や新規検査の導入・旧検査の改廃に伴い,小項目の分類の変更・分割・統合と新規項目の収載を大胆に行った.新規掲載項目としては,前述の遺伝子関連検査に加え,カルニチン,オートタキシン,Mac-2結合蛋白,各種抗体,各種ウイルス検査,NGAL,便カルプロテクチンなど,計24項目にのぼる.一方,使用頻度が減ったり実施が困難になった23項目を削除した.
臨床検査の種類や適応は年を経て変化していくが,旧版の巻頭言にある「臨床検査は,臨床家にとって強い武器であるが,その意義を十分知ったうえで,最小の検査で最大の成果を得るのが臨床家の真骨頂である」という言葉の重みは変わらない.本書がそのようなクリニカルサイエンス&アートの一助となることが,編集者一同の心からの願いである.
2020年4月
編集者を代表して
大西宏明
初期診療
細菌性感染症を疑った場合の検査の進め方,検査データの評価をする際のポイント
呼吸器系疾患
循環器系疾患
肝・胆疾患
膵疾患
代謝性疾患
甲状腺疾患
内分泌疾患
血液疾患
リウマチ・膠原病
腎疾患
●第2部 各 論
1.生化学検査
●A.血清蛋白
アルブミン・総蛋白・蛋白分画(A/G比を含む)
シスタチンC
トランスサイレチン
レチノール結合蛋白
●B.酵素
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)
アデノシンデアミナーゼ(ADA)
アミラーゼ
アルカリホスファターゼ(ALP)
アルドラーゼ
アンジオテンシンI変換酵素(ACE)
クレアチンキナーゼ(CK)
コリンエステラーゼ(ChE)
乳酸デヒドロゲナーゼ(LD,LDH)
リパーゼ,エラスターゼ1,ホスホリパーゼA2,トリプシン
ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT,γ-GTP)
●C.アミノ酸および窒素化合物
アミノ酸
アンモニア
カルニチン
クレアチニン(血清,尿,クレアチニンクリアランス,eGFR),イヌリンクリアランス
尿 酸
尿素窒素(BUN)
●D.ビリルビン・胆汁酸
ビリルビン
胆汁酸
●E.ビタミン
ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB12,葉酸
ビタミンC
●F.電解質・浸透圧
カリウム(K)
カルシウム(Ca),リン(P)
ナトリウム(Na),クロール(Cl)
マグネシウム(Mg)
血漿・尿浸透圧
●G.血液ガス
血漿HCO3-濃度
動脈血CO2分圧
動脈血O2分圧,オキシメーター
動脈血pH
base excess
●H.金属
亜 鉛
銅,セルロプラスミン
鉄,総鉄結合能,フェリチン,トランスフェリン飽和度
●I.色素等負荷排泄試験
インドシアニングリーン(ICG),ブロモスルホフタレイン(BSP)
PFD試験(bentiromide試験)
2.代謝・内分泌検査
●A.糖代謝
インスリン(IRI),C-ペプチド(CPR)
インスリン分泌指標+HOMA
抗インスリン抗体
ガラクトース,フルクトース
グルカゴン
グルコース(血糖,ブドウ糖)
ケトン,ケトン体分画(血液および尿)
抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体
乳酸,ピルビン酸
フルクトサミン,グリコアルブミン
ヘモグロビンA1c(HbA1c)
ペントシジン
1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)
●B.脂質代謝
アポリポ蛋白
総コレステロール
HDL-コレステロール
LDL-コレステロール
non HDL-コレステロール
レムナント様リポ蛋白コレステロール
脂肪酸4分画
トリグリセライド(TG)
マロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL,酸化LDL)
リポ蛋白とその分画
リポ蛋白リパーゼ(LPL)
LCAT
●C.下垂体
黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH)
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
抗利尿ホルモン(ADH)
成長ホルモン(GH)
ソマトメジンC(IGF-Ⅰ)
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
プロラクチン(PRL)
●D.甲状腺
遊離サイロキシン(FT4),遊離トリヨードサイロニン(FT3),サイロキシン(T4),トリヨードサイロニン(T3)
抗サイログロブリン抗体,抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗マイクロゾーム抗体を含む)
抗TSHレセプター抗体(TRAb),甲状腺刺激抗体(TSAb),甲状腺刺激阻害抗体(TSBAb)
サイログロブリン
●E.副甲状腺・骨代謝
カルシトニン
腎原性cyclic AMP(cAMP),Ellsworth-Howard試験
副甲状腺ホルモン(whole PTH,intact PTH,HS-PTH)
