病態生理を理解してさらなる臨床力の向上を!実地医家必須54疾患の薬の使い方をマスターしよう!!
Medical Practice 2023年臨時増刊号(40巻)
病態生理と症例から学ぶ薬物療法・治療ガイド
実地医家必須の54疾患
内容
序文
主要目次
臨床医としてさまざまな患者の診療に携わり,その後にあらためて病態生理を学ぶと,「あの症状はこのような病態で生じていたのか」「あの治療が効かなかった理由は,背景にこういう病態が潜んでいたからなのか」と,診療に則した知識として非常に興味深く,頭にすっと入っていくことがあります.そして,ここで得た知識が次の患者の診療に活かされていくことで,医師の診療能力が向上していきます.(本書序文より)
【症例】を読んで薬の使い方・治療の方法を,【病態生理】を読んでその根拠を理解できる,応用の効く医師になるための一冊.
病態生理というと,「難しい」「面倒くさい」というネガティブな感情をもたれることがあります.日々の診療においては,「この疾患にはこの薬物」というマニュアル通りの対応で事足りることも多く,病態生理を知らなくても実臨床にはそれほど困らない,という側面があるのも「面倒だ」という感情を呼び起こす原因の1つになっているのかもしれません.しかし,病態生理を理解していないと応用が利かない,すなわち少し複雑な症状や所見を呈する患者を目の前にすると,適切に対応ができないという事態を生じ,それは結果として患者の不利益に結びつきます.
学生時代に机上で学んだ病態生理は,学問としては興味深く,人によっては研究への意欲を掻き立てられるものであったはずです.一方で,興味がない人にとっては,試験に合格するために仕方なく勉強するだけのもの,という位置づけであったかもしれません.しかし,臨床医としてさまざまな患者の診療に携わり,その後に改めて病態生理を学ぶと,「あの症状はこのような病態で生じていたのか」「あの治療が効かなかった理由は,背景にこういう病態が潜んでいたからなのか」と,診療に則した知識として非常に興味深く,頭にすっと入っていくことがあります.そして,ここで得た知識が次の患者の診療に活かされていくことで,医師の診療能力が向上していきます.このように患者の診療を通じて得た知識は,机上の勉強によって得た知識よりはるかに定着しやすく,次の機会に役立てやすい,ということは多くの医師が経験しているのではないでしょうか.
「この疾患にはこの薬物を使う」というマニュアルは,忙しい臨床の場では重宝され,診察室に1冊あると役立つ場面があることは確かです.しかし,それを見るだけで終わっていては医師としての成長は望めません.時には立ち止まって,なぜ,この疾患にこの薬物を使うかを調べ,考えるという時間が必要です.本書では,最初に症例と処方内容を提示し,その症例になぜその処方を行うのかを,病態生理を踏まえて解説しました.対象疾患として,実地医家が外来で治療に携わる機会の多いものや,逆紹介によって外来で患者管理を行う機会が多いものを選択しました.症例の部分だけ読んでも,薬物の使い方や治療の方法はわかりますが,病態生理の部分を読むと,薬物の使い方(使い分け,投与量,投与法など)の根拠を理解することに役立ちます.
臨床医としての経験を積んでから病態生理を学び直してみると,「そうだったのか」と改めて気づくことが数多くあります.本書が読者の知的好奇心を満たし,患者の診療に役立てる書物になることを願っています.
2023年3月
編者を代表して
須永 眞司
調布東山病院院長
1.高血圧・低血圧
2.狭心症(労作性,冠攣縮性)
3.心筋梗塞(急性,慢性)
4.弁膜症(大動脈弁狭窄症,僧帽弁閉鎖不全症)
5.上室性不整脈(上室期外収縮,上室頻拍,心房粗動)
6.心房細動(発作性,永続性)
7.徐脈性不整脈(洞不全症候群,房室ブロック)
8.心不全(HFpEF,HFrEF)
9.末梢動脈疾患
10.肺高血圧(肺動脈性肺高血圧,肺血栓症)
Ⅱ.代謝性疾患
1.2型糖尿病
2.脂質異常症
3.痛風・高尿酸血症
Ⅲ.消化器疾患
1.胃食道逆流症・逆流性食道炎
2.胃・十二指腸潰瘍
3.機能性ディスペプシア
4.過敏性腸症候群
5.慢性便秘
6.肝硬変
7.慢性膵炎
Ⅳ.神経・精神疾患
1.脳梗塞・一過性脳虚血発作
2.パーキンソン病
3.片頭痛
4.緊張型頭痛
5.末梢性めまい
6.顔面神経麻痺
7.アルツハイマー型認知症
8.てんかん
9.うつ病
10.パニック症
11.不眠症
Ⅴ.呼吸器疾患
1.かぜ症候群・急性上気道炎
2.気管支喘息
3.肺気腫・COPD
4.非結核性抗酸菌症
5.市中肺炎
6.慢性呼吸不全
7.睡眠時無呼吸症候群
Ⅵ.アレルギー疾患
1.花粉症・アレルギー性鼻炎
2.蕁麻疹
Ⅶ.内分泌疾患
1.バセドウ病
2.亜急性甲状腺炎
3.甲状腺機能低下症
Ⅷ.血液疾患
1.鉄欠乏性貧血
2.ビタミンB12欠乏性貧血
Ⅸ.骨・関節疾患
1.関節リウマチ
2.骨粗鬆症
Ⅹ.腎・泌尿器疾患
1.慢性腎臓病(CKD)
2.尿路感染症
3.前立腺肥大症
4.過活動膀胱
Ⅺ.感染症
1.インフルエンザ
2.帯状疱疹
3.梅毒
索 引