日本糖尿病学会が総力をあげて作成したカーボカウントの患者向けテキスト!
カーボカウントの手びき
「糖尿病食事療法のための食品交換表」準拠
内容
序文
主要目次
糖尿病において良好な血糖コントロールを保ち,さまざまな合併症を防ぐために,その食事療法は必ず行うべき基本の治療です.日本糖尿病学会食品交換表編集委員会では,食事療法のためのテキストである「食品交換表」第7版ならびにその「活用編」第2版への改訂を受けて,新たに患者用として,「カーボカウントの手びき─『糖尿病食事療法のための食品交換表』準拠─」,ならびに指導者用として,「医療者のためのカーボカウント指導テキスト─『糖尿病食事療法のための食品交換表』準拠─」の2冊を発行するはこびになりました.
エネルギー量の適正化と栄養素のバランスを基軸としている糖尿病の食事療法のこのカーボカウントとは,食事に含まれている糖質(炭水化物の大部分を占めます)の量を把握して食事療法に役立てる方法です.これがカーボカウントの第一歩となる「基礎カーボカウント」の考え方に相当します.さらにインスリン療法中の1型糖尿病や一部の2型糖尿病の場合には,糖質摂取量に合わせてインスリンの単位数を調整することが容易になり,これがその第二歩目となる「応用カーボカウント」に相当します.
カーボカウントの考え方,なかでも「応用カーボカウント」と糖質制限とがしばしば混同されることがありますが,カーボカウントは食事に含まれる炭水化物や糖質の量を計算して食後血糖をコントロールする方法であり,糖質の制限を目的としたものではないことから,これらの両者の間には明確な違いがあります.
本書「カーボカウントの手びき─『糖尿病食事療法のための食品交換表』準拠─」では,「食品交換表」やその「活用編」のみによる食事療法では,必ずしも厳密とは言えなかった「糖質摂取量を把握する方法とそれを用いた血糖管理の方法」をわかりやすく解説しています.また「食品交換表」やその「活用編」に基づく食事療法では,同時に食事に含まれるたんぱく質や脂質の摂取量についても,適正な配分量が保証されています.本書を並行して利用することで,「正しいカーボカウントへの道」が切り開かれるものと期待されます.そして医師や管理栄養士など糖尿病治療に関わるすべての医療スタッフの指導のもと,食事療法を的確に継続し,糖尿病治療の成果を着実に得ていただくことを心から願っています.
平成29年3月
日本糖尿病学会食品交換表編集委員会
1 はじめに
2 カーボカウントとは何か
3 カーボカウントの種類と位置づけ
II.基礎カーボカウント
1 基礎カーボカウントとは
1 基礎カーボカウントとは
2 基礎カーボカウントの原則(基本)
3 基礎カーボカウントが適する人
2 基礎カーボカウントの進め方
1 食後血糖は,エネルギー栄養素のうち糖質によって最も影響を受けることを知る
2 糖質が含まれる食品を知る
3 食品や料理に含まれる糖質量の計算方法を知る
4 1日の指示エネルギー量から1日に摂取する糖質量が決められることを知る
5 朝食,昼食,夕食の3食と間食を食べる時刻を決める
6 朝食,昼食,夕食の3食と間食で摂取する糖質量を決める
7 主食,主菜,副菜をそろえてバランスよく食べる
8 よく食べる主食(ごはん,パン,めんなど)に含まれる糖質量を計算する
9 副食に含まれる糖質量を計算する
10 カーボカウントを練習する
3 基礎カーボカウントを成功させるコツ
1 外食時に気を付けたいこと
2 中食(弁当)の取り扱い
3 菓子類・し好飲料の取り扱い
4 アルコール飲料の取り扱い
5 基礎カーボカウントを成功させるためのチェック
III.応用カーボカウント
1 応用カーボカウントとは
1 応用カーボカウントとは?
2 基礎インスリンと追加インスリンについて
3 追加インスリンの種類と特性
4 2つの追加インスリン
2 応用カーボカウントの実際
1 食事前の追加インスリン量の計算
2 糖質/インスリン比(糖質用)とインスリン効果値(補正用)の1日の設定
3 糖質以外の栄養素の影響
4 応用カーボカウントを用いたさまざまな具体例
5 おわりに
文 献
索 引