副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)
25水酸化ビタミンD,1α,25水酸化ビタミンD
オステオカルシン,低カルボキシル化オステオカルシン
Ⅰ型プロコラーゲンN末端ペプチド(P1NP)
骨型アルカリホスファターゼ(BAP)
骨吸収マーカー(Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド(CTX),Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX),デオキシピリジノリン,骨型酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRACP-5b))
Ⅰ型コラーゲンC 末端テロペプチド(1CTP)
●F.副腎髄質・交感神経
カテコールアミン(CA)3分画
バニリルマンデル酸(VMA),ホモバニリン酸(HVA)
メタネフリン(MN),ノルメタネフリン(NMN)
●G.副腎皮質
アンドロステンジオン
コルチゾール
デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S),デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
●H.性腺・胎盤
エストラジオール(E2),エストリオール(E3)
テストステロン(遊離テストステロンを含む),ジヒドロテストステロン(DHT)
妊娠反応
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)およびβサブユニット(hCG-β)
プロゲステロン,17α-ヒドロキシプロゲステロン,プレグナンジオール,プレグナントリオール
●I.消化管ホルモン
ガストリン
●J.循環器
レニン・アルドステロン
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP),脳性ナトリウム
利尿ペプチド(BNP,NT-proBNP)
リポ蛋白(a)(Lp(a))
心筋傷害マーカー(心筋トロポニンT,心筋トロポニンI,心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP),心筋ミオシン軽鎖,ミオグロビン)
3.血液学的検査
●A.血球形態・機能
①赤血球
赤血球数・形態,ヘモグロビン,ヘマトクリット,網赤血球数
エリスロポエチン
抗赤血球抗体(Coombs試験を中心に)
赤血球抵抗試験(Ham試験,赤血球浸透圧脆弱性試験)
②白血球
白血球数,白血球分画
白血球特殊染色
白血球表面マーカー検査
好中球機能検査
抗白血球抗体
③血小板
血小板数・形態
出血時間,血小板機能検査
血小板系分子マーカー(β-トロンボグロブリン,血小板第4因子,トロンボキサン)
抗血小板第4因子/ヘパリン複合体抗体(HIT抗体)
抗血小板同種抗体,抗血小板自己抗体
④骨髄
骨髄穿刺検査
●B.造血器腫瘍の診断
急性白血病および骨髄異形成症候群のFAB分類とWHO分類
急性白血病の遺伝子・染色体検査
慢性骨髄性白血病の遺伝子・染色体検査
悪性リンパ腫の遺伝子・染色体検査
その他の造血器腫瘍の遺伝子・染色体検査
●C.出血・凝固・線溶
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),プロトロンビン時間(PT),フィブリノゲン
凝固亢進マーカー(フィブリンモノマー複合体,トロンビン・アンチトロンビン複合体,プロトロンビンフラグメントF1+2,フィブリノペプタイド,アンチトロンビンなど)
total PAI-1(tPA・PAI-1 複合体を含む)
線溶系分子マーカー(フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP),Dダイマー,プラスミン・α2-プラスミンインヒビター複合体(PIC))
その他の凝固因子(Ⅱ(PIVKA-Ⅱを含む),Ⅴ,Ⅶ,Ⅷ,Ⅸ,Ⅹ,Ⅺ,Ⅻ,XⅢ)
von Willebrand 因子,ADAMTS 13(von Willebrand 因子切断酵素)
プロテインC,プロテインS,APC レジスタンス,トロンボモジュリン
ループスアンチコアグラント(LA)
●D.輸血・移植
血液型検査
不規則抗体検査,交差適合試験
HLAタイピング
4.炎症・免疫学的検査
●A.炎症・組織障害・線維化マーカー
肝細胞増殖因子(HGF)
オートタキシン,Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)
間質性肺炎マーカー(KL-6,SP-A,SP-D)
血清アミロイドA蛋白(SAA)
赤血球沈降速度
線維化マーカー(Ⅲ型プロコラーゲンペプチド,Ⅳ型コラーゲン,ヒアルロン酸)
ハプトグロビン
プロカルシトニン(PCT)
プレセプシン
CRP
α1 -アンチトリプシン
●B.補体・免疫グロブリン
クリオグロブリン
補体価(CH50),C3,C4
免疫グロブリン遊離L 鎖κ/λ比
免疫グロブリンG・A・M・D
IgG2
IgG4
免疫電気泳動法,免疫固定電気泳動法,尿Bence Jones蛋白
●C.自己抗体
関節リウマチ関連検査(リウマトイド因子(RF),免疫グロブリンG型RF,抗ガラクトース欠損IgG 抗体,抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体,MMP-3)
抗アクアポリン4抗体
抗アセチルコリンレセプター抗体
抗核抗体
抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体
抗グルタミン酸レセプター抗体
抗好中球細胞質抗体(ANCA)
抗糸球体基底膜(GBM)抗体
抗セントロメア抗体
抗デスモグレイン抗体
抗糖脂質抗体(抗GM1-IgG抗体,抗GQ1b-IgG抗体,抗MAG/SGPG抗体)
抗ミトコンドリア抗体
抗リン脂質抗体
抗ARS抗体(抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体)
抗BP180抗体
抗DNA抗体
抗Jo-1抗体
抗LKM-1抗体
抗MDA5抗体,抗Mi-2抗体,抗TIF1-γ抗体
抗RNAポリメラーゼⅢ抗体
抗RNP抗体(抗U1RNP 抗体),抗Sm抗体
抗Scl-70抗体
抗SS-A/Ro抗体,抗SS-B/La抗体
免疫複合体
●D.アレルギー
総IgE
多項目アレルゲン特異的IgE
TARC
リンパ球芽球化反応試験
5.感染症検査
●A.感染症の遺伝子検査
感染症の遺伝子検査
薬剤耐性遺伝子検査
●B.ウイルス
アデノウイルス
インフルエンザウイルス
サイトメガロウイルス
ノロウイルス・ロタウイルス
風疹ウイルス・麻疹ウイルス
ヘルペスウイルス
A型肝炎ウイルス
B型肝炎ウイルス
C型肝炎ウイルス
D型およびE 型肝炎ウイルス
EBウイルス
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
HPV(ヒトパピローマウイルス)
ヒトパルボウイルスB19
デングウイルス
HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型)
RSウイルス・ヒトメタニューモウイルス
MERSコロナウイルス
SFTSウイルス(重症熱性血小板減少症候群ウイルス)
●C.細菌
エンドトキシン
クロストリディオイデス・ディフィシル(CD)トキシン
結核菌・非結核性抗酸菌(薬剤耐性遺伝子検査を含む)
髄膜炎菌
肺炎球菌
梅毒血清学的検査
病原性大腸菌
ヘモフィルス・インフルエンザ菌
ヘリコバクター・ピロリ菌
ベロ毒素
マイコプラズマ
淋菌,クラミジア・トラコマティス
レジオネラ
A群レンサ球菌
●D.真菌
アスペルギルス
カンジダ
クリプトコックス
(1→3)β-D-グルカン
●E.寄生虫
抗アニサキスIgG・A抗体
抗寄生虫IgG抗体
抗トキソプラズマ抗体
6.腫瘍マーカー
腫瘍マーカーの基礎知識
癌胎児性抗原(CEA)
臓器非特異的腫瘍マーカー(ポリアミン,フェリチン,TPA,BFP)
肝癌マーカー(α-フェトプロテイン,α-フェトプロテインレクチン分画(L3),PIVKA-Ⅱ)
甲状腺癌マーカー(サイログロブリン,カルシトニン,CEA)
膵癌・胆道癌のマーカー
消化器癌のマーカー
前立腺腫瘍マーカー(PSA:前立腺特異抗原)
肺癌マーカー(CYFRA21-1=サイトケラチン19フラグメント,SCC,CEA,SLX,NSE,ProGRP)
悪性中皮腫マーカー(可溶性メソテリン関連ペプチド)
膀胱癌マーカー(尿中BTA,尿中NMP22,尿中BFP,尿中サイトケラチン8・サイトケラチン18)
乳癌マーカー(CA15-3,BCA225,NCC-ST-439,HER2)
卵巣癌・子宮癌マーカー(CA125,CA602,CA72-4,CA546,STN,CA19-9,SLX,GAT,SCC)
可溶性インターロイキン2受容体(sIL- 2R)
p53抗体
7.尿・糞便・その他の分泌液・穿刺液検査
●A.尿検査
尿試験紙検査
尿潜血
尿蛋白
尿沈渣
尿 糖
尿比重,浸透圧
尿アルブミン
尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL),尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)
尿N-アセチル-β-d-グルコサミニダーゼ(NAG),α1ミクログロブリン,β2ミクログロブリン
尿ポルフィリン体とその前駆物質
●B.糞便検査
便中ヘモグロビン・便中トランスフェリン
寄生虫・虫卵,原虫類
便カルプロテクチン
●C.その他の分泌液・穿刺液検査
髄 液
胸 水
腹 水
関節液
乳頭分泌液
8.細胞診
細胞診
9.染色体検査・遺伝子検査
肺癌の化学療法の適応を調べる遺伝子検査
大腸癌の化学療法の適応を調べる遺伝子検査
乳癌の化学療法の適応を調べる遺伝子検査
悪性黒色腫の化学療法の適応を調べる遺伝子検査
がんゲノムプロファイリング検査
遺伝学的検査(生殖細胞系列遺伝子検査)
先天性異常の染色体検査
●資 料
妊娠に伴う検査値の変動
索 